高取山〜華厳山〜経ヶ岳

天気:☁️
メンバー:T
行程:大平登山口 8:15 …発句石 9:00 …高取山(522m) 9:10 …華厳山(602m) 9:35 …経ヶ岳(633m) 10:10〜10:25 …華厳山 10:55 …高取山 11:20 …大平登山口 12:10
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

正月休みは帰省して、横浜の実家でのんびり過ごす。その間、すき焼きやおせちなど、ご馳走三昧で食べ過ぎ。1/3に横浜から桐生に戻る際、ちょっと寄り道して軽い山歩きでカロリーを消費しようと考えて、相州アルプス南部の高取山〜華厳山〜経ヶ岳を思い付く。この3座は総称して西山三山とも呼ばれている。相州アルプスは以前、経ヶ岳〜仏果山を歩いたことがあるが、高取山と華厳山はまだ登ったことがない。アルプスといっても標高5〜600mの低山で、ヤマビルの生息域でもあるから、時期的にもちょうど良い頃合いだ。と言う訳で、歩いてきました。

実家を朝7時に車で出発。R246、市道妻田中荻野線(旧R412)、R412を経て、高取山東麓の大平登山口に向かう。登山口に向かう枝道はゴルフ場(大厚木CC桜コース)を横切っており、カート道が交錯して道標もなく分かり難い。Googleマップの航空写真で予習しておいて良かった。赤い欄干の橋を渡って右折すると獣害防護柵のゲートがあり、西山を守る会が設置した「大平登山口」の案内図が掲げられている。ゲートを開閉して中に入った所と少し奥に合わせて10台分程の駐車スペースがあり、既に駐車が1台。ここに車を置く。

車の外に出ると、今日は灰色の厚い雲が上空を覆い、冷え冷えと寒い。出発の準備をしてULDジャケットを着込む。登山口前の広場の一角に大石と「貝化石 カネハラニシキガイ」の説明板がある。石の表面を探してみると確かに貝殻の跡らしきものがある。1400〜1000万年前に丹沢が海だった頃の化石だそうだ。

大平登山口
貝化石

登山口の左手にはミツマタ桃源郷と称する群生地があり、入口から覗いてみる。開花期は3月上旬〜下旬とのことで、まだまだ早いが、多くの蕾があり、これは期待できそう。

ミツマタ桃源郷
ミツマタの蕾

登山道に入り、右に沢、左もミツマタ桃源郷の沢に挟まれた枝尾根を辿る。短い急坂を登り、右に折れて沢を渡り、急斜面を横切って尾根の上に出る。要所に古い道標がある他、消防署の「山火事注意 高取山 No.⑲」のような赤黄の標識が連続的に設置されていて、ルートは分かり易い。身体が温まって来たので、上着を脱ぐ。まだ山麓のゴルフ場からそう隔たっていないので、時折、ショット音やゴルファーの歓声が微かに聞こえてくる。

登山道に入る
両側を沢に挟まれた枝尾根を登る
右の沢を渡る
尾根の上に出る

尾根道をひと登りすると、道端の杉林の中に不動明王像、左手に数珠、右手に独鈷を携えた弘法大師像と「為先祖代々 第三十六番 山際村 林彌右衛門」と刻まれた台石が登山道に背を向けて建つ。「松石寺新四国八十八箇所」と記された説明プレートがあり、それによると天保年間(1840年頃)に造立されたもので、他にも植林地内に点在しているとのこと。

尾根を登る
松石寺新四国八十八箇所石仏

石仏から急な尾根を一直線に登る。ところどころにトラロープも設置されているが、それを頼りたくなるまでの傾斜はなく、いいペースで高度を上げていく。狩猟期間中らしく、向こうの山から数発の発砲音が微かに響いてくる。途中で、登山口の駐車の持ち主と思しきソロハイカーさんとすれ違い、挨拶を交わす。

