長瀞北アルプス

2018年12月16日(日)
天気:時々
メンバー:T
行程:波久礼駅 7:00 …虎ヶ岡城址 7:55 …陣見山(531m) 8:45〜8:55 …榎峠 9:30 …雨乞山(510m) 10:00〜10:15 …間瀬峠 10:30 …不動山(549m) 10:55 …石尊大権現 11:00〜11:35 …苔不動 11:50〜11:55 …出牛峠 12:30 …長瀞町役場 13:20
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

この週末の土曜日は快晴で山日和だったが、雑用の片付けや、ついでにタイヤを冬用に交換して過ごす。日曜日はどこかに出かけたいが、予報では天気は下り坂で晴れのち曇りとイマイチなので、雪山・藪山歩きは気が乗らない。気楽な低山ハイキングにしよう。

低山ハイキングならば奥武蔵かなと思い、その辺の山の情報をネットで調べているうちに、長瀞町観光協会HPの長瀞アルプスハイキングというページを発見。秩父鉄道野上駅近くの万福寺から宝登山(ほどさん)へ登る尾根道を長瀞アルプスコースというらしい。宝登山は登ったことがないので興味はあるけれど、合計タイム2時間程の短いコースなので、少々もの足りない。歩くなら、名物の蠟梅が咲く頃だな。

同じページのハイキングマップには、長瀞北アルプスコースというものも紹介されている。これは万福寺から出牛(じゅうし)峠、不動山、雨乞山、陣見山を経て波久礼(はぐれ)駅に至るコースだ。「アルプス」も大仰だが、「北アルプス」という字面になると何だか気宇壮大さがいや増すな(^^;)。距離16km、6時間のコースなので、いい運動になりそう。交通の便を考慮し、逆コースで歩く計画を立てて、出かけてきました。

桐生を未明に車で出発。下道を走って長瀞へ。長瀞町役場の駐車場(土日のみ利用可で無料)に車を置く。ここから歩いて野上駅に移動し、6:46発の上り列車に乗車する。乗客はまばらで、ほぼ全員が部活の高校生だ。列車は荒川とR140に並走して、2駅目の波久礼駅に6:55着、ここで下車する。

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野上駅から乗車

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波久礼駅
右奥の建物がかんぽの宿寄居

波久礼駅から登山口のかんぽの宿寄居へ行くには、駅前のR140を左に進み、宿の案内看板で左折。踏切を渡って坂を上る。かんぽの宿の手前に道標があり、そこから登山道に入る。里山らしい小さな尾根の上に、良く踏まれた細い山道が続く。冬枯れの雑木林に朝日が差し込んで明るく、気持ちの良い道だ。

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かんぽの宿手前のここが登山口

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良く踏まれた山道を辿る

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石祠あり

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朝日のあたる尾根

「ようこそ美里町へ」という標柱があるピークを越えて緩く下ると「カタクリ→」という道標があるが、そちらは崩落のため通行禁止となっている。この先の小鞍部が筑坂(つくざか)峠で、「円良田(つぶらた)特産センター→」というこれも新しい道標がある。

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筑坂峠

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階段道の急登

峠から木の階段道の急登となる。トレーニングのつもりで一気に登り上げ、息を切らして頂上に着く。ここが虎ヶ岡城址で、頂上の周辺には空堀の遺構が残る。頂上は小広い平地となって、東屋が建つ。北に眺めが開けて関東平野北部を一望し、薄っすらと冠雪した赤城山、袈裟丸山、男体山を遠望する。これは素晴らしい展望だ。

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虎ヶ岡城址の東屋

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赤城山、袈裟丸山、男体山を望む

展望を楽しんだのち、陣見山に向かう。雑木林と杉林の境界の尾根を辿り、短い急坂をジグザグに下ると大月峠(大槻峠)に着く。北側のすぐ近くを林道陣見山線が通る。峠には馬頭観音、如意輪観音の年を経た石碑や石灯籠があり、かつての峠道の往来を偲ばせる。

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幅広い山道を辿る

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大月峠の石灯籠と石碑
馬頭觀世音 安永九庚子(1780)
如意輪観音 天明九巳酉(1789)

峠から幅広くザレた急坂となり、ここもトレーニングのつもりで急登。坂を登り切ると一旦緩く下るが、さらに長くザレた急坂が出現。速度を落とさず登ると、さすがにきつい。

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ザレた急坂を登る

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小さなアップダウンが多い

杉林に入り、大月峠から数えて三つめの急坂を登り切って少し進むと、陣見山林道に出てこれを横断する。笹原から杉林に入って短い急坂を登ると、陣見山の頂上に着く。やれやれ、ここで一休みだ。

