立岩〜荒船山
今年は冬の訪れが遅く、雪が少ない。冬の西上州の山々は岩場が凍結すると怖そうだが、この分ならばまだ大丈夫。ということで、立岩の岩峰を経由して荒船山に登ってきました。
天気は下り坂との予報なので、少し早めの朝5時に桐生を車で出発。上信越道下仁田ICから南牧村に入り、急斜面に民家と畑が点在する山村を縫って走る。立岩山麓の大上の集落に入ると、見上げる立岩の岩峰に朝日が当って赤く染まっている。天気は当面良さそうだ。
登山口の線ヶ滝は大上の集落を抜けてすぐ。夜明け直後の7時に到着。車道終点の路肩に車を置く。まだ他に車はない。線ヶ滝は帰りに見ることにして、登山開始。すぐに星尾峠への道を分けて立岩への直登ルートに入る。
立岩の基部を目指して登ると、林の上にのしかかるように岩峰が聳ち、どこをどう登るのか、ちょっとワクワク。ルンゼ状のガレを登り、岩壁に斜めについたバンドを鎖場で上に出る。意外と広い雑木の尾根だが、横に寄ると大絶壁の上で、山麓の集落が足元だ。
麓から1時間ちょっとの登りで最高点の西立岩山頂に到着。行く手の荒船山の山頂は次々と流れて行く寒そうな雲の中にある。
西立岩の次のピークも毛無岩方面の展望が良い。尾根を北へ辿る。途中、細い岩稜上の鎖場の登りがあるが、階段状なので問題ない。左に威怒牟畿(いぬむき)不動へ下る一般登山道を分け、そのまま直進して、尾根を辿る荒船山への踏み跡に入る。
ちょっと急登で荒船山〜黒滝山の稜線に出る。ここからは木の階段があったりして、かつては整備された道のようだが、最近はあまり歩かれていないのか、一部に少し深いササ藪がある。しかし、これで一度、黒滝山まで歩いてみたくなった。
荒船山最高点の行塚山は、台地の上の一突起というイメージがあったが、こちらから登ると意外と登りでがあり、急登で山頂に飛び出す。樹林に囲まれて展望は木の間越しのみだが、雲が上がって、梢の霧氷が綺麗だ。
行塚山から艫(とも)岩へは、最初の短い下りが凍っていて少し気を使ったが、後は広くて平らな尾根で、のんびり歩ける。行塚山に着くまでは全く人に会わなかったが、ハイカーと行き合う回数も増える。
相沢への道を分け、避難小屋の屋根が見えると、そのすぐ先が艫岩の大絶壁。話には聞いていたが、実際にその上に立って下を覗き込むと、くらくらするような高度感だ。北側は全く遮るものがなく、噴煙を上げる浅間山、先週登った谷急山と妙義の山々、遠くには上信越国境の白い稜線の眺めが良い。
小屋は地元の方々?が清掃中。居心地良さそうな小屋で、ここに泊るのも良さそうではあるが、小屋のすぐ前にこんな大ジャンプ台があるのでは、宴会が盛り上がり酔っぱらって小屋の表に出たりしたら怖いなぁ、とついつい想像してしまった。
周辺にはベンチもあるので、ここで昼食。ちょっと寒いが、缶ビールをあけ、舞茸と豚小間肉をバターで炒めてつまみ食いしつつ、残りをラーメンの具にする。うまし!しかし、気温が低いとブタンガスでは火力が非力だ。冬用にガソリンコンロ買おうかなぁ。
昼食の後は行塚山の下まで戻り、星尾峠へ。あとは下るだけかと思ったが、まだまだ見所が控えていた。田口峠への道を分けると、高岩と立岩の岩峰を見ながら山腹を巻く、表妙義中間道のような感じの道となる。
大きな杉木立が現れると威怒牟畿不動への分岐。すぐ奥に東屋があり、その向こうに見事なハング滝が見える。崖下には傾いて崩壊寸前のお堂があり、水は霧吹状になってお堂の手前に落ちている。
さらに車に戻ってザックを下ろし、デジカメ片手に線ヶ滝を見に行く。落差35mの名のごとく一直線に流れ落ちる滝だ。滝壺まで歩道があり、数分で降りることができる。滝壺の下流もすごいゴルジュになっている。素晴らしい。こんなところがあったとは、これからも西上州なかなか楽しめそうです。