黒檜山(赤城)

2019年10月20日(日)
天気:
メンバー:T
行程:利平茶屋森林公園 7:30 …山崖の滝 8:00 …林道に出る 9:00 …鳥居峠 9:15〜9:25 …篭山(1438m) 9:35 …駒ヶ岳(1685m) 10:25 …黒檜山(1828m) 11:10〜11:40 …黒檜山登山口 13:15 …鳥居峠 14:00 …利平茶屋森林公園 15:05
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

関東甲信と東北に記録的な大雨を降らせ、各地に甚大な被害をもたらした台風19号の来襲から一週間が経った。登山道の崩落等により、現状で登山が危険な山も少なくない。比較的被害が少なかった近場の山で、赤城山に出かけることにする。紅葉もそろそろ見頃じゃないかなと期待。利平茶屋から入り、まだ訪れたことのない山崖(さんがい)の滝と篭山を経由して黒檜山に登る計画を立てて、出かけてきました。

朝6時半に桐生を車で出発。コンビニで朝・昼食を調達し、R122を日光方面に向かって走る。意外と交通量が多く、日光の紅葉が最盛期になると、この道も大渋滞することを思い出す。行きはまだ良いが、帰りに渋滞に巻き込まれないか、ちょっと心配だ。

県道沼田大間々線を一の鳥居で左折し、利平茶屋へ向かう県道大間々上白井線を上がる。路面には風雨で落ちた枝葉が多い。利平茶屋森林公園の広くてがらんと空いた駐車場に車を置く。何度も来たことのある場所だが、近年はご無沙汰だったので懐かしい。

朝食のパンを食べて出発。今日は消費税up前に新調した登山靴(AKU TENGU GTX)を履いている。既に一度、桐生吾妻山に登って試運転済で、調子は上々。2016年12月に買った先代の登山靴は、ビブラムソールがほとんど擦り切れてしまった。張り替えは可能だが1.5諭吉かかるし、時間も1ヶ月かかる。まあ、元は十分取っているので御役御免とした。

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利平茶屋森林公園駐車場

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鳥居峠への登山口

森林公園内の未舗装の車道をうねうねと登る。バンガロー泊の人も少数だが居て、朝餉の焚き火の匂いが漂う。車道終点の手前に鳥居峠への登山口がある。入口の「熊出没注意」との看板に、「災害発生により危険箇所があるため、登山はご遠慮下さい」との古い張り紙がされている。今回の台風による被害の情報は特になし。帰りは鳥居峠からこの道を下ってくる予定だ。

車道終点はロータリーとなる。かつてはケーブルカーの山麓駅があった場所だそうだ。今は芝生の広場となり、大きなテントやタープを張ってキャンプしているグループが居る。

芝生広場の左奥の橋で渓流を渡る。渓流の水量はまだ多い。案内標識があり、ここを基点として周回する遊歩道の略図が示されているが、土砂崩れの恐れがあるため通行止、と張り紙されている。山崖の滝は略図にしたがって右へ。河原状の幅広い道を辿り、山道に入って沢を遡ると山崖の滝が姿を表す。上部が硬そうな黒光りする岩、下部が脆そうな赤い礫のツートーンカラーの滝で、下から見ると二段で落ちている。今日は水量が多めだから迫力も増して、見応えがある。

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芝生広場左奥の橋を渡る

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山崖の滝への遊歩道

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沢に沿って登る

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山崖の滝

滝の手前の右岸斜面に引き返し気味に登る山道が通じ、これを辿る。すぐにトラロープが通せんぼして「この先キケンにつき通行止」と記された古い看板がぶら下がるが、先に進む。枝尾根の鼻を回って一本隣りの沢に沿って登り、水量の少ない滝の落ち口に向かって岩壁をトラバースする。架け渡されたアルミ製桟道は折れ曲がって用を成さないが、手摺の鎖が張られているから、注意すれば問題なく通過できる。

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枝尾根の鼻を回って
一本隣りの沢沿いに登る

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滝の落ち口へトラバース

落ち口からトラロープにしたがって右側の斜面を登り、再び枝尾根を越えて、山崖の滝の上流に戻る。崩壊地のトラバースがあるが、ここも手摺の鎖が張られている。

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再び尾根を越える

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崩壊地を横断する

渓流に近づくと「行止り」の道標があり、切り返して左斜面を登り、尾根の上に出る。あとは尾根上の明瞭な踏み跡を登れば良い。逆にこのルートを下る場合は、ここから山崖の滝までの間が迷い易いのではないかと思う。

