新三郎〜四方原山

2020年9月22日(火)
天気:時々
メンバー:T
行程:加和志湖 6:20 …栂峠 8:00 …新三郎(1682m) 8:30〜8:40 …栂峠 9:15 …1685m三角点峰 10:15 …四方原山(1632m) 12:15〜12:45 …林道に降りる 13:40 …白岩バス停 15:15 …加和志湖 15:35
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

9/19〜22の4連休、初日と2日目は天気が良くなかったので、自宅でのんびり過ごす。3日目もイマイチの天気だったが、家にこもりきりでは身体が鈍るので、吾妻山@桐生にトレーニングで登る。最終日はようやく晴れの予報が出て、長野県の天気が良さそうだ。そちら方面の行き先を考えて、南佐久の四方原山(よもはらやま)を思い付く。

四方原山には一等三角点が置かれ、1/20万地勢図にも山名が記載されているくらいだから、この地域を代表する山と言えるが、目立たない平らな山容で、登山の対象としてはあまりメジャーにはなっていないようである。

登路は南麓の白岩集落から中腹まで林道を利用するものがある。四方原山だけでは物足りない向きには、茂来山からの縦走が良く歩かれている。茂来山は登ったことがあるので、反対側の群馬・長野県境稜線の新三郎から縦走する計画を立てて、出かけてきました。

桐生を未明に車で出発。高速で八千穂高原ICまで行き、R141を南下して小海市街で左折。小海駅前を通り、相木川に沿って山間に入る。白岩集落を通過し、最奥の集落を抜けた少し先に加和志(かわし)湖があり、湖畔の駐車場に車を置く。昨年の台風19号でかなり土砂の押し出しがあったようで、重機で整地した跡が残る。

上空には曙色の雲が一部に掛かるが、青空が広がって天気は良い。車の外に出ると空気がひんやりと冷たい。静まり返った湖面には、御座山に続く山稜がくっきりと映る。最近、各地から熊出没のニュースを頻繁に聞くので、熊鈴を付けて出発。湖畔から林道栂峠線に入る。なお、林道入口には綺麗なWCがある。

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加和志湖

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林道栂峠線入口

林道の奥でも災害復旧の工事が行われているらしく、路面は大型車両によって踏み固められている。周囲の山は松茸山になっていて、立入・無断採取禁止の掲示がある。林道脇に「栂峠→」という道路標識のような金属製の道標があった。もしかして、本当に道路標識で、峠まで林道が通じているのだろうか(結局、そんなことはなかった)。

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栂峠への道標

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林道を辿る

栂峠沢に沿って林道をゆるゆる登ると、右に送電線巡視路を分け、林道は右岸に渡って沢から離れ始める。ここは林道から分かれて、沢沿いに進んだ方が良さそう。工事車両の駐車スペースがあり、その奥から草藪に突入する。直ぐに道型が現れ、これがかつての峠道らしい。トゲのある低木にしばしば引っ掻かれが、酷い藪漕ぎにはならずに歩ける。

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この奥へ進む

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草藪に覆われた道型を辿る

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左岸に渡る

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サラシナショウマ

左岸に移り、なおも沢沿いの道型を辿ると、あらら、右岸に林道が出現。程なく、林道がこちらに渡ってきて合流する。林道をずっと辿っても良かったな。ここまで来ると路面に最近の轍はなく、低い草に覆われている。

行手に送電線を見上げると林道は沢を横切り、右岸の山腹を切り返して登って行く。しばらく林道を辿るが、今度こそ沢からおさらばする様子なので、沢まで引き返す。沢の上流に、森林に覆われて岩場が見え隠れする二つ瘤のピークを仰ぐ。地図で位置を確認すると、新三郎の北東尾根上のピークのようだ。

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再び林道に出る

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峠入口

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峠入口を通過して振り返る

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やはりここが栂峠の入口

沢を横断した地点まで戻り、沢沿いに道型がないか探すが、草藪に覆われて全く見当たらない。仕方なく草藪に突入。すると倒壊した小屋があり、その先に「←栂峠」の道標を発見。微かな道型が現れる。

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道標発見!

