595m三角点峰〜鎌取山〜子王山〜高山御嶽山

天気:
メンバー:T
行程:御霊神社 8:15 …595m三角点峰 9:25 …鎌取山(747m) 11:10 …高山上組バス停 12:05 …子王山(551m) 12:30〜12:35 …御嶽コース入口 13:05 …日向山(482m) 13:20 …御嶽山(420m) 14:00 …林道終点 14:35 …御霊神社 14:55
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

この週末の天気は冬型の気圧配置が強まるとの予報。良く晴れるが風が強く、寒くなりそうだ。となると、山歩きの後は日帰り温泉に入浴して、ゆっくり温まりたい。久し振りに桜山温泉に行ってみようかな。このご時勢なので営業状況を確認すると、2015年にリニューアルしていて、名称が「桜山温泉絹の里別邸」に変わっているが、無事営業中である。

温泉が決まったら、次は登る山を考える。地形図を眺めると、桜山温泉の裏にある595m三角点峰が目に留まる。神流川北岸の山並みが最後に起こした雄峰で、関東平野から御荷鉾山系の山々の最前列に聳えて見える山だ。地形図には山名がないので点の記を調べると、点名は浄法寺(じょうぼうじ)、俗称は御嶽山とある。

御嶽山と知ると、俄然、興味が増す。この辺りには御嶽山が多く、神流川対岸の金鑚神社の御嶽山の他、地形図には山名の記載がないが、藤岡市高山神川町阿久原にもある。

この山に登った記録がないか、ネットで調べると、つい先日の1/20にヤマレコのmikabo氏が登った山行記録(末尾の参考URL参照)が見つかり、これが唯一のようだ。なんというグッドタイミング👍。これとヤマレコのyamadanuki氏の山行記録を繫げると、高山社跡辺りを起点として595m三角点峰、鎌取山、子王山、高山御嶽山の4座を周回するルートができ、歩き応えも十二分にありそう。という訳で計画を立てて、出かけてきました。

桐生を早朝、車で出発。下道を走り、藤岡市街から県道下日野神田線を走る。三名(さんな)川に沿って山間に入った辺りに世界遺産の高山社跡がある。

さらに山間を進んで、御霊(ごりょう)神社まで行く。入口に大きな石灯籠が建ち、中に入って三名川を橋で渡った先が境内で、ここの駐車スペースに車を置く。鬱蒼とした樹林に囲まれ、高い石垣と参道石段の上に立派な狛犬を従えて社殿が建つ。説明板によると、祭神は鎌倉権五郎景政で、鎌倉時代に鎌倉から勧請されたとのこと。由緒あり神さびた雰囲気のある神社だ(ただし、入口の向かいに殺風景な施設があるのが玉に瑕)。


御霊神社入口から登路の尾根を仰ぐ


御霊神社

社殿に参拝したのち、右脇の沢を渡って、杉植林に覆われて藪のない尾根に取り付く。地形図の等高線から予想していたよりも険しい尾根だ。すぐに岩場が現れ、ここは岩に根を張った立木を利用して、ちょっと強引に直登する。


右脇の沢を渡って尾根に取り付く


いきなり岩場が出現して直登

急坂を上がるとしばらく平坦な尾根が続き、また急坂となって岩場が現れる。これは正面から容易に登れる。小ピークを越えると第三の岩場に差し掛かるが、傾斜が緩く、問題なく通過。


平坦になったと思ったら…


…第二の岩場


小ピークを越えると…


…第三の岩場

標高が上がり、左の谷は深く急だ。杉林に覆われているにもかかわらず、強風が吹き抜けて寒い。歩き始めからフリースを着込んでいるが、急登でもほとんど汗をかかない。

やがて一直線の露岩の多い急坂に差し掛かり、右斜面が疎らな雑木林となって、ますます風が強まるなかを登っていくと、595m三角点峰の頂上に着く。三角点標石の他は、文字が消えて、かろうじて「595m峰 フジオカ」と読める標識があるのみ。樹林に囲まれて展望はなく、木の間から北麓が見える程度だ。


最後の急登


595m三角点峰頂上
(点名:浄法寺、俗称:御嶽山)

