想台山

2020年12月13日(日)
天気:一時
メンバー:T
行程:観音寺 8:40 …石尊山 9:30 …想台山(920m) 10:55〜11:10 …923m標高点 12:05〜12:20 …車道 13:15 …観音寺 13:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

想台山は横田正二著『私が登った群馬300山』や後藤信雄著『里やま深やま』で紹介されている山で、沼田市白沢町にある低山だ。山頂は小さく突き出た岩峰となり、山麓の集落からも眺められ、その山容から地元では「でべそ山」とも呼ばれている、とのこと。

想台山の所在は群馬300山を読んで、以前から知ってはいたが、あちら方面の山は馴染みが少ないこともあり、これまで食指が動かなかった。先週、隣の沼田市利根町での山歩き(山行記録)を計画した際、想台山にはまだ登っていないことを思い出す。そろそろ出かける頃合いかな。ネットで想台山の山行記録を検索すると数件しかなく、妙に不人気であるが、情報が少なくて逆に興味が増す。という訳で思い立って、出かけて来ました。

桐生を朝のんびりと車で出発。R122、県道沼田大間々線を経由し、片品川沿いの県道から分岐して、想台山南麓の生枝(なまえ)集落に向かう。片品川の河岸段丘の上に上がると平坦な田園地帯が広がり、すっかり雪に覆われた谷川連峰を遠望。想台山のポッコリとした頂も青空に突き出て眺められる。高くはないが、なかなか険しい山だ。

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白銀の谷川連峰を遠望

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南麓から望む想台山と石尊山(右)

R120に出て日光・尾瀬方面に向かい、椎坂白沢トンネルの少し手前にある観音寺に到着。駐車の許可を得るために寺務所を訪ねると、住職の奥さん?に応対頂いて、快諾を頂く。ついでに想台山について伺うと、登る人はちょくちょく居るとのこと。ご自身も数回登ったことがあるそうだ。

観音寺の駐車場に車を置いて出発。寺の前でR120から左に分かれる車道に入ると、すぐに壊れた鳥居があり、扁額には「諏訪大明神」とある。

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観音寺

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諏訪大明神の鳥居跡

車道の少し先には別の鳥居があり、扁額には「武尊宮」とある。ここから細く急な石段を登ると二つのお宮が建ち並び、これが武尊宮かな(後日調べると、左は諏訪大明神、右が武尊宮だそうだ)。石段の上端にはトラロープが張られ、実は石段は通行止になっていた。ここには、石段を登らずとも、諏訪大明神の鳥居の右から山道を登って来られる。

武尊宮から坂をひと登りすると石灯籠や多数の石祠があり、その奥の平地に生枝神社の拝殿と本殿が建つ。無住の神社だが、拝殿の中には「奉祝天皇陛下御即位」の幟が掲げられ、本殿は比較的新しい木祠で、地元の信仰を集めている様子が窺える。

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武尊宮

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生枝神社

本殿の裏から尾根を辿る。左斜面は薄暗い檜植林、尾根上と右斜面は冬枯れで明るい雑木林に覆われる。道型はないが藪もなく、灌木の小枝が少しうるさいだけだ。積もる落ち葉を踏んで尾根を登って行くと、開削ホヤホヤの林道に突き当たる。

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雑木林の尾根を登る

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林道を横断

尾根筋は高い法面で削られているので、左に回り込んでザレた斜面を這い上がり、尾根に復帰する。露岩が点在し、赤松が生えた尾根を急登する。

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露岩と赤松の尾根を登る

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岩尾根を急登

樹林の切れ間から振り返ると、山麓の田園や赤城山の山裾の河岸段丘、沼田市街、子持山の眺めが開ける。これはなかなか良い眺め。ここから僅かで石祠のある石尊山頂上に着く。展望は赤松に囲まれて、木の間から想台山が見える程度。石祠には「文政三庚辰天(1820年)五月吉日 惣村中」と刻まれている。古くて立派な石祠だ。朽木が倒れ込んで、石祠の屋根に触れそうな寸止め状態なので、ちょっと脇に退けておく。

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振り返って沼田市街と子持山を望む

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石尊山頂上

石尊山から小さな岩場を下り、露岩と赤松の尾根を辿る。左手には木立を透かして想台山の岩峰が眺められる。右隣の小岩峰との間は急峻なギャップとなっている。想台山へはあのギャップを越えて行くことになるのだが、行けるかなあ。ちょっと不安になる。

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石尊山北東峰

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想台山を望む

尾根の末端は岩場となって切れ落ち、右(南)側の展望が開けて、眼下にはR120の椎坂峠越えの旧道、その向こうには片品川の深い谷を隔てて、黒檜山や船ヶ鼻を遠望する。

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北東峰の末端

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赤城山〜船ヶ鼻を遠望

岩場から鞍部に下ると、左斜面のすぐ下に新しい林道が通じているのが見える。赤松の生えた斜面の登りに転じ、落ち葉や枯れ枝をパキパキと音を立てて踏んで急登する。やがて傾斜が緩み、しばらく尾根を辿ると、左へ想台山への尾根が分岐し、この尾根を下る。

