迦葉山〜尼ヶ禿山

天気:
メンバー:T
行程:沼田駅 7:09 =(バス)= 迦葉山BS 7:50 …弥勒寺 8:35 …和尚台 9:00〜9:45 …迦葉山(1322m) 10:10〜10:20 …白樺湿原 10:40 …玉原湖分岐 11:35 …尼ヶ禿山(1466m) 12:05〜12:55 …玉原越 13:30 …長沢橋BS 14:35〜15:11 =(バス)= 水上駅 15:36

桐生駅5:52発の両毛線の列車に乗車し、新前橋で上越線下り普通列車に乗り継ぐ。上越線の車内には登山者の姿がちらほら。沼田駅に7:08着、下車する。迦葉山行きの路線バスは7:09発で、待ち合わせの時間が1分しかないので、大急ぎで駅前ロータリーのバス停に向かう。バスは既に来ていたが、定刻からのんびり遅れて出発するらしく、余裕で間に合う。

沼田駅を出たバスは戸神山の東麓を通り、発知川沿いの田園の中を走る。この辺りは桜がまだ満開だ。終点の迦葉山バス停で下車。結局、途中の乗降もなく、乗客は私一人だった。

バス停の少し先の土産物屋の前で、左の迦葉山弥勒寺への車道に入る。山あいに入って暫くのところに参道入口があり、売店もあるがまだ開店していない。参道に入って大きな山門をくぐり、暫く車道と平行して進む。一旦、車道に出て、慈愍(じみん)門から弥勒沢に沿った参道に再び入る。水害復旧工事で三面コンクリートの沢になっているのは残念だが、杉の大木や丁目石、石仏などが点在しているのは山寺の参道らしい雰囲気だ。いくつかある木橋の中には、渡し板が腐食しているものがあるので、踏み抜きに注意。

馬隠れの杉という、根本に大きな洞(うろ)のある大杉を見ると、そのすぐ上が弥勒寺だ。丁度、貸切バスが到着したところで、まだ朝早いにもかかわらず老若男女が多数参拝に来ていた。弥勒寺は巨大な天狗のお面があることで有名。拝殿の薄暗い一角を占めているお面を見ると、ギョッとする迫力がある。小さい子供が怖がっているのも、無理はありません(^^;)

迦葉山バス停より迦葉山を望む
迦葉山弥勒寺の拝殿

参拝を終え、拝殿の右手の中雀門の渡り廊下をくぐると迦葉山への道標があり、登山道が始まる。まだ冬枯れで明るい雑木林を登って行くと、頭上に牙のように突き出た和尚台の岩峰が現われる。和尚台の基部には古いお堂と道標があり、左は岩峰を巻いて迦葉山へ、右は「和尚台 胎内潜り 鎖場のため滑落注意」とある。胎内潜りは岩峰の裂け目の一見凄そうな鎖場で、高岩の登攀を思い出す。ちょっとビビっていると、男性が一人降りて来た。話を聞くと、胎内潜りは大したことはないが、そこから先が大変らしい。まあ、とにかく登ってみますか。

和尚台の岩峰
基部より胎内潜りの裂け目を見上げる

胎内潜りの中は狭いが、確かに大したことはなく、岩峰をくぐり抜けて反対側のテラスに出る。岩峰に向かって左側の岩壁に鎖がぶら下がっていて、ここから本格的な岩登りらしい。ザックをデポし、デジカメだけを携帯して鎖を摑む。最初の鎖を登って右にトラバース(ここも鎖を頼る)、スラブにかかる鎖を登る。ここまでは易しいが、次の鎖場が難所。急峻な岩稜に掛かっていて、右にも左にも振られそうに見える。「群馬山岳移動通信」の重鎮さんは、ここが雪と氷で覆われた1月に登っているのだから、すごい(@_@;)。こういう場所はあまり考えずに、気合いで登るしかない。この鎖場を一気に登り、次の鎖場もそのまま登り切ると、和尚台の頂上に出た。息が切れて、腕が疲れたー。

頂上はそう広くはないが、ゆったりと展望が楽しめるだけのスペースはある。南側は、眼下に弥勒寺の屋根と周辺の道路、遠くにかわいい三角形のピークの戸神山や、台地状の三峰山、先日登った子持山、赤城山などが一望できる。北側には迦葉山の頂上が近い。

和尚台の鎖場
和尚台の頂上より弥勒寺(中央)
和尚台より戸神山、三峰山(右)
子持山を遠望
和尚台より迦葉山

展望を堪能し、腕の疲れが取れた後、注意して鎖を降りてテラスに戻る。ここから鉄梯子で岩峰基部に降り、お堂まで戻った。鉄梯子は壊れかけていて危険なので、お堂から空身で胎内潜り〜和尚台を往復した方が良いだろう。

お堂から岩峰の左を巻き、小さな岩峰群の間を縫って登る。尾根を登り詰めて御嶽山大神の石碑のあるピークに着けば、迦葉山の山頂までは平坦な尾根で、わずかな距離だ。

迦葉山の山頂は狭く、樹林に囲まれていて、南側だけ展望がある。和尚台までは数人のハイカーさんに行き会ったが、頂上には私だけで静かだ。今日は暑く、喉も渇いたので、ポリタンの水を飲み、ビスケットを齧って休憩する。

御嶽山大神の石碑
迦葉山頂上

迦葉山の山頂から尼ヶ禿山への縦走路に入る。この辺りの樹林は、ブナやダケカンバの下生えにアスナロの幼木が密生していて面白い。次世代はアスナロ林になるのだろうか?