風が強くて寒いので、あまり長居せずに先に進む。ほぼ平坦な稜線を辿り、小さく登って次のピークに着く。ふと辺りを見回して、東へ落ちる尾根を僅かに下ったところに石祠を発見。東を向いて建ち、屋根の正面には天狗の刃団扇、台座正面には講中の文字、側面には小池善兵ヱなどの江戸時代っぽい氏名が刻まれている。

後日、古い地形図を調べると、東麓の八木沢集落からこの尾根を登る破線路が記載されており、これが古の参拝路かも。興味を引かれる。


なだらかな頂上稜線を辿る


小ピークから少し下った所に石祠

さらに頂上稜線を辿ると、右へ緩く弧を描いてゆるゆると進んだのち、571m標高点の手前で急降下。下り着いた鞍部には「保安リフレッシュ事業」なる新しい看板がある。手入れの行き届かない保安林を県と市が所有者に代わって整備しているそうだ。


急降下して着いた鞍部の看板


登り返して571m標高点へ急登

急坂を登り返して571m標高点に達すると、再び緩く幅広い稜線となる。植林に覆われて展望は全くなく、地味な縦走が続く。下り着いた鞍部の左右には作業道が通じている。緩斜面の登りとなり、浅い掘割状の踏み跡を辿って稜線に復帰すると、幅広い山道に合流する。作業道のようでもあるが、少し進んだ所には丸太ベンチがあるから、登山道らしい。


だらだらと稜線を辿る


踏み跡を辿って登山道に合流

登山道を辿ると、636m標高点のピークの左を巻いて、山腹を斜めにトラバースする。杉林の下生えのシダの緑がなかなか綺麗で、山らしい山道だ。稜線を乗り越すと、右斜面のトラバース道となる。南麓の日向からの道を合わせると、大きな獣捕獲檻や「鎌取ハイキングコース」の倒れた案内看板のある五叉路に着く。ここが三高(さんたか)峠で、りんどう峠、椚山、高山入山への作業道が分岐する。


左山腹をトラバース


稜線を越えて右山腹を進む

峠から稜線上を直進するとすぐに作業道のY字路となり、尾根の左右に道が分かれる。どっちの道を行くのかな、と考えていると、右の道から5台程のオフロードバイクの一団が排気音と共に下って来て、左の道へ排気ガスの臭いを残して登って行った。

ここは真ん中の尾根を登ってみたが、すぐに左の作業道と合流。伐採地を経て5分程作業道を辿り、植林中の踏み跡に入ってなだらかに登ると鎌取山の頂上に着く。

頂上には丸太を円錐形に組み上げたオブジェがあり、キャンプファイヤーをやったら火力が盛大に強そう、と思わず空想する。オブジェの脇に山名標識と三角点標石がある。植林に囲まれて展望は全くなく、イメージしていた通りの地味な頂だ。なお、頂上には山の神と石仏もあるそうだが、丸太オブジェに気を取られて見過ごした(^^;)


ここから山道に入る


鎌取山頂上

頂上から先は道型を辿って緩く下ると、程なく鎌取山の北斜面をトラバースする林道の法面の上に出て、西から北にかけての展望が開ける。西には東御荷鉾山、西御荷鉾山、赤久縄山、稲含山と連なる山並みが薄らと白く、澄んだ青空にくっきりとスカイラインを描く。西から北にかけては、鮎川北岸の山々の向こうに、真っ白に冠雪した浅間山を遠望する。これはなかなかの好展望だ。


林道付近から御荷鉾山
赤久縄山、稲含山の展望


真っ白な浅間山を遠望

雪に覆われた駐車場に下り着いて通り抜けると、林道の逆T字路に出る。ここがりんどう峠と呼ばれる地点のようだ。北に向かい、全面通行止の看板の脇を通って林道高畑線に入る。林道を下ると、すぐに尾根上の崩落地(2019年の台風19号の被害らしい)に出て道が途絶し、迂回する新しい林道が建設中である。