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枝尾根を登る

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枝尾根上の紅葉

ハッとする鮮やかな紅葉は少ないが、それでも色付いた樹林とヒンヤリした空気に秋の気配を感じつつ尾根を登る。シャクナゲの群落を通るとベンチと遊歩道案内標識のある地点(遊歩道の最高点)に着く。

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シャクナゲが現れる

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遊歩道の最高点

ここで遊歩道から離れ、長七郎山に向かう尾根を辿る。鳥居峠から長七郎山の東面をトラバースして治山工事用道路が通じているから、必ずこの車道に行き当たるはずだ。尾根は細くて、小さなアップダウンが続く。色付いた自然林に覆われて、なかなか雰囲気が良い。左側の斜面は猿川源流域で、ザレから見おろすと谷間の紅葉が鮮やかだ。猿川の右岸支流には総落差140mの三段の滝があるが、ここからは見えない。

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長七郎山に向かって細尾根を辿る

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明瞭な踏み跡が通じる

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猿川源流域の紅葉

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崩壊地を渡って振り返る

尾根が長七郎山の急な山腹に接する所まで来ると、両側から崩壊が進んでいる。ここを通過してから振り返ると、歩いた所の下はごっそり抉れて空洞ができており、ゾッとする(この日の行程中、ここが最も危険)。早晩、ここは崩壊して尾根が途切れるだろう。

ここで尾根は急斜面に吸収され、両側を薙に挟まれて急登する。途中、木の根に支えられて崩れ残った尾根が土柱となっており、造形が面白い。丈の低い笹原に入って急登すると、ほどなく工事用車道にぶち当たり、路上に這い上がる。バリハイはここで終わりで一安心。一休みして息を整える。

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崩れ残った尾根の土柱

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丈の低い笹原を急登

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治山工事用道路に登り着く

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長七郎山東面の赤薙

鳥居峠へは車道を歩いて、少し下り気味にトラバース。吾妻山から鳴神山、袈裟丸山、皇海山、日光白根山にかけての山並が眺められる。稜線直下から大きく崩壊した赤薙を横断し、利平茶屋への下山道を分けると、鳥居峠の建物と駒ヶ岳、篭山が見えてくる。

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鳥居峠手前より駒ヶ岳(左)と篭山

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鳥居峠にある赤城山頂駅
バーベキューホール

鳥居峠はドライブで訪れた観光客やハイカーさんで大賑わいだ。峠は風が通り抜けてさすがに寒く、長袖シャツを着る。ここから見おろす覚満淵は、湿原がいい感じの狐色に色付いて、なかなか絵になる風景だ。

篭山は峠の隣りにちょこんと盛り上がっている。篭山の頂に向かって踏み跡に立ち入ろうとすると、駐車場に居たおじさんから「黒檜山はそちらではなく、あっちだよ」と声をかけられ、篭山を巻く山道を指差して示される。「篭山に登って黒檜山に行きます」と返答すると納得されたようだった。親切な人が居るものだ。

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鳥居峠から覚満淵を見おろす

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鳥居峠から篭山を見上げる

踏み跡は積み上がった岩と色付いた樹林を縫うように続き、これを辿ってほどなく篭山の頂上に着く。頂上は狭く、1438mとの標高が記入された山名標があるだけ。展望はない。

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篭山への登り

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篭山頂上

頂上を越えて少し下ると、篭山を巻いてきた登山道を左から合わせて、駒ヶ岳へ向かう稜線上の道となる。この道は、大洞(だいどう)から駒ヶ岳に登る道(傾斜がきつく、上部は鉄階段が連続)よりも緩くて楽だ。

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駒ヶ岳への稜線を登る

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行く手に駒ヶ岳

大洞からの登山道と合流すると、ハイカーさんの数がドッと増える。低い笹原と疎らな樹林の稜線上の道となり、振り返ると長七郎山と小沼(この)の水面が眺められる。

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大洞からの登山道と合流

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長七郎山と小沼を振り返る

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黒檜山(左奥)と駒ヶ岳(手前)

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駒ヶ岳頂上は大賑わい

駒ヶ岳の頂上に着くと、団体のハイカーさんが来ているらしく、さらに人だかりが凄い。そのうち、○班出発しま〜す、と言う声が聞こえ、その後にだいぶ人が減る。団体さんに占領されていたポジションから、大沼(おの)が俯瞰できる。これは良い眺めだ。

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駒ヶ岳頂上

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駒ヶ岳から大沼を俯瞰

駒ヶ岳から一旦、大ダルミに下る。笹原が広がり、黒檜山を正面に高く仰ぐ展望ポイントだ。ここから、標高差約200mの階段が連続する急坂を登る。ようやく傾斜が緩むと、花見ヶ原からの登路を右から合わせる。新しい道標があり、そちらに60歩行くと筑波山も見える絶景スポットだそうなので、ちょっと寄ってみる。遠方は雲に隠れて筑波山は見えないが、長七郎山や小沼、地蔵岳、その向こうに広がる関東平野が眺められる。