頂上には電波塔(テレビ埼玉の児玉テレビ中継放送局)が建ち、電波塔を取り囲む金網の前に三角点標石と「北武蔵ハイキングコース陣見山頂」他いくつかの山名標柱が立つ。また、北に十二天・児玉への道を分ける。杉林に囲まれて展望皆無。地味な頂である。

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陣見山林道を横断

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陣見山頂上

10分程、足を休めたのち、先に進む。すぐに岩谷洞への道を右に分け、5分程下ったところで再び岩谷洞への道を分ける。後日調べると、ここから数分下れば岩谷洞だったようで、それなら立ち寄って行けばよかった。

縦走路は杉林を抜けると、冬枯れの雑木林に覆われた細い尾根の上に続く。木立が切り開かれた展望地があり、まだ黒々とした榛名山や十二ガ岳、子持山を前景にして、白銀の谷川連峰が眺められる。

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岩谷洞分岐

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雑木林の尾根となる

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赤松も混じる

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展望地から白銀の谷川連峰を望む

赤松の混じる雑木林の細尾根を辿り、最後は急坂を下って陣見山林道に出る。「長瀞八景」の看板があり、それによると、陣見山林道が「間瀬峠・陣見山のビューライン」として八景の一つに入っているらしい。実際、ここからの眺めは素晴らしく、眼下に荒川、奥に宝登山や蓑山、さらに武甲山と秩父連山を遠望する。

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陣見山林道を横断

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秩父連山と眼下に荒川を望む

林道を横断し、トラロープを手繰って登り、稜線に復帰。右下に並走する陣見山林道が見え隠れする尾根道を辿る。10分程で林道に合流したところが榎峠だ。石祠と馬頭尊の石碑がある他は、尾根上を林道が通るため、古の峠の風情はあまりない。

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林道と並走して尾根を辿る

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榎峠の石祠・石碑
馬頭尊 天保二(1831)年

北側に「あじさいの小径」という道標のある車道(林道小平線)を分け、そのすぐ先で「←雨乞山」の道標に従って、左の作業道に入る。この作業道は稜線を絡んで雨乞山まで通じている。道標に従って尾根上に断続する山道と作業道を交互に辿る。途中で、この日初めてハイカーさんと交差する。送電鉄塔を過ぎ、間瀬湖への山道を右に分ける。やがて、ずっと作業道を辿るようになる。ヒノキ植林帯に入って展望はほとんどないが、伐採地から西面が開ける地点があり、不動山や城峯山、御荷鉾山が眺められる。

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左の作業道に入る

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最初は山道と作業道を交互に歩く

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その後はずっと作業道

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城峯山を望む

作業道を辿ると芝生が広がる雨乞山頂上に出る。東面は芝生に覆われた斜面で、パラグライダー発進場になっているそうだが、今日は誰もいない。当然、東には展望が開け、荒川の流れを俯瞰し、R140を走る車や秩父鉄道の列車も見える。左には陣見山、遠くに関東平野を望む。目を凝らすと起点のかんぽの宿寄居の建物も見え、結構な距離を歩いて来たことを実感。目を右へ転じると奥武蔵の山々、さらに秩父連山が展開する。芝生に腰を下ろし、しばしこのパノラマを楽しむ。

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雨乞山頂上

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雨乞山から陣見山と関東平野の眺め

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雨乞山から秩父鉄道をズーム

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雨乞山から奥武蔵の山々を望む

気分の良い頂上なので、ここで昼食にしようかとも思ったが、まだ10時を過ぎたばかりで、少し早い。次の不動山でお昼にしよう。腰を上げるのと入れ替わりでハイカーさんが到着する(後は最後までハイカーさんに会わず)。

作業道を進むと、すぐに道の左に「←雨乞山 約6分」の道標、右に黄テープとケルンを見る。縦走路はここで作業道から分かれて右折し、山道に入る。疎らな雑木林の中、落ち葉がフカフカに積もった緩斜面をジグザグに下る。こういう下りは快適で楽しいな。

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作業道を少し歩いてここで右折

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不動山に向かって落ち葉の斜面を下る

杉林に入ると、程なく県道長瀞児玉線が越える間瀬(まぜ)峠に下り着く。ときおり車が通る県道を横断して、少し右寄りの個所から山道に復帰。雑木林と植林の境界の尾根を淡々と登ると、不動山の頂上に着く。三角点標石と青い山名標識がある他は、ヒノキ林に覆われて薄暗く、展望はない。これまた地味な頂だ。もう少し先に進んでみよう。