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微かな道型を辿る

道型を辿ると両岸から岩壁が迫り、谷が左に折れて小さなナメ滝が現れる。これは右から簡単に越える。道型は消えて、痕跡も見えなくなるが、あとは傾斜の緩い沢をまっすぐ詰め上がれば良い。

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ナメ滝を右から越える

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傾斜の緩い沢を遡る

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なだらかな源流域

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源流の湧き水

やがて、平坦で広々とした県境稜線に登り着く。樹林に覆われて、展望は全くない。稜線の群馬県側に林道が通じているが、未舗装の路面は丈の低い草に覆われ、廃道化している。GPSと地図で現在地を確認すると、最後の詰めは破線路から外れて、栂峠の少し南東に登り着いたようだ。峠は後回しにして、まずは新三郎を往復してこよう。稜線は広くなだらか。樹林に覆われて見通しが効かず、進路が分かりにくい。南に方向を定めて歩く。

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県境稜線に登り着く

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新三郎へ緩く広い稜線を進む

シダや丈の低い笹に覆われた緩い稜線を登ると、段々傾斜が増して、シャクナゲが密生する斜面となる。幸い、シャクナゲの間には明瞭な切り開きがある。夜来の雨でシャクナゲの葉はしっぽり濡れており、軽く掻き分けて登って行くうちに、腿から下が湿っぽくなって来た。頂上はそう遠くないはずなので、下ゴアは履かずに我慢して進む。

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シャクナゲ林の斜面に取り付く

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ツルタケ?

短い急坂を攀じ登り、痩せた鋸状の稜線を辿る。この辺りは奥山の雰囲気がある。小ピークをいくつか越えると、三角点標石と山名標識のある新三郎の頂上に着く。

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鋸状の稜線を辿る

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新三郎頂上

頂上は樹林に覆われているが、南面に狭い岩場があり、真正面に御座山を望む展望台となっている。御座山の右奥には南アの北岳、甲斐駒、鋸岳を遠望し、さらにその右には八ヶ岳が赤岳から蓼科山まで横一線に連なる。新三郎の頂上からこんなに良い眺めが得られるとは予想していなかったので嬉しい。

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新三郎から御座山を望む

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新三郎から八ヶ岳を遠望

好展望に気を取られて最初は気付かなかったが、足元の岩には蕾を付けたツメレンゲが点々とある。満開まではあと少しといったところか。咲いたところも見たかったな。岩場の先は岩壁となって切れ落ちているので、写真撮影の際は転落しないように注意。なお、新三郎の最高点は三角点標石のすぐ裏手で、1m程高い。樹林に囲まれて展望はない。

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ツメレンゲ

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新三郎の最高点

展望とツメレンゲを楽しみ、腿が乾いたところで栂峠に戻る。稜線には小さな屈曲があり、登りは大丈夫だが初見で下る場合は迷い易いかも。シャクナゲの葉の水滴は行きで粗方落としたから、帰りはそんなに濡れない。シャクナゲ林を抜けると広く緩い稜線となり、適当に下って栂峠に戻る。

林道を僅かに進んだ地点に道標があり、「←佐久町↓白岩→ぶどう峠」と記されている。道標は金属製の立派なものだが、いずれの方向も指し示す道はかなり怪しい。その下に「←水の戸」の道標が追加されている。水の戸は、後日調べると、R299の天望山登り口を指す地名らしい。

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栂峠へ戻る

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栂峠の道標

この道標の近くの笹原の中に「栂峠」の道標と地蔵さんがある。峠道らしき道型はほとんど見当たらない。かつてはここを通って、上州と信州の間に往来があったのだろうか。

ここからは林道を辿る。県境稜線に絡んで山腹をトラバースする道は、所々で崩落や倒木で寸断され、車両の通行は不可能。徒歩ならば問題ない。

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栂峠

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廃道化した林道を辿る

林道が稜線上に復帰した地点で「←栂峠へ 800M」という木製の立派な道標を見る。稜線上の林道を辿るとすぐに三叉路となる。ここにも道標があり、右の道は「十石峠へ3KM」、左の道は「四方原山へ3.5KM 茂来山へ8.5KM」と記されている。現在はすっかり寂れた様子だが、四方原山まで道が(かつて整備されて)通じているようだ。