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大ダルミから黒檜山を仰ぐ

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黒檜山へ標高差220mの急登

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小沼と地蔵岳を振り返る

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黒檜大神

黒檜大神の鳥居と石碑を過ぎ、大沼からの登山道を左から合わせると、黒檜山の頂上に着く。ここに来たのは7回目くらいになるが、その経験の中でも今日は断トツに人が多い。小さな子供連れの家族も多く、大混雑だ。当然、頂上北の展望地も大賑わいで、のんびり腰を下ろして昼食がとれる余地がない。まだ空腹はそんなに感じていないので、ノンアルで喉を潤し、ブロックチョコレートを齧っただけで済ます。

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黒檜山頂上

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頂上北の展望地

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展望地から鈴ヶ岳
子持山、榛名山を望む

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展望地から船ヶ鼻
沼田市街を望む

一通り展望を楽しんだのち、大沼からの登山道を下る。木の間にキラキラ光る湖面を見おろしつつ、岩がゴロゴロの急坂を下る。まだまだ登って来るハイカーさんが多く、その度にすれ違いの待ちが生ずる。まあ、のんびり下っているので無問題。中腹辺りで紅葉が見頃となり、なかなか良い色合いを出している。

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大沼に向かって下る

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中腹の紅葉(1)

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猫岩上部の岩尾根

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中腹の紅葉(1)

「猫岩」の標識を少し過ぎた辺りの眺めの良い岩場で昼食とする。大洞か鳥居峠の店で外食しようかとも考えたが、12時半を回ってさすがに腹が減ってきた。折角、持ってきた昼食もあるし。鯖味噌煮缶詰とカップ麺の豚汁うどんを食べる。

昼食地点から10分程で、大沼湖畔の黒檜山登山口に下り着く。ここから南郷に下る北面道路(県道沼田赤城線)は全面通行止になっている。冬期閉鎖には早いと思って後日調べたら、やはり、台風19号による道路陥没のためであった。

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猫岩付近から大沼と地蔵岳の眺め

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黒檜山登山口に下り着く

大沼湖畔の車道を歩いて大洞に向かう。赤城神社の前には、駐車場に入ろうとする車の長い列ができている。大洞駐車場もほぼ満杯だ。大洞から鳥居峠へは覚満淵を通って行く。こちらも観光客が列を成す。淵は澄んだ水を満々と湛え、さざなみに駒ヶ岳を写す。駒ヶ岳の紅葉は見頃で、観光客も盛んにカメラ(大半はスマホ)を向ける。

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覚満淵を経由して鳥居峠に向かう

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覚満淵から駒ヶ岳(1)

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覚満淵から鳥居峠と篭山(左)

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覚満淵から駒ヶ岳(2)

鳥居峠からは、ケーブルカーの軌道跡の急階段を下る。階段はコンクリートの風化が進み、足元に注意。加えて、下の方で軌道の地盤が侵食され、軌道跡自体が崩壊しつつある。

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鳥居峠から再び覚満淵を俯瞰

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ケーブルカーの軌道跡を下る

軌道跡から道標に従って左の山道に入るが、その前に御神水に立ち寄ろう。道標の少し先から右へ下ると御神水の小屋が建つ。ここも来るのも久し振りだ。しかし、以前の面影はなく、小屋は半壊し、三つあった流れ出し口は二つしか残っていない。小屋の前の沢も深く抉れて荒れている。流れ出し口から掬って飲んだ水だけは、今も冷たくて美味い。

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下部の軌道跡は崩壊が進む

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御神水の小屋も半壊

道標に戻って山道に入り、山腹をトラバースして緩く下る。こちらの道も、崩落した枝沢を渡ったり、桟道が老朽化しているなど、危険と言う程ではないが、荒れた印象がある。以前は割とメジャーなハイキングコースと思っていたのだが、建前は「登山はご遠慮下さい」となっているし、通る人がとても少なくなっている感がある。芝生広場に下り着き、森林公園を抜けて駐車場に到着。7時間半の行程でも、新しい登山靴は全く問題なし。

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軌道跡から山道に入る

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山腹を巻いて緩く下る

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桟道も老朽化が進む

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利平茶屋森林公園に下り着く

帰りは、一の鳥居にある赤城とうふにこれまた久し振りに立ち寄って、ざる豆腐(中)490円とゆず入りチーズ豆腐180円を土産に買う。心配したR122の渋滞はなく、すんなりと桐生に帰った。


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