根本山〜白浜山
本町三丁目バス停8:11発のおりひめバスに乗り込み、桐生川沿いに走って、終点の石鴨に9時前に到着。料金は200円。山慣れた感じのハイカーさんも一人下車し、橋を渡って左岸の林道の方に向かって行った。丸岩岳方面を目指すのだろうか。
一人、桐生川を上流に向かって歩く。三境林道入口の駐車スペースは、時期によっては根本山に登る人の車でいっぱいになるが、今日はがらんとしている。周辺は伐採作業中で、関係車両しかないようだ。不死熊橋を渡り、林道を辿って中尾根登山口へ。ここから山道に入って、展望のない杉林の中をジグザクに登る。登りが一段落して石祠を過ぎると、しばらく明るくて気持ちの良い雑木林の尾根が続く。上部は再び植林帯となる。数年前は展望があったところだが、杉が生長して全く見通しが利かなくなっていた。
中尾根十字路まで登って来ても雪はほとんどない。十字路を直進して根本山山頂に向かう。吹き溜まりでようやく10cmくらいの積雪だ。スパッツもなしで歩く。
久しぶりの根本山山頂はひと気もなく、風がごうごうと吹き抜けるだけだ。木の間越しに横根山方面が見える。クッキーを食べようとして手袋をとったら、指先があっという間に凍り付くように冷たくなった。慌ててオーバー手袋を出して着ける。
稜線を北に辿ると、三境山〜残馬山でも見かけた齧りまくられた道標がある。ここで左に折れて急な斜面を下ると途中で道が不明確になるが、その下で再び踏み跡に出て、尾根上の縦走路に導かれる。そして小ピークに突き当たり、左のトラバース道に入る。ここは急斜面を鎖を頼りに横切る細い踏み跡で、雪がついていることもあってちょっと怖い。以前、逆方向に歩いたことがあるが、そのときは小ピークを鎖で越えた記憶がある。どっちにしても嫌な難場だ。
トラバースを終えると、小さなアップダウンのある雑木林の尾根歩きとなる。黒坂石への道を右に分け、雪の尾根道をひたすら辿る。途中、休憩したときにデジカメを置き忘れ、かなり先に進んでから気づいて取りに戻る。これで時間をロスした上に、意外と白浜山分岐が遠いことに気づいて、日の短い季節だし時間が足りるかが気がかりになる。昼食の頃合いだが、白浜山分岐まで頑張ってめどを付けてから食べようと決める。
斜め右方向、木の間越しに白浜山に延びる尾根が見え始めると行程も捗って、13時前に分岐に到着。やれやれ、これで白浜山まで行けそうだ。安心して昼食の準備に取りかかる。なるべく風を避けて雑木林の小平地に陣取り、ラーメンを作る。寒風が吹きつのる中で缶ビールが飲めてしまうのは、やはり少し焦ってハイペースで歩いたからかも知れない。
腹ごしらえも済んで、ゆったりした気分で白浜山を目指す。太い赤テープが付けられていて、迷う所はない。途中、北側が大規模に伐採された箇所があり、横根山から日光連山、皇海山にかけて展望が開ける所がある。眺めがいいのは良いけれど、伐採された山肌というのは寂寞感を誘う。
伐採地を過ぎると雑木林の細い尾根歩きとなり、1140m峰に到着。ここは熊糞山とも呼ばれているそうだが、頂上には山名標の類は全くなかった。ここから木の間に見る白浜山は一旦下って登った先にこんもりとしたピークを横たえている。もう少し距離がありそうだ。
1140m峰を下ると、枯れ葉の散り敷いた緩い尾根を登り詰めて白浜山に到着した。頂上自体は雑木林に囲まれた僅かな展望と小さな山名標があるだけだ。しかし、遥々ここまで歩いて来たという思いで満足を覚える。
日没までは時間があるが、下山ルートが不確かなのであまり山頂に長居はできない。北東に延びる尾根を下る。ここには踏み跡、テープの類は全くないが、ぽつぽつとダケカンバも交えた疎らな雑木林で藪もなく、雪も適度に締まって来ていて楽しく下れる。ほぼ尾根通しに下って、最後は左の谷川に下る。流れが氷結しているのが見えて心配になったが、杉林の中に細い踏み跡があり、これを辿るとだんだんはっきりとした道になって安心する。
踏み跡から林道に出るとあとはこれを辿って下るだけである。黒坂石川沿いの道に出てからが、思ったより長かった。沢入駅に16:20に到着したとき、丁度下り列車が出発するところだったが、登りの桐生行きは17:40発。時間があるので、駅前の「陶器と良寛書の館」(300円)に入ってみた。ここは東村出身の窯業関係の実業家松嶋健壽氏(1914〜1995)が生家と収集した品々を寄贈してできた小さな博物館だ。展示品を見学したあと、開館時間が17時までなのにも関わらず、駅は寒いからといって17時半までストーブの傍で休憩させて頂いた他、お茶までごちそうになった。
沢入駅17:40発の列車に乗車して水沼駅で下車。水沼♨かっぱの湯でゆっくり温まったあと、温泉の食堂で生ビール2杯ともつ煮を食べてほろ酔い加減。19:04発の列車で桐生に戻った。