大佐飛山
大佐飛山は男鹿山地の最高峰でありながら登山道がないという、原始の雰囲気あふれる山で、いつかは登ってみたいと思っていました。今年は雪が十二分にあり、予報によると9日は快晴。この絶好の機会を逃すと次はいつになるかわからん、ということで登って来ました。
ネットで調べると百村山へは林道巻川線からの最短ルートがあるようだが、林道の積雪が心配だったのと、長大なルートなだけに出発が夜中になり、暗い中を不案内な所でまごつくよりも急がば回れ、麓から登るというのも好みだし、ということで、以前、百村山に登ったとき(山行記録)に歩いた光徳寺からのルートを使うことにする。実は、同じ日に登った方の詳細な記録(「中高年の山登りと温泉」の大佐飛山)によると、林道巻川線ルートでも問題なかったようなので、普通はこちらの方が良いでしょう。
前日の夜11時過ぎに桐生を車で出発。光徳寺前の道ばたのスペースに車を止める。新月で月明かりはないが星がきれいだ。車内でしばし仮眠。2時半、ヘッドランプを着けて出発。杉林の中を歩くので真っ暗だが、一度歩いたことがあるので安心して歩く。
尾根上で林道を横切る直前で突然ヘッドランプが消える。電球が切れたらしい。電池の予備はあるが電球の予備がないという手抜かりが発覚。これはまいった。しかし、林道で切れたのは不幸中の幸い。舗装道路に座り込んで、星明かり(+携帯電話のディスプレー)の下でお湯を沸かしてスープを作り、パンを食べながら明るくなるのを待つ。食べ終わる頃には明るくなっていた。
スパッツを着けて再び出発。百村山からは雪が連続。軽アイゼンを着ける。素晴らしい天気になり、雪も固く締まって快適に登る。先行者がいるようで、トレースがあるのでルートファインディングも楽だ。
黒滝山の手前にはこのコース唯一の急登があるが、ここも雪の斜面についたキックステップのトレースを辿り難なく越える。黒滝山山頂で先行の方に追いつく。足下に深く大巻川が切れ込み、左右に長大な尾根を延ばして遥かに那須野が原を俯瞰する素晴らしい眺めだ。黒滝山までは刈り払いがあって無雪期でも登れるそうだが、来る価値大だと思う。
ここまでで大佐飛山への距離は半分だが、標高差はあと150mである。リンゴを食べて一休みする。黒滝山から西村山へは樹林帯の中に緩い尾根と窪が入り組んだ複雑な地形で、トレースと赤テープを目印に進む。帰り道を確認しながら、西村山に登る。
西村山を過ぎると雪が帯状に残る展望の尾根が大長山へと続く。大した登りではないのだが、この辺で睡眠不足がピークに来たのか、調子が悪い。樹林に囲まれた大長山山頂では、大佐飛山まで行けるかなー、とちょっと弱気になる。
しかし、大長山から大佐飛山へ踏み出すと、膨大な雪が残る緩い稜線が開ける。360度の展望で、開放的な眺めだ。大佐飛山は遠くに見えるが、この素晴らしい眺めで少し元気回復。日光連山や那須連峰を眺め、写真を撮りながら緩い登降を繰り返して行くうちに大佐飛山がどんどん近づいて来る。最後は樹林の中を緩く登り、頂上に着いた。ほぼ同じ時刻に5人が登頂。結構人気の山だ。
木立に囲まれて展望はいまいちだが、とにかくここまで来れてほっとする。スコップで席を作ってコンロでお湯を沸かし、餅スープ+ビールの昼食にする。ビールがうまー。これで完全に元気を回復。どうも、しゃりばてしかかっていたみたいだ(^^;)。
後は照りつける太陽の下、残雪の尾根を歩いて往路を戻る。帰りになると雪が緩んで来たが踏み抜きは一桁で済んだ。西村山と黒滝山の間ではテント泊のパーティーが続々やって来るのに会う。このあたりは風が当たらないので、テン場に良さそう。黒滝山まで来ればあとは下るのみ。最後のリンゴを食べて下りにかかる。
気温があがり、大勢の人が歩いて雪はぐさぐさになっているが、下りなのでスノーシューを使うまでもない。しかし、この長い尾根をよく登ったなー、と自分でちょっと感心。百村山でアイゼンを脱いで最後の下りを頑張る。光徳寺に到着したときには、喉がカラカラだった。
帰りは塩原温泉カントリーキャンプ場のやしおの湯(500円)に入って帰桐した。
P.S. 今度、LEDヘッドランプを買わねば。