荒船山
桐生を未明に車で出発。今日は久しぶり(確認すると3年ぶり)に西上州の山に向かい、相沢登山口から荒船山に登る予定だ。下仁田町HPによると、相沢登山口の駐車場は砂防堰堤の工事中で利用不可、手前の相沢川取水ダムの駐車場をご利用下さい、とのことなので、取水ダムに車を置く。このダムは結構大きい。天端から朝日に照らされた荒船山をなかなか高く仰ぐ。今日は快晴の山歩き日和だ。なお、ダムの説明板によると、取水ダムと言っても利水目的ではなく、河川トンネルで道平川ダムに水を流して洪水調節を行うためのダムらしい。
朝食にパンを食べたのち、歩き出す。車道を上がって相沢の集落を通り抜け、15分程で相沢登山口に着く。確かに駐車余地はほとんどなく、路側に1〜2台置けるかどうかというところ。取水ダムに駐車するのが吉である。
川沿いにさらに奥に延びる車道から分かれ、案内図と道標のところから登山道に入る。案内図にはクマ出没注意!との(数年前の)掲示があり、中の宮付近で熊の親子が目撃されたことがあるらしい。まあ、居るよね。今回は、忘れず熊鈴を付けている。
杉林の中の登山道に入ると、しばらく支流の沢の右岸を進んだのち、切り返して支尾根の上に出る。雑木林とときおり杉林に覆われた尾根を絡んで登る。雑木林の中には、黄緑色の木の実が沢山落ちている(後日調べ:多分オニグルミの実じゃないかと思う)。
左上方には、紅葉の雑木林を透かして荒船山を仰ぐ。ゴツゴツとした岩峰が垣間見え、西上州の山らしい眺め。荒船山の頂上部は中腹が邪魔をして、多分ここからは見えない。主稜線ではなく、中腹にある岩峰のようだ。
登山道は尾根筋から離れて左斜面をトラバースして行く。下から瀬音が近づいてきて、やがて沢と合流。小さな尾根と沢がいくつも走る斜面をジグザグに登る。大きな転石が散在し、その間の落ち葉に隠された道型をテープやケルンで追って登る。
杉林の斜面をジグザグに登って行くと、木立の間に高さ十数mはあろうかという巨岩が出現。雨宿りできそうな大きな岩庇の下に木の祠が置かれ、中の宮の標識がある。
登山道は中の宮を過ぎると、ときおり大きくジグザグを切りつつ、杉林に覆われた山腹を斜め上にグングン登る。ひとしきり登ってひと汗かき、尾根の上に出る。尾根を覆う樹林は黄葉し、日差しに照り映えて綺麗だ。反対側の山麓から、R254を通行する車の走行音が風に乗って微かに聞こえて来る。
ここから小尾根の上の急登となり、小さくジグザグを切ってグングン標高を上げる。尾根の鼻を回ると、眼前に艫岩の絶壁がドーンと姿を現す。高々と聳え立って、いやー、これはすごい岩壁だ。艫岩の上から下を覗き込んで見たことはあるが、真横から見たのは初めて。このコースの一番の見所だ。
大岩壁を見上げながら、転石ゴロゴロの少々歩き難い急坂を登る。やがて手摺の付いた木の階段が現れ、小さな岩壁の基部に沿って急斜面を登る。
意外と長い階段を登り切ると頂上台地の一角に着き、丈の低い笹原の踏み跡を辿って稜線上の登山道に合流する。荒船山最高点の経塚山は左だが、まずは右へ。僅かの距離にある艫岩展望台に立ち寄って行こう。
休憩小屋の脇を通り、艫岩の絶壁の上にある展望台に出る。人気のスポットで、内山峠から登ってきた多数のハイカーさんが展望を楽しんでいる。私がここを訪れるのは2004年4月、2014年7月に続いて3回目。今回が一番展望が良い\^o^/
断崖絶壁の縁からの展望は、空中から眺めているようで、高度感が半端ない。正面には物見山がのったりと横たわり、中腹を蛇行するR254を遥か下に俯瞰する。R254沿いの紅葉は今が見頃のようだ。物見山の向こうにはどっしりと大きな浅間山を遠く仰ぐ。
浅間山から目を左に転じると、白く冠雪した白馬連峰を遠望。さらに槍・穂高連峰、乗鞍、御嶽、蓼科山と中部山岳の高峰がズズズいーっと展開する。素晴らしい。
展望を堪能したのち、経塚山に向かう。平坦な頂上部を覆う樹林は葉を落として、明るい日差しを浴びながらのんびり歩く。
星尾峠への分岐を過ぎ、急な坂をちょっと登ると、荒船山最高点の経塚山の頂上に着く。
経塚山の頂上も大勢のハイカーさんが休憩している。私もレジャーシートを広げて腰を下ろす。ハイカーさん同士の話が聞くともなく耳に入ってきて、京都からいらした方も居られるようだ。さすが、200名山の人気は全国区だ。
一応、カップ麺の昼食は持って来ているが、まだ10時前でお昼には早い。水を飲んで少し休んだのち、往路を戻って下山にかかる。
帰りも艫岩展望台に立ち寄り、大展望を見納めて、相沢コースを下り始める。
稜線直下の階段は、登りではどうということはなかったが、下りはかなり急に感じられて、手摺がありがたい。転石で滑り易い急坂を下る途中で、二人組のハイカーさんとすれ違う(その後、単独ハイカーさんとすれ違って、相沢コースでは計3人のハイカーさんと交差)。右斜面を下る道に入れば、あとは歩き易い。
相沢登山口に下り着くと、交差したハイカーさんの車と思しき駐車が2台。後は車道をテクテク歩いて、相沢川取水ダムに戻る。相沢集落に入って正面に見える、岩壁を擁した尾根は千ヶ平の北尾根のようだ。これも西上州らしい眺め。駐車地点に帰り着き、艫岩を振り返って写真に収めたのち、車を走らせて帰途に着く。
帰りはこれも久しぶりに荒船の湯に立ち寄る。実は昨年9月に一旦閉館していたのだが、町営から民営に転換し、10/25にリニューアルオープンしたことをネットで知って、今回、温泉を主目的に山行計画を立てた(^^)。こちら方面の山に登った際に何度も立ち寄ったことがあり、西上州では数少ない貴重な温泉なので、復活して大変嬉しい。
設備は外装、内装ともピカピカに新しくなっており、気合を入れてリニューアルしたことが窺われる。温めの湯船にゆったり浸かったのち、食堂で昼食をとる。家族連れなどのお客さんで繁盛している。メニューも充実。もつ煮定食を注文する。リーズナブルな値段(800円)で、かつ、美味しかった。山歩きと温泉と食事でリフレッシュして、桐生への帰途についた。