湯ノ沢山〜弁天山

天気:時々
メンバー:T
行程:松田町バス停 11:50 …湯ノ沢山(340m) 12:20〜12:35 …二股 12:50 …弁天山 13:50〜14:00 …湯ノ沢分岐 14:10 …松田町バス停 14:55
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

この週末もお隣の足利市の低山へ。松田町にある足利百名山の2座を歩いて来ました。

桐生を朝のんびりと車で出発。自宅近くのコンビニでパンとペットボトル飲料を買い、白葉峠を越えて松田町に向かう。白葉峠道では大勢のサイクリストとすれ違う。仙人ヶ岳の山麓では新緑がまだまだ鮮やかだ。仙人ヶ岳の岩切登山口や猪子トンネル登山口はハイカーさんの駐車で満杯。コロナ禍で不要不急の外出自粛が要請されているなか、3密とリスクを避けてアウトドアで過ごそうという人が多いようだ。

松田町の四辻を少し北に上がったところに「あしバスアッシー」の松田町バス停があり、ここの広いスペースの隅っこに車を置く。バス待機所につき駐車はご遠慮下さい、との看板があるが、一日に4往復しかない路線のバス停だし、下の写真の通りの広さなので、駐車1台が邪魔になることはない。東屋の他、古びた総合案内板があり、略地図に深高山や仙人ヶ岳のハイキングコースの他、今日歩く予定の「湯の沢歩道」が記載されている。


松田町バス停から湯ノ沢山を望む


総合案内板の略地図

バス停から四辻へ少し戻り、「左飛駒皆沢道 右やまみち」の石柱道標のある角から「右」の方の小渓流沿いの車道に入る。ちなみにこの石柱は、裏面の銘によると、大正四(1915)年に御即位紀念で建設されたもの。飛駒皆沢道は現在の長石(なげし)林道と思われる。


湯ノ沢入口


湯ノ沢入口の道標
左飛駒皆沢道 右やまみち

車道を辿るとすぐに民家が尽き、三面護岸の渓流に沿って杉林に覆われた谷間に入る。右にカーポートを見ると、すぐ先で左に作業道が分岐するので、そちらに入る。


湯ノ沢沿いの車道を登る


作業道入口

浅い谷を作業道を辿って詰め上がる。途中、ジグザグ登りや分岐があるが、とにかく谷を詰めると枝尾根の上に登り着く。右へ枝尾根を登り、作業道から別れて斜面を直登する。


谷を詰めて枝尾根の上に出る


作業道から別れて直登

この登りは灌木が疎らで、今の時期は藪はほとんどない。短い急坂を登り、「足利百名山第13座湯ノ沢山」の山名標識のある頂上に着く。

頂上は広く平坦で、前後の尾根上には城跡らしき段差がある。杉植林や雑木林に囲まれて眺めはほとんどなく、木立を透かして、次に登る弁天山が谷の向こうに見える程度だ。


疎な灌木の間を急登


湯ノ沢山頂上

既に正午を過ぎているので、パンを齧ってササッと昼食を済ませて、弁天山に向かう。当初は湯ノ沢山の北尾根から弁天山の南西尾根へ繋げて、弁天山に登ることを考えたが、湯ノ沢山の北には採石場跡地があり、某事件により☠️なエリアと化しているらしい。そんな場所には近寄りたくないので、湯ノ沢の二俣から弁天山の南尾根を登ることにする。

頂上から南へ、登りに使った作業道を右に見ながら、尾根を真っ直ぐ下る。こちらも藪はなく、登路にとっても問題ない。尾根の末端近くまで下って右の作業道に出、作業道入口に戻る(ここから湯ノ沢山頂上までの往復は、休憩を含めて約50分であった)。


南へ尾根を下る


作業道入口に戻る

湯ノ沢沿いの車道を奥に進むとすぐに二股となり、右岸から支流が出合う。1代の軽トラックが停まっていて、すぐ先で男性が1人、罠の点検をされている。挨拶して、いろいろ話を伺う。弁天山について伺うと、その山は「てんのぼり」と呼んでいると即答を頂く。漢字表記は不明。湯ノ沢山については、特に山名はないとのこと。