左に見えていた稜線より高い所まで上がると、稜線を切り崩した広大な採石場が見おろせる。樹林が疎らで左斜面が切れ落ちているので、採石場の向こうに広がる平野が一望できる。遠くには相模湾が雲間からの日差しを反射して煌めき、江ノ島らしき島影も見える。

尾根を急登
採石場を見おろす

やがて、高取山の頂上稜線の肩に登り着く。ここには厚木市教育委員会が設置した「発句石(ほっくいし)」についての説明板がある。発句石は南の採石場に向かって突き出た尾根の鼻にあるようだが、入口にはトラロープが張られ、関係者以外立入禁止のプレートもある。しかし、西山を守る会のプレートもあり、「発句石は厚木市の文化財に匹敵し、眺望も良いです。ぜひ入って見てください。」とも書いてある。原則は地権者の意向に従うべきなのだろうが、ぜひ、とのことなので、入って見てみよう。

発句石への分岐
発句石からの見晴らし

発句石は尾根を少し下ったところの小平地にある。広大な採石場に面して切れ落ちた崖の縁にあり、高度感があって、南を中心に180度の展望が開ける。採石場は殺風景だが、この展望は一見の価値あり。発句石は上部が強く丸みを帯びた四角柱形の石で、「芹江」と大きく深く刻まれている。その他は何と書いてあるか読み取れないが、先の説明板によると俳人芹江の「此山や この鶯に 人も居ず」という句を自然石に刻んだものだそうだ。元々は約100m下ったところにあったが、採石場の拡大により移設されたとのこと。

発句石
鐘ヶ嶽と三峰山を望む

登山道に戻り、雑木林に覆われた細尾根を少し登って、三角点標石と山名標識のある高取山頂上に着く。樹林に囲まれて展望はあまり良くないが、木立を透かしてこれから向かう華厳山と経ヶ岳が眺められる。

細い尾根を辿る
高取山頂上

高取山から雰囲気の良い雑木林の稜線を進む。途中、常緑樹の大きな木立があり、カラスザンショウという名札が付いているが、幹に棘がないので、違う木じゃないかな(後日調べるとカラスザンショウは落葉樹)。

緩く下ると登山道の分岐があり、大沢登山口から高取山北尾根を経由する登山道を合わせる。そちらから登って来る人を遠目でちらと見かけたが、蛍光橙色の目立つジャケットを着ているから、ハイカーではなく、ハンターのようだ。

檜植林地を抜けて、雑木林の緩い登りに転じると、「蚕種石(こたねいし)」の説明板がある。道端の何の変哲もない丸石が蚕種石らしい。石の表面が冬の間は蚕種(蚕の卵の塊)のように白くザラザラで、春の催青(卵を孵化させる条件を整えること)の時期に青色に変わることから、このように呼ばれているとのこと(後日調べると、蚕種石は各地にあるようである)。石の表面には「五月」などの文字も刻まれているが、読み取るのは難しい。

蚕種石
華厳山へ緩く登る

さらに冬枯れの雑木林の尾根道をゆるゆると登って、華厳山の頂上に着く。雑木と植林に囲まれて、展望は木立の間から清川村の集落が見える程度。しかし、丸太ベンチがあり休憩適地だ。山名標識と共に会員手作りと書かれた金属ケースがあり、中に100円または200円の値札の付いたニット小物が入っている。残念ながら、財布を置いてきたので、買い物はしない。頂上からは大沢登山口に下る尾根道が分岐している。

華厳山頂上
会員手作りのニット小物

華厳山から経ヶ岳へは、急坂を大きく下る。木立の間から経ヶ岳と、その左後方に仏果山も見える。下り切った鞍部が荻野越だ。峠道らしき道はない。経ヶ岳へは植林帯の急登が続く。右側が伐採斜面で眺めが開ける箇所がある。見おろす谷はなかなか急峻だ。その向こうには関東平野が一望できる。