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赤松の斜面を急登

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想台山への尾根の分岐

木の間から想台山の台形の頂を正面の少し下に望みつつ、ザラザラで滑り易い尾根を急降下する。

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木の間から想台山を望む

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ザレた尾根を急降下

細い尾根を小さくアップダウンして、小岩峰に頂上に着く。正面には想台山の頂が岩場を交えた急崖を峙てて、予想していたよりも険しい。

小岩峰の先は鞍部に向かって険しい岩場の下りとなっているので、少し戻り、小岩峰の左斜面をトラバースして鞍部に向かう。しかし、このトラバースも相当険しく、滑落したらアウト。肝を冷やす。ようやく鞍部に辿り着いて、小岩峰を見上げると、実は降りられそうな感じだ。ここはルートの選択を誤った。

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小岩峰から想台山を望む

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小岩峰を巻いて鞍部へ

鞍部から想台山の頂上を仰ぐと、ほとんど壁にしか見えないが、立木があるので、なんとかなりそう。取り付いて、ほぼ正面を直上する。しかし、ここは左から登った方が良かった。木立は枯れてポッキリ折れるやつもいるし、岩角を摑むとグラグラで頼りない。最後は強引に攀じ登って、なんとか頂上に這い上がる。いやー、ここも肝を冷やした。帰りはここ、下れるかな…。

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鞍部から想台山を仰ぐ

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想台山頂上

頂上は小広い平地となり、木の幹に古い山名標識がかかっている。木立に囲まれて展望に乏しいが、切れ間から北西の眺めが得られる。北から急に雪雲が広がって陽が翳り、小雪がちらつく。国境稜線は雪雲の中だ。北隣には高くなだらかな稜線を仰ぎ、山上に大きな建物が見える。地形図をみると、ゴルフ場があり、そのクラブハウスのようだ。

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国境稜線は雪雲の中

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北方の山の眺め

お菓子を食べてペットボトルの紅茶を飲み、気を落ち着けたのち、想台山の下りにかかる。『里やま深やま』では西尾根を下っているが、険しそうなので、ここはやはり様子が知れた往路を戻る。鞍部に対して右に向かうリッジを下り、急斜面を斜め左に下って鞍部に着く。一応、細引きは携帯しているが、案ずる程、難しくはなく、使わずに下れた。

鞍部から小岩峰へは岩を縫って直登し、頂上直下は右側のバンドを登ってピーク上に出る。小岩峰〜想台山の間はルートを誤らなければ、(西上州や足尾山地で岩場に慣れているので)そう難しくはなかったが、マーキングの類がなく、ルート選択の難度は高い。

尾根の分岐まで往路を戻り、そこから北隣の932m標高点のある尾根に向かう。こちらも赤松と冬枯れの雑木林の明るい尾根で、藪は全くない。

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尾根の分岐に戻って北進

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923m標高点への尾根を下る

一頻り下るとアップダウンのある細尾根となる。やがて、捻くれた枝振りの松の大木が現れ、その先は岩場で切れ落ちているが、下降可能だ。

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細尾根を辿る

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松の大木

さらに細尾根を辿り、左斜面が崩落した尾根を登ると、923m標高点のピークに着く。上空の雪雲は消えて、青空が戻り始めた。

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左斜面は崩落

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923m標高点

このピークで右に折れるべきところを、うっかり直進。左手に想台山を眺めて悦に入っていたら、傾斜がどんどん増して、ルートミスに気が付く。923m標高点へ登って戻り、北面の灌木密度が高い急斜面を下ると、再び尾根筋が明瞭になる。

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923m標高点から右斜面を急降下

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尾根筋がはっきりする

次の尾根の分岐は斜め左へ。左手に想台山が眺められる。露岩が多く、灌木に覆われた尾根を下る。途中、小広い平地があり、ここは突っ切って進むと、再び細尾根となる。

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ここは斜め左へ

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想台山を望む

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尾根を急降下

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尾根上の平地を突っ切る

尾根上に「群馬縣」と刻まれた石標が現れると、なだらかな尾根となる。雑木林と杉植林の境界の尾根を下ると、高い法面の上に出て、真下に車道を見おろす。

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なだらかな尾根を下る

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法面に突き当たって車道を俯瞰

法面の縁を左に下り、最後は枯れ沢の中を下って車道(利根沼田望郷ライン)に着く。ドライブで人気の高い道だが、今日は車の通りが少ない(普段もこんなもの?)。あとは車道を下り、斜め左に分岐して山の端を回る舗装道に入って、広大な農地と県北の山並みを眺めながらのんびり歩き、車を置いた観音寺に戻る。

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この法面の右端を下って来た

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黒檜山と船ヶ鼻を遠望

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子持山(左)を遠望

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観音寺に帰着

5時間程の短い行程の低山歩きであったが、岩峰のスリルある登降、道のない尾根歩きと、小さいながらもピリッとするものがあり、楽しめた。帰りは久し振りに望郷の湯に立ち寄りたかったが、財布を忘れたことが発覚(^^;)。今日は軽い山歩きだったから、温泉はまあいいか。すぐに帰途について、日の高いうちに帰桐した。


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