阿寺山〜五龍岳
桐生を午前4時頃に車で出発。関越道を六日町ICで降りたところで、愛用のデジカメを自宅に置き忘れて来たことに気が付く。これはしまった。しかし、山に入る前に気が付いたのは幸い。R17沿いのコンビニで39枚撮りの「写ルンです」を買う。なので、今回の山行記録の画像は、「写ルンです」から現像・スキャン・CD-R書込みサービスを使って、PCに取り込んだものです。
八海山山麓の山口から広堀橋を経てしばらくは舗装された良い道。その先は未舗装の悪路だが、シビックでも問題なく広堀登山口まで入れた。車道はここで通行止めで、2、3台分の駐車スペースがある。既に地元ナンバーの車が1台あって、単独行の男性がちょうど出発するところだった。
こちらも準備を整えて、少し後に出発。車道から左に分かれて登山道に入り、水量の多い広堀川に沿って歩く。いくつかの小沢を横切り、急な崖を鎖を頼りに巻き、再び川沿いに戻る。河原の中で道が判然としなくなるが、右の方を注意して見ると「右、阿寺道」と書いた古いプレートが木の幹に打ち付けられている。ここから草深い小さな谷の中を上がって行く。
しばらく登ると「龍神碑」の道標のある小平地に着く。石碑や鐘、燭台があり、すぐ脇にはバンバン水が流れている。ここで2リットルのポリタンを満タンにしておく。
さらに、ススキが生い茂る緩い谷を詰め、樹林の中を登って行くと、「蛇食(じゃばみ)清水」の道標のある水場に着く。苔むした石から流れ落ちる水が冷たくて美味しい。
蛇食清水から山腹を登って行くと、傾斜が少し緩んでブナ林に入る。地面に落ちたブナの実を踏みながらの長い登りが続く。展望はなく、木の間からかろうじて八海山の急峻な山肌や高倉山の稜線が垣間見えるだけだ。やがて流水で抉れた赤土の道になり、周囲もブナから灌木になってさらに傾斜が緩む。しかし、頂上にはなかなか着かない。
道が水平になり、右手に巻機山を見ると、ようやく「阿寺山」の道標のある尾根上の地点に到着(しかし、ここは真の山頂ではない)。尾根を乗り越した向こうは小さな草原で、正面に中ノ岳が大きい。素晴らしい景観だ。
登山道は草原に降りて左に折れ、入道岳の方向に向かっている。阿寺山の三角点はそれとは反対方向の、草原の奥の灌木に覆われた小ピークにある。草原の中の踏み跡を奥まで辿り、灌木とササの中の踏み跡を拾って登ると、ササ藪の中の小平地に三角点があり、傍らに「阿寺山頂」という二つに割れた木の山名標が落ちていた。中ノ岳方面に展望が開け、深い谷から気持ち良い風が吹き上がってくるが、それだけの頂上だ。
再びササを漕いで元の登山道に戻る。ごく短い距離の藪漕ぎだったが、げんなりしてしまった。こんなに根性がないようでは、越後沢山とかはちょっと無理かな(^^;)。
登山道を先に進むと、一旦、灌木の樹林に入るが、再び小さな草原に出ると池塘がある。池塘の畔には五龍王大神の石碑が建ち、周辺にはモウセンゴケが多い。水面の向こうには駒ヶ岳と中ノ岳が連なる。ここもいい眺めだ。
再び樹林を抜けると、次は神生(しんせい)ノ池が現われる。石碑と古い石祠がある。入道岳のきれいな三角錐のピークが高い。
神生ノ池からは樹林の緩い下りになり、入道岳は近づくにつれてますます高い。あそこまで登るのは大変そうである。今日は越後三山と水無川の展望が目的なので、三山縦走路上の一ピークの五龍岳までの往復にしておこう。
鞍部までは下り、五龍岳へ灌木の尾根を登る。急な登りではないが、日射しをまともに浴びて暑い。
祠と鐘のある小さな五龍ノ池を見ると、五龍岳はそのすぐ上だった。ピークというよりは、縦走路の途中の瘤といった感じの場所だが、期待通り越後三山の眺めは素晴らしい。正面には水無川の深い渓谷を隔てて、駒ヶ岳が胸壁のように聳え、手前にグシガハナのピークが犬歯のように突き出ている。先月には、水無川からあそこまであの急な尾根を登ったなあ(山行記録)、としばし視線をなぞらせる。
駒ヶ岳の右には中ノ岳の円頂が大きい。縦走路はギザギザとした痩せ尾根の上をか細く辿ってオカメノゾキへ下ったあと、急峻に中ノ岳に突き上げている。昔、越後三山を縦走したときにはあそこをテントを担いで歩いた訳だが、いやー、よく歩けたものだなあ。しみじみ。
中ノ岳に突き上げる水無川真沢は、ほとんどがスラブの急峻な沢だ。双眼鏡で真沢の関門ノ滝、幣ノ滝を鑑賞する。
越後三山と水無川の景観をひととおり楽しんだ後、チューブバターで舞茸とベーコンを炒めて、缶ビールの肴にする。昼食はラーメンにするつもりだったが、割り箸を忘れたことが発覚。まあ、ビールと肴でお腹が膨れたし、ナシもあるからいいか。しかし、今日は忘れ物が多かった。反省。
誰も通らない五龍岳でのんびりした後、往路を戻った。
なお、出発のときに登山口で会った単独行の方とは、復路の蛇食清水で休憩しているときに会った。阿寺山付近の草原でビールを飲んで宴会をしていたとのこと。そういうのもイイですね。
帰りは六日町温泉ホテルニュー越路荘の♨(800円)に立ち寄る。団体の宿泊客で賑わっていたが、温泉はすいていて、掛け流し。さっぱり汗を流して帰桐した。