林道高畑線を下る


途中は林道工事中
子王山(中央左)と牛伏山を望む

尾根を下って林道に復帰し、あとは林道を歩く。道の左右に雪の塊が整列しているのは、どういう成り立ちでこうなった。尾根上を進むとY字路となり、「りんどう峠↔︎椚山」の道標が倒れている。ここは右に進み、604m標高点を巻いてトラバースする。


2列に整列した雪の塊


右斜面の道に入る

次のY字路も右へ。道路脇にCB(コンクリートブロック)造の小屋(水道施設?)がある。すぐに山上の闊達に開けた緩斜面に出て、595m三角点峰から鎌取山への稜線を望む。陽当たりが良く、ポカポカと暖かい。道端に低く枝を広げた赤松の古木がある。案内板によると「高山のカサマツ」といい、推定樹齢200年とのこと。


このY字路は右へ


椚山集落から595m三角点峰を望む

椚山の集落に入ると養蚕農家の立派な建屋が点在する。杖をついて散歩中のおばあさんに挨拶し、しばらく立ち話。あの山(595m三角点峰)から歩いて来ました、と言うと、一人で歩いて獣が怖くないのかい、と感心される。夜は家の近くに猪や鹿がやって来て💩をするので、臭くてかなわないそうだ。


椚山の集落に入る


鎌取山を望む


ロウバイ


県道に出て左折

長閑な山村風景を楽しみつつ、民家の間を通り抜けると、県道に出る。この地点には「高山上組」のバス停がある。「二千階段へ⇨」との道標にしたがって左の道へ。畑地が広がり、民家が点在する緩やかな起伏を進む。

10分程歩くと右に小径が分かれ、「御嶽コース」と辛うじて読めるボロボロの案内図がある。ここが高山御嶽山への登山道の分岐点だ。そちらへ行く前に、子王山がすぐ近くなので、往復して登って来よう。


御嶽コース入口


入口にある案内看板

分岐点を左に進むと、ちんまりと聳える子王山が見えて来る。山腹を一直線に登る階段も一瞥でき、なかなか急だ。鞍部に高山(二千階段入口)バス停とWC、みはらし茶屋(冬季休業中)があり、ちょうど折り返しのバス(藤岡市めぐるんバス)が停車している。


子王山に向かう


高山(二千階段入口)バス停

みはらし茶屋からも御荷鉾山と赤久縄山の眺めが素晴らしいが、正午を回って気温が上がったせいか、少し霞がかかっている。伐採されて桜が植えられた急斜面の階段を登る。擬木の階段は段差があって、なかなかキツい。


御荷鉾山と赤久縄山を望む


子王山へ階段を急登

樹林に入ると「四00段」の標識があり、子王山の頂上に登り着く。頂上は小広く、三角点標石と石祠がある。樹林に囲まれて薄暗く、北面だけ木立が切れて展望が得られる。

展望は頂上と西の肩(子王山城の案内看板あり)の間の方が良い。望遠鏡が設置され、家族連れの小学校低学年位の姉弟がかわるがわる覗き込んでいる。関東平野北部に広がる前橋、高崎辺りの市街と、それを取り巻く榛名山、子持山、赤城山の山並みを一望し、これぞ群馬という感じ風景が展開する。


子王山頂上


子王山から赤城山を遠望

展望を楽しんだのち、階段を下って、みはらし茶屋に戻る。めぐるんバスは定刻になって発車したようで、もういない。陽だまりに腰を下ろし、昼食代わりにブロックチョコを齧ったのち、御嶽コース入口まで戻って、高山御嶽山に向かう。


階段からみはらし茶屋を見おろす


階段の途中から望む595m三角点峰

分岐点から小径に入って下る。畑地を通り、車道に出て左折。ここには「←御嶽コース」の道標がある。


御嶽コースに入る


ここは左折(道標あり)

車道の突き当たりを直進して山道に入る。ここにも以前は道標があったようだが、今は杭しか残っていない。杉林を下り、小さな沢を鋼製足場板の橋で渡る。この橋は(後で出てくる案内地図によると)ロマン橋と呼ばれている。どんなロマンなのか、想像が難しい😅


正面の山道に入る(道標なし)