華厳山から急降下
仏果山(左奥)と経ヶ岳を望む
登りに転じる
東麓の展望

急坂の途中に「モミの木地蔵」なる石仏があるそうだが、多分、気が付かなかったのか、見逃す。大沢登山口への下り口を過ぎると程なく、前回登った田代からの登山道(関東ふれあいの道)に合流し、経ヶ岳の頂上に到着する。

経ヶ岳へ急登
大沢登山口への道を分ける
田代からの登山道に合流
経ヶ岳頂上

経ヶ岳は2回目の登頂。三角点標石と山名標識の他、ベンチがあり、ソロハイカーさんが高いアンテナを立ててアマチュア無線を開局中。丹沢山塊の眺めが良い所で、前回は大山から塔ノ岳、丹沢山、蛭ヶ岳まで見えた。しかし、今日は天気が悪く、灰色の雲に覆われて、奥の方の山々は全く見えない。1年前に歩いた鐘ヶ嶽〜三峰山が見える程度。強い風は吹いていないが、日差しがないのでジッとしていると寒い。ULDジャケットを引っ張り出して着込む。そのうちにパラパラと小さな雪粒が落ちてきた。予定ではここで昼食休憩をとって、カップ麺を食べるつもりだったが、寒いし、時間も昼にはだいぶ早いので、食べずにサクッと下山しよう。

鐘ヶ嶽(左)と三峰山を望む
往路を戻る(左:高取山、右:華厳山)

下山は往路をそのまま戻る。経ヶ岳から荻野越へ急降し、急坂を登り返して華厳山へ。華厳山の頂上で丸太ベンチに腰掛けて一休み。少し腹が減ってきたので、むき甘栗の小袋を一袋食べる。

荻野越
華厳山への急登
華厳山頂上
高取山に向かって緩く下る

高取山へはなだらかな稜線が続き、楽な歩き。途中、左斜面の林間に蛍光橙色のジャケットを着用したハンターが一人いるのを見かける。また、谷を隔てた向こう尾根の斜面にも橙色の人影が一人。樹林越しでもちらちらと見え、ハンターオレンジの視認性の良さに感心する。高取山の頂上を過ぎ、発句石の分岐で一休み。この先は急坂の下りなので、靴紐を締め直す。

カラスザンショウ?の林
高取山頂上
発句石分岐
採石場を右に見て下る

砕石場を右手に見ながら、尾根道を急降下する。天気がちょっと良くなって、日も少し差してくる。山麓のゴルフ場がちらちら見えて来て、古い道標が立つ地点で右折。急斜面をトラバースして沢を渡ると、大沢登山口まであと僅かの距離だ。

尾根から右斜面へ
沢を渡る

途中、ミツマタ桃源郷への分岐があるので、ミツマタ群生地を通り抜けてみよう。沢を渡るところが道が不明瞭で、逆コースの場合は迷いそう。また、群生地の中も枯れた草藪が道を塞ぐ。開花期までには多分、草刈りがされるのではないかと思う。

ミツマタ桃源郷への分岐
沢を渡ってミツマタ桃源郷へ
ミツマタ桃源郷を下る
大平登山口に帰着

大平登山口に無事に帰着。当然のことながら、駐車は私の車のみが残る。往復4時間の短い行程の山歩きであったが、丹沢らしい険しさがあり、なかなか歩き応えがあった。

帰りはR412に出て北上。中津川沿いに走ると、対岸の河川敷には多数のテントがある。この寒さの中、キャンプをしているのにビックリ。

相模原ICから圏央道に乗り、関越道に入る。寄居PAに立ち寄って昼食休憩。まだUターンラッシュが始まっていないので人は少ない。フードコートで食べた深谷ネギ味噌ラーメンが美味かった〜。また、売店で「八高線焼」なるワッフルを見かけて、思わずゲット。中に入っているチーズクリームが濃厚な風味で美味い。山歩きで消費した以上にカロリーを摂取した気がする😅。グルメを堪能したのち、北関東道を経由して帰桐した。