また、ここから尾根末端に取り付いて「てんのぼり」に登るつもり、とルートを説明すると、笹藪にダニがいるので、この沢の道を奥まで辿ってから右へ登った方が良い、とアドバイスを頂く。ダニは嫌なのでそうしよう。礼を述べて別れる。


二股


沢沿いの道を辿る

沢筋の破線路に入って、広くなだらかな谷を遡る。枝打ちされた杉の枝葉に覆われているが、幅広く明瞭な道型がずっと続いている。左岸に渡ると湧水で泥濘んでいる個所も現れるが、川岸から少し高いところをトラバースして道型が続く。杉林を透かして対岸を見ると、尾根が目線の高さまで削り取られており、採石場跡があることが窺える。この様子では、湯ノ沢山から北に下らなくて正解だ。


左岸に渡る


左岸をトラバース

この道型がどこに通じているか、気になるところではあるが、南西尾根の末端を通り過ぎたので、右手の斜面を適当に登って、南西尾根の上に出る。ちょうど尾根上の深い笹藪が尽きる所に出て、この上には低い笹藪しかない。偶々だが、いい所に登り着いた。


南西尾根に上がる


弁天山の南西尾根を登る

尾根上を登って行くと、杉林から新緑が鮮やかな雑木林に入る。藪はなくて快適な登りだ。尾根は幅があり、緩急と雑木林・杉林を交互に繰り返す。深く落ち葉が積もった斜面を登り、弁天山のなだらかな頂上の一角に着く。最高地点には「足利百名山第4座弁天山」の山名標識がある。雑木林に囲まれて展望は全くないが雰囲気は明るく、居心地は悪くない。露岩に腰をおろし、チョコを齧って休憩する。


広い斜面を直登


頂上直下の登り


稜線に登り着いて右へ


弁天山頂上

下山は頂上から南東に下り、関東ふれあいの道の湯ノ沢分岐から湯ノ沢歩道を下る。杉林に覆われた尾根を少し東に辿り、右斜面を斜めトラバース気味に下って行くとヒサカキと杉に覆われた広く急な斜面の下りとなる。下るにつれて尾根筋が明瞭になり、マーキングのテープや踏み跡も現れるので、進路を迷う心配はない。グングン下って、関東ふれあいの道に下り着く。


南東へ急斜面を下る


関東ふれあいの道に下り着く

ここに来るのは名草巨石群〜織姫神社縦走以来、5年振り3回目。ここから仰いでも、弁天山からの下りはかなりの急坂だ。前回は弁天山という山名は全く知らなかったが、この急坂の先がどんな所か、ちょっと気になっていたから、今回、歩けて嬉しい。

ここから湯の沢歩道を松田町へ下る。「←松田町 湯の沢歩道」の道標は健在だが、歩道の道型は5年前に既に怪しかった。さて、こちらの道はどんな所かな。


湯の沢歩道を下る


木の階段の痕跡が残る

歩道を下ると、朽ちた木の階段は土にほとんど埋れ、手摺は崩壊している。道型の痕跡は追えるが、完全に廃道と化している。それも、廃道になってから、さらに年期が入った感じ。谷は緩く、倒木はあるが藪は少ないないので、下るのは容易だ。

やがて岩の間から水が湧いて、道型を流れ、そのうちに沢を下るようになる。しっかり残った道標を右手に見ると、程なく沢沿いの幅広い山道となる。やがて杉の枝葉が散乱する舗装道となり、杉林に覆われた谷を緩く下る。


歩道の手摺の痕跡


道標を横目に沢を下る


幅広い山道に出る


かつての湯ノ沢鉱泉への道を下る

この道は、かつて湯ノ沢にあった湯の沢温泉松泉閣への道だ。私は大昔に車でこの道を走って、まだ営業していた松泉閣まで行ったことがある。宿があるうちに湯の沢歩道を歩いて、温泉に入りたかったなあ。今回、宿の跡地には立ち寄っていない。ネット情報によると、現在は更地となっているようである。


湯ノ沢の民家


松田町バス停で出発時刻を待つ
あしバスアッシー

松田町バス停に戻ると、折り返し15:03発のバスが待機中で、運転席では運転手さんが気持ち良さそうに午睡中。約3時間の軽い行程の山歩きであったが、良い気晴らしになった。