緩くて広い尾根を下る。ところどころに立派な道標があるものの、ササがかぶさる藪っぽい道だ。でも、奥山の雰囲気があるのが良い。平坦なブナ林を進むと白樺湿原に出る。チョロチョロと水が流れる小さな草原で、コバイケイソウの類の葉っぱが出始めていた。

白樺湿原
秋山平付近のブナとササ

ブナとササの林の中をゆるゆると登り、緩いアップダウンのある尾根を辿る。ところどころにアスナロの大木があり、赤黒い幹がきれいだ。展望はほとんどなく、いくつかの地点で行く手の尼ヶ禿山や武尊山が見えるだけだ。玉原湖からの道を合わせると尾根が少し細くなって、残雪も現われる。

縦走路から尼ヶ禿山を望む
玉原湖分岐

送電鉄塔の横を通ると名残の雪の上の少し急な登りとなり、玉原湿原・ブナ平方面からの道を合わせる。林を抜け、左側が急な灌木の斜面となっている見晴しの良い稜線に出ると、尼ヶ禿山の頂上はすぐその先だ。

頂上の北側は樹林に囲まれているが、木の間から奥利根の残雪の山々が眺められる。南側は開けて、今日歩いて来た迦葉山からの縦走路が一望だ。東側には斑に雪が残る武尊山がゆったりと稜線を広げている。中腹の白い筋は私も何回か滑ったことのあるスキー場で、GWいっぱい営業している。駐車場の1/3くらいが車で埋まっているのが見えるので、まだまだお客さんで賑わっているようだ。

尼ヶ禿山の頂上へ向かう
尼ヶ禿山から迦葉山
尼ヶ禿山から奥利根の山々
下津川山(左奥)、平ヶ岳(右奥)
尼ヶ禿山から武尊山

頂上では小さな子供連れの家族が賑やかにお昼を食べているところだった。玉原高原を起点にすれば、絶好のハイキングコースだろう。迦葉山からの縦走の方は、結構歩きでがあり、健脚向きかも(和尚台の登りも体力を使ったし)。腹も減ったし、喉も渇いた。缶ビールを開け、ラーメンを作って昼食にする。

頂上で小一時間休憩した後、下山にかかる。頂上直下の分岐を左へ降りて行く。このあたりの尾根は残雪の上を歩く。緩く下って雪解け水の流れる沢を渡り、少し登り返すと玉原高原からの車道(発電所関係の作業道)に出る。

残雪の尾根を下る
林道に出る

車道を暫く辿り、左へ分岐する林道に入る。道標があり「玉原越え起点へ」と書かれている。この林道を少し進んだところが地形図で玉原越と記された地点で、今は林道の盛り土で埋め立てられていて、峠の風情はない。「水上長沢橋へ」という道標に従って、藤原湖方面への山道を下る。

藤原湖へは、少し心配していた藪もなく、はっきりした歩き易い道だ。ブドウ坂と名のある道を下るが、今は下生えのシダの緑が鮮やかな林をジグザグに下って行く。道の脇には紫や白の花がポツポツと咲いている。ところどころの木の間から上越国境の白い山々が望見でき、なかなか気持ち良い山道だ。

林道を玉原越へ向かう
キクザキイチゲ?
藤原湖へ下る道
残雪の朝日岳方面を望む

沢を右岸から左岸に渡ると、二条に流れ落ちる優美な滝がかかっている。滑り易い山腹のトラバースを通過すると車道に出て、後は車道をテクテク下って行く。玉原発電所の開閉所という巨大な施設を過ぎ、藤原湖の湖面が見えれば、長沢橋バス停は近い。なお、開閉所から山道を経て長沢橋に至る山道は、完全に廃道になっているようだった。

ブドウ坂下の美瀑
藤原湖に降り着く

バス停で30分程待ち合わせて、水上駅行きのバスに乗車。バスにはご年配の登山者が5,6人乗っていた。武尊山に登ったのかな?水上駅に到着すると、タイミング良く高崎行きの列車があるので、今回ははなしにして、サクッと帰ることにする。キオスクで500ml缶ビールとつまみを買い込んで、列車に乗り込んだ。