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林道の三叉路

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「四方原山へ3.5KM」道標

左の林道を辿って1622m峰の南面を巻くと、「←四方原山」の道標があり、林道から分かれて山腹をトラバースする山道に入る。この山道は細いが、道型は明瞭だ。一箇所、崩落した所があるが、難なく巻ける。

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林道から山道に入る

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山腹をトラバースする山道が続く

山道は1685m三角点峰の南面を快調にトラバースしていくが、1685mと言えば新三郎(1682m)、四方原山(1632m)より高いので、ちょっと気になる。山道を離れ、斜面を少し登って稜線に出る。藪のない稜線を辿ると三角点標石のある頂に着く。雑木とカラマツ植林に囲まれて、展望は全くない。標識の類は長野営林局の境界見出標があるだけだ。

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山道から外れて稜線に上がる

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1685m三角点(点名:寄沢)

頂上からそのまま、なだらかな稜線を辿る。所々に「山」標石があり、ルートの目印になる。緩く下ると再び山道に合流し、山腹をトラバースする。1632m峰の南面に入ると雑木林から出て、カラマツ植林帯に入る。

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稜線を辿って道型に合流

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カラマツ林の山腹をトラバース

カラマツ林の中は陽当たりが良いので草藪が繁茂し、加えて倒木が道を塞いでいる個所もあるが、道型は明瞭で通行に問題はない。草藪は枯れ始めて、白い綿毛の実がたくさん成っている。ちょっと暑くなって喉が渇いたので、プラティパスの水を飲んで一休み。地図で確認すると、行く手に見えているピークには登らず、その右肩を越えるようだ。

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草の実を付けた小藪を進む

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正面のピークの右肩を越える

右肩を越えると、雑木林に覆われた稜線の急降下となる。痩せた稜線に差し掛かり、右側を振り返るとオーバーハングした高い岩壁となっている。

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右肩を越える地点

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稜線を急降下

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痩せた稜線を辿る

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右に大きな岩壁

急坂を下るとなだらかな稜線となり、左下に並行する未舗装の林道が見える。稜線を辿ると最後は林道に降りて、すぐに三叉路に着く。ここで林道は稜線の左と右に分岐する。

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左下に四方原林道が並行する

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林道に降りて三叉路に着く

三叉路の道端の残土の上に道標がある。林道に背を向けて立っているので、林道開通前の山道の道端に建てられたものらしい。「平成十一年」と彫られているから、そう古いものではない(と言っても21年前だが)。進行方向に向かっては「四方原山登山道 頂上へ800M さくまち」と記されている。北に向かっては「臼石荘バンガローへ」とあるが、そちらは完全に草藪に覆われて、道の痕跡はない。臼石荘には、茂来山に登った帰りに入浴で立ち寄ったことがある(後日調べると、2016年に残念ながら営業を停止している)。

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三叉路の古い道標

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法面のステップを昇る

三叉路からは法面のステップを登って正面の尾根に取り付く。手摺りもなく法面の高い所に上がるので、下を見るとちょっと怖い。木立越しに北面を眺めると延々と山地が広がって、奥深さを感じる。手前に見える稜線は、大上峠〜十石峠の県境稜線のどこかだろう。

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辿ってきた稜線を振り返る

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法面上より北面の眺め

尾根上の踏み跡を辿って急登。小さな岩場を躱して登ると傾斜が緩んで、四方原山の平坦な頂上稜線の一角に着く。カラマツ林の中、低い草藪の間の踏み跡を辿る。やがて「白岩」の道標があり、南面から上がって来たトワタリ沢コースと合流する。しかし、ここから下を見おろしてもそれらしい道型は見えない。なかなかワイルドそうなコースだ。

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尾根を急登

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岩場は巻いて通過

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平坦な頂上稜線に登り着く

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トワタリ沢コースに合流

平坦な稜線をさらに進む。オシダが点々と生え、ハナイカリの群落があり、トリカブトの花も多い。カラマツ林と低木藪に囲まれて小さく開けた草地に山名標識と三角点標石があり、ここが四方原山の山頂だ。