沢を橋(ロマン橋)で渡る

橋を渡った先は道型が怪しいが、広場の奥から踏み跡を斜めに登り、小尾根を左に進むと主稜線に乗る。道端には「←御嶽コース→」の古い道標が倒れている。


広場の奥から斜上


右に登って稜線上に出る

あとは稜線上の明瞭な道型を辿る。左てには雑木林の合間から鮎川沿いの集落が見おろせる。緩く登って、日向山の頂上に到着。コース案内図と「日向山 N36°11′41″ E139°00′53″」と座標まで入った山名標識が倒れている。かつてハイキングコースとして道標が整備されたが、今は整備の手が入っていないようだ。


雑木林の稜線を緩く登る


日向山頂上

雑木と植林の混じる林に覆われた稜線を東へ辿る。尾根は痩せ、両側の斜面はなかなか急だ。小ピークを越え、痩せ尾根を急降下する。手摺にトラロープが固定されているが、あまり荷重はしたくない。危険とまでは行かなくとも、ハイキングコースとしては険しい。樹林に覆われて展望はないが、途中の大岩から南面の眺めが得られ、三名川の谷が深い。


稜線を東進


痩せ尾根を辿る


急坂の下り


大岩から南面の谷の眺め

小ピークをいくつか越え、急坂を登ると「三笠山刀利天」の石碑が現れる。さらに少し登ると高山御嶽山の頂上に到着する。


御嶽山への急登


「三笠山刀利天」石碑

頂上も樹林に覆われて展望は皆無。石垣の上に南向きに「意波羅大神」石碑、「御嶽山座王権現」石像、「八海山大神」石碑と石祠が立ち並び、少し離れて「少彦名命(すくなひこなのみこと)」の石碑が建つ。「三笠山」石碑を含め、どれも木曽御嶽信仰の神々だ。


御嶽山頂上


「御嶽山座王権現」石像

少し休憩して縦走を再開。左手の木立を透かして、山麓のゴルフ場とその向こうに広がる関東平野が眺められる。「危険!!」の標識と岩稜が現れるが、左に巻道が通じている。南面の眺めが得られる箇所があり、三名川の谷を隔てて、595m三角点峰から鎌取山への稜線が見える。こうして見ると、今日はなかなかの長丁場を歩いてきたものだ。


「危険!!」の標識


岩稜を左から巻く


595m三角点峰(左)を望む


鎌取山を望む

小さなアップダウンのあるなだらかな稜線を辿ると、406m三角点峰に着く。三角点標石の他、御嶽コースの案内図が例によって倒れている。案内図によると、この地点は追分と呼ばれている。


なだらかな稜線を辿る


追分(406m三角点)


追分にあった案内図


左寄りの尾根を下る

ここが最後のピークで、県道に向かって下山にかかる。Y字に分かれる枝尾根の右の方を少し下り、トラロープに誘導されて左の枝尾根に移る。ゴルフ場に向かって落ちる枝尾根を急降下し、右折すると林道塩水線の終点に出る(道標あり)。


林道塩水線の終点に着く


林道をジグザグに下る

あとは急な山腹にジグザグに刻まれた林道をテクテク下る。途中、崖崩れで道を岩屑が埋めた箇所があるが、概ね良い道で気楽に下れる。何度も大きくジグザグを切ったのち、県道に下り着く。車を置いた御霊神社は、県道に出て左のすぐの所にある。


県道に下り着く


御霊神社に戻る

帰りは予定通り桜山温泉に立ち寄る(850円)。入浴客はオフシーズンなためか、このご時勢だからか、そう多くない。今日は寒かったから、ゆっくり湯船に浸かって温まるのは最高に気持ち良い。それからR462、県道桐生伊勢崎線を経由して、桐生に帰った。

参考URL:偏平足さん「石仏441高山中・御嶽山(群馬)」、yamadanuki氏「高山社跡ー御嶽山(高山)ー日向山ー子王山ー椚山ー鎌取山ー桜山ー八塩温泉(藤岡市)(登山?林道歩き?)、mikabo氏「三等三角点 浄法寺 名もなき峰へ(浄法寺 桜山 鎌取山)」の各記事。