頂上のすぐ先で、伐採された斜面の上端に出る。「石尊大権現→」との古い道標があり、これに従って伐採斜面を下ると、小さな覆屋の中に石祠がある。祠の前は南に向かって眺めが開け、休憩にもってこいだ。ここで昼食にしよう。ランチシートを広げて腰を下ろし、まずは缶ビール。それから、冬の定番、鍋焼きうどんを煮立てて食べる。

後日、日下部朝一郎著『秩父の峠道』を読むと、この石祠は相州大山石尊宮を勧請したもので、不動山は昔は雨乞山と呼ばれていた、とのことである。

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間瀬峠

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不動山への登り

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不動山頂上

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石尊大権現

石尊大権現からの眺めは良く、手書きの展望案内看板も設置されている。宝登山が近づいて見え、武甲山から秩父連山、城峯山にかけてのスカイラインが眺められる。

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石尊大権現から宝登山、蓑山
武甲山を望む

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石尊大権現から城峯山を遠望

石尊大権現から縦走路に戻り、尾根道を下るとすぐに陣見山林道に出る。ここには「不動峠」の標識があるが、あまり峠らしくない場所だ。

林道を少し進んだ地点に苔不動への下り口がある。落ち葉が積もる急斜面を階段と手摺を頼りに下ると、緑がかった灰色の岩壁の基部に着いて、2基の石灯籠と不動尊像がある。ここが苔不動のようだ。不動尊像は新しいが、石灯籠は「文化四丁卯天(1807年)」の銘のある古いものだ。周囲には剣型の札が多数奉納されている。日付が2月28日となっており、毎年この日に祭礼が行われているらしい。苔不動の下にも道が続いているが、崩壊していて危ない。急坂を登り返して林道に戻る。

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苔不動入口

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苔不動

あとは出牛峠まで、尾根を絡んで緩く下る陣見山林道を歩く。稜線上のところどころで荒川側の展望が開ける。道端に道標があり、なんとか峠と書いてあるのだが、文字が掠れて読めない。後日調べると、糠掃(ぬかばき)峠と呼ばれる峠らしい。稜線上には全く道型がないか、あっても藪っぽいので、林道を辿るのが無難だ。ぐみの木峠は特に標識がない。421m標高点の左斜面を巻き、なだらかな尾根を緩く下ると左右に山道が下る十字路があり、「野上→」の文字が掠れた道標がある。ここが出牛峠だ。

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陣見山林道を下る

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林道から奥武蔵の山々を望む

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糠掃峠

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出牛峠の野上への下り口

出牛は「じゅうし」あるいは「じうし」と読む。『秩父の峠道』によると、江戸時代、隠れキリシタンが峠向こうの村に住み、デウスの神の名に因んで出牛としたという説が流布されているが、確証はない。また、秩父事件では秩父困民党の一派がこの峠を越えて児玉で戦い敗れた、とのこと。

野上側に下ると良く踏まれた山道が続き、山腹をジグザグに下る。やがて竹林が現れて里山っぽくなり、沢を左岸に渡って幅の広い道に出る。ここには蔓に覆われた石組の門があり、「長瀞高原ビレッヂ」の銘がある。この奥には一体何があるんだろう。ちょっと不気味だ。後日、ネットで調べると、かつてはキャンプ場やバンガローがあったらしい。

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良く踏まれた山道を下る

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長瀞高原ビレッジ門

沢沿いの道を下ると、左に巨大な堰堤が現れる。砂防堰堤にしては谷から突き出た妙な構造なので、近づいて堰堤の内側を覗いてみると、やはり深く水を蓄えた水源池だった。

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幅広い山道を下る

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水源地の巨大な堰堤

水源地から程なくして舗装道に出る。埼玉長瀞ゴルフ倶楽部の看板はあるが、出牛峠への道標はないから、逆コースの場合判りにくい。谷間に民家が点在する集落を通ると、交通量の多い県道前橋長瀞線に出る。県道を歩いて平野に出、不動山や陣見山のなだらかな山稜を眺めながらのんびり歩く。R140に出て右に僅かの距離で車を置いた長瀞町役場に帰り着く。駐車は朝より増えていて、宝登山を登った?ハイカーさんが帰り支度をしていた。

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舗装道に出る

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長瀞町役場に帰着

帰りはかんぽの宿寄居に日帰り入浴で立ち寄る(800円)。高台に建つ上、浴場はさらに6階にあるので、展望が良い。ここは金山温泉と称するアルカリ性単純温泉で、少しぬるぬるするお湯である。露天風呂もあり。ゆったり温まったのち、下道を走って帰桐した。


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