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カラマツ林を進む

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四方原山頂上

頂上からの展望は全くなし。とても地味〜な頂きだ。正午を過ぎて腹が減った。缶ビールを忘れたのは痛恨の極み。お湯を沸かし、カップ麺の鴨だしそばを食べる。

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一等三角点標石
点名:四方原(よごはら)

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赤い実のなる木

四方原山からはさらに西へ、茂来山に続く縦走路を辿る。所々に道標があり、比較的歩かれている様子が窺える。当初の計画では、この先で枝尾根に入り、四方原山南西の1716m三角点峰(点名:赤岩)まで行くつもりであったが、もう十分歩いて疲れたし、藪が酷そうな予感もあるので割愛。南面の東山林道に降りて下山することにする。

林道への下り口を探しながら歩くが、どうも見逃して行き過ぎたようだ。引き返す途中で、道端に地蔵さんがあるのに気が付く。地形図ではここから北に破線路が下っているので、ここも古の峠だったのかも。現在は、稜線のすぐ北側を未舗装の林道が通っている。

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西へ稜線を辿る

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地蔵さん

ようやく南に下る微かな踏み跡を発見。下方にはカラマツ林を透かして林道が見えている。微かだが辿る分にははっきりした踏み跡を下ると、すぐに林道に降り立つ。

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引き返してここから右に下る

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はっきりした踏み跡を下る

東山林道に出た地点には「四方原山→」の道標が立つ。見上げれば稜線が見える。下り口にも道標が欲しかったなー。まあ、地蔵さんを見ることが出来たから良しとする(^^;)。あとは林道を歩いて白岩集落に下る。

林道は未舗装で低い草に覆われ、普段、車は通らないようだ。ただ、微かな轍があるので、山仕事の軽トラが通っているかも。林道の分岐がいくつかあるが、要所に道標があるので、登りの際に迷う心配はない。支尾根を回ると伐採跡地の斜面に出て、四方原山の頂上稜線や山麓の眺めが開ける。

林道が涸れ谷を渡る地点に「四方原山登山口35分」の道標があり、どうも直登ルートがあるらしい。しかし、入口付近は荒れていて、入り込むのはちょっと躊躇われる。

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東山林道に下り着く

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林道から四方原山を仰ぐ

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林道から御座山方面の眺め

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直登コースの入口

さらに林道を下る。途中で分岐する林道の入口には、台風19号の被害のため立入禁止の掲示があった(登路は通行可)。右手を流下する横屋沢川の谷はなかなか深い。

やがて、トワタリ沢コース入口に着く。草藪に覆われているが、明瞭な道型がトワタリ沢沿いに続いている。ここにある立派な登山案内図によると、トワタリ沢コースは登り1時間30分、下り40分とのこと。

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トワタリ沢コース入口

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入口にある登山案内図

ここから20分程で林道東山線の起点に着き、舗装道に出る。災害復旧の工事現場を横目に車道を歩いて、白岩集落に下り着く。北相木村村営バスの白岩バス停と新しく綺麗な待合所がある。駐車地の加和志湖へは車道を歩く。村営バス終点の三寸木バス停を過ぎて、10分程で加和志湖に着いた。9時間15分の行程(休憩時間込み)は今年最長。たっぷり歩けて満足したし、山行中は誰にも会わず、静かな山歩きが楽しめた。

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白岩集落へ下る

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加和志湖の駐車場

帰りは車で県境のぶどう峠に立ち寄ってみる。通行できるのは峠までで、群馬県側は閉鎖されて通行止となっている。峠を吹き抜ける風が強く、寒さに震え上がる。高山の上はもう初冬であることを実感する(9/28に富士山が昨年より24日早く初冠雪した)。

それから、南相木村の滝見の湯に向かう。ここも一度、御座山に登った帰りに立ち寄ったことがある。その後、リニューアルしたのか、建物や設備が新しく綺麗だ(2017年3月にリニューアル)。お客さんは結構多い。コロナ対策で入館時に検温したり、連絡票に住所氏名を記入したりしたのち、浴室に入る。日帰り温泉に入るのは半年振りだ。ゆっくり湯船に浸かって、峠で凍えた身体を温める。うーむ、極楽。山行後の温泉はやはり良いわなー。温泉を出て往路を戻り、途中、少し渋滞したが大したことはなく、桐生に帰った。


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