日暮山
先週、西上州のアイガー北壁という(私が勝手に付けた^^;)異名をもつ御場山を目指したおり、その北にぐるりと居並ぶ山々も小さいながらなかなか峻険なことが目に留まった。そのなかでもひときわ鋭い▲なピークの日暮山(にっくらやま)は群馬百名山の一つでもあり、気になったので登って来ました。
日暮山の登路をネットで調べると、長野県側からは軽井沢の別荘地から登るもの、群馬県側からは小平の北に延びる林道の終点から登るものがある。また『私が登った群馬300山』には、群馬県側の荷鞍沢から登り、小平に降りた1992年12月の記録が記載されている。歩き応えを求めて、小平を起点に「300山」の記録を辿る周回コースをとったが、マイナーなコースだけに道に迷いながらの山行となりました。
予報によると今日は晴れで気温も高め。しかし、矢川川沿いの道は日陰で路面に薄氷が張っていて、注意して車を走らせる。初鳥屋辺りから日暮山の山容が見える。矢川富士とも呼ばれるきれいな三角形のピークだ。
初鳥屋で左折して和美峠への道と分かれ、川沿いに進むと道が広くなっている場所があり、ご丁寧に駐車場という看板まであるので、ここに車を置かせて貰う。ちょうど小平部落集会所の前で、御場山を眺めるのに良いところだ。
車道を西に向かって歩く。御場山北面の雪は先週よりも少ない。荷倉沢橋を渡って分岐を右へ。荷鞍沢沿いの林道を遡る。日暮山南面の谷との出合のすぐ上流で、林道のガードレールを跨いで荷鞍沢を飛び石伝いで渡り、2.5万図記載の破線路に入る。まず、この取り付きが何の目印もなくて分かりにくい。対岸は杉林で、その中の古い石組みの左から明瞭な踏み跡が始まっている。
この道を辿ると日暮山とその南の1045mピークとの鞍部(南鞍部)に詰め上げる。最後はちょっと道が不明瞭になるが、疎らな林なので最低鞍部を目指して登れば問題ない。
南鞍部から広くて緩い尾根を北に向かうと、急に傾斜が強まるところに白い植林標柱が立っている。ここを北に真っすぐ登ることが出来れば山頂だが、密な植林帯で藪っぽい上にものすごく急で、とても登ることなど思いもよらない(この後で同じくらいの傾斜を登ることになるのだが)。幸い、この標柱のところで山腹をトラバースする作業道に出るので、これを右に向かう。
作業道は細いもののはっきりした道で、最後は斜め右から上がって来る道と合流する。この道が「300山」に記載の小平からの道だろう。左に登ると最後はちょっとササ原を踏んで、日暮山と東の1018mピークとの間の鞍部に出る(「300山」で主稜線上の1010m付近と表記されている地点)。
尾根を西に辿ると三笠山神社の石碑を見る。さらに尾根を進むと、この日初めての道標があり「日暮山、山頂まで急斜面」と書いてある。これは新しい道標だが、傍らには「小平 日暮山」と書かれた朽ちた道標も落ちている。昔から歩かれた道のようだ。
それにしても、山頂への登りは道標のとおり、かなりの急斜面だ。林もまばらで摑むものもない。幸いに滑り易いことはないので、なんとか登って行く。急斜面を登り切って小さなピークをいくつか越えると、御嶽神社の石碑と石祠のある日暮山山頂に到着した。
山頂は灌木に囲まれているが、東西の眺めが良い。まず缶ビールを開けながら、展望を楽しむ。西には物見山から八風山にかけてのゆったりとした山並が広がり、その向こうには八ヶ岳連峰が白く連なる。双眼鏡で覗くと物見山の左には南ア鳳凰三山が顔をのぞかせていた。東には高岩から谷急山、表妙義の山々が見える。眼下には上信越道の巨大な橋梁があり、時折、車両の走行音が風音の間から聞こえて来る。
ひとつ北のピークに行くと、シーズンオフでひと気のなさそうな軽井沢の別荘地が眼下に広がり、その向こうには白い浅間山がふわりと浮いていた。
西からの風をまともに受けて寒いので、ビールを飲んだら東鞍部まで戻って昼にしようかと思ったが、12時頃になるとピタリと風が止んだので、頂上で昼食とする。今日はコンビニで買い込んだ豚すき焼きうどんをコンロでぐつぐつ温めて食べる。うまー。
温かい食事の後、頂上を辞す。急な下りで、滑ったら止まるんだろうか、と思う程。慎重に下る。「300名山」のルートを辿るつもりで主稜線上1010mから南側に下り、作業道の入口まで戻る。ここから作業道と分かれて左へしっかりとした道が続いているのでこれを下る。しかし、やがて植林地と伐採地の間で道は消滅。どこを探しても歩けそうにない。これは困った。「300山」の記録はもう10数年前のもの。その間の植林と伐採によって道が消えてしまったのだろうか。
仕方がないので、北側の地滑り防止工事の林道に降りることにする。主稜線まで戻って、東鞍部へ。そこから赤テープを目印に北へ杉林を下ると、荒れた林道の終点に出た。雪と枯れ葉に覆われた林道を下ると、地滑り防止工事の飯場を通る。下からだとこの辺りまで車が入れそうだ。この北側の黒岩山(1132.4m)の岩壁には滝がかかっていた。
林道を下り、50分程で小平の集落に戻る。林道入口の三叉路には、御堂山にあったのと同じタイプの「群馬百名山・日暮山」という案内板があった。
帰途に♨はかかせない。今年3回目の荒船の湯に立ち寄って帰った。