御場山
下仁田ICからR254を車で西進、本宿で右折して矢川川沿いに御場山(おんばやま)登山口の高立を目指す。初めて入る矢川川の流域も西上州らしい岩壁、岩峰の多い景観が続く。途中の川の中には夫婦岩と呼ばれる奇岩があり、道路から眺められる。大水によって運ばれて来たのか、浸食によるものなのか、実に成り立ちが不思議な岩だ。
初鳥屋(はっとりや)の集落の辺りから御場山が姿を見せ始める。どのガイドやネット上の記録にも、とても1000m程の山とは思えない迫力、というような記述がある。どれ程のものかと思っていたが、実際に目にして深く納得。遠くに県境稜線も見通せてスケールの大きい景観だ。
高立に近づくと、御場山の北面の断崖が見渡せる。この時期は雪が付いているので迫力が増す。小沢岳は西上州のマッターホルンと呼ばれているそうだが、それなら御場山はさしずめ西上州のアイガー北壁とでも言えそうだ。
御場山に登る前に、高立の一本岩を見に行く。緑地に白字の「高立」のプレートが付いたカーブミラーがあるT字路を右に進むとすぐに再びT字路になる。ここには「←ハイキングコース、矢川峠・神津牧場」という道標があり、左へ。雪の積もった林道を車で上がる。ちょっと凹凸が多い道で車が心配になるが、無事、一本岩の前の小さな広場に到着。谷の真ん中にこのような岩峰がおっ立っているとは、これまた成り立ちが不思議な岩だ。
高立に戻り、集落に入る手前の道端の空き地に車を置く。積雪はさほどではなさそうだが、突き刺すような寒気だ。沢筋の道が凍っているかもしれないので、軽アイゼンとスキーストックを携行して出発。
御場山の登山口は少し分かりにくい。最初のT字路を左に行くと、すぐに左に分岐して畑の中を下る道があり、入口には消えかけて「……山、………入口」としか読めない道標がある。この道を下り、民家の前を通って丸木橋で川を渡る。川は大部分凍結していた。
対岸は杉林で、「御場山登山口」という今度はちゃんと読める道標が木にぶら下がっている。杉林の中を登ると一旦林道と合流するが、すぐに林道と分かれて(この間は要所に道標あり)沢に降り立つ。あとは沢に沿って登って行く。
ちょっと登ると、左に氷瀑が現れる。ネットの情報によると西ルンゼと言って、アイスクライミングの対象になっているそうだ。沢もあちこちで凍っているが、幸い道は凍ってなく、アイゼンは使わずに済む。土砂の押し出しが多く、荒れた沢だが、道型ははっきりしている。
沢を詰めてコルに上がると、反対側すぐ下には林道が通っている。コルから稜線を登る。途中で振り返ると木の間越しに物見山、その中腹に雪原となった神津牧場が見えた。最後は樹林の中の登りとなり、御場山の山頂に到着。
山頂は北東の方向が急傾斜で、そちらには眼下の初鳥屋辺りの集落、そしてその向こうの表妙義の展望が開けている。南側は逆光の中だが、台形の荒船山とカニのハサミのような毛無岩のスカイラインが見えた。
頂上から北に進んだ次のピークも眺めが良く、荒船山の右に兜岩山まで見えた。さらに北に進むと、御場山の北面の断崖の上に出て、木の間に高立辺りの集落が見下ろせる。ただし雑木林に覆われて広い展望はないので、御場山山頂まででも十分だろう。居心地も頂上が小広くて一番なので、頂上に戻り、大展望と鯖の照り焼き缶を肴に缶ビール、そして餅スープの昼食にする。
下りは往路をそのまま戻る。冬の山行は♨で温もるのが特に楽しみ。例によって荒船の湯に立ち寄って、帰桐した。
参考URL:下仁田町ホームページ : ハイキングコース。ここで紹介されているガイドブック「下仁田の山歩き」は、荒船の湯で80円で販売されていました。