地蔵岳・鈴ヶ岳

天気:時々
メンバー:T

関東甲信地方では7/28に梅雨が明けたが、その後もしばらくは大気が不安定で、この日曜も午後にはにわか雨があるとの予報。午前中に半日行程で歩ける所ということで、先週に続いて気になるスポットを訪ねて近場の赤城へ。新坂平から地蔵岳南面の地獄谷を訪問し、地蔵岳に登って新坂平に戻り、天気がもてば鈴ヶ岳にも往復することにして、出かけてきました。

地蔵岳

行程:新坂平駐車場 8:00 …一杯清水バス停 8:15 …地獄谷 8:45〜8:55 …三途の川 9:15 …地獄谷入口 9:30〜9:35 …八丁峠駐車場 9:50 …地蔵岳(1674m) 10:15〜10:45 …新坂平駐車場 11:15
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

朝6時半頃に桐生を車で発ち、赤城道路を上がって新坂平に向かう。ロードレースの練習をしているのか、自転車で登っている人が多い。今日は夏らしい青空が広がり、今のところ天気は上々。新坂平駐車場に車を置き、一杯清水バス停まで赤城道路を歩いて下る。

『赤城山廻遊案内』によると、かつては一杯清水がバスの終点で、赤城山へはそこから歩いて往復したとのこと。一杯清水は現在のバス停からさらに下った、白川と地獄川の会合点にあるとのことなので、今回は割愛する。

地獄谷へはバス停から分岐する作業道に入るが、のっけから、えっ、ここを歩くの、という感じの棘だらけの草藪である。一応、ネット情報では地蔵岳・一杯清水コースとして紹介されている道なのだが、草藪を分け入ってみれば路面は水が染み出してグジュグジュ。土砂が押し出した箇所もあり、薄暗い樹林の中に微かに道型が残るのみ。ハイキングコースからはかけ離れている。

一杯清水バス停
草藪に覆われた作業道

沢床が近づくと古い砂防堰堤が連続し、道型も全くなくなってしまったので、左から堰堤を巻きつつ沢を遡る。程なく左側に谷が明るく開け、岩壁と地蔵岳南面の崩壊した斜面の荒々しい眺めが広がる。ここが気になるスポットその1の地獄谷だ。絶景地という程ではないが、赤城山にあってはスケールもそこそこ大きい方で、面白い。

砂防堰堤の脇を登る
地獄谷

地獄谷を渡ると再び作業道が現れる。とは言っても、簡易舗装は崩壊し、土砂に埋もれて、ここが道かな、と辛うじてわかる程度。山腹をトラバースし、地獄谷の崩壊地を抱えた地蔵岳を仰ぐ。

荒廃した作業道を辿る
地蔵岳を仰ぐ

作業道はやがて粕川との分水嶺の尾根を越える。左手に古い作業小屋があり、作業道はその前を通って続いているのだが、うっかり見逃して直進。笹原を漕いで、県道大胡赤城線(スカイボルトライン)に出た。まあ、県道沿いにテンヤ坂通り(赤城山へのかつての登路の一つ)の入口がないか探すつもりだったから、結果オーライである。しかし、前浅間山の手前の三途の川まで県道を辿ってみたが、それらしい道は全く見当たらなかった。

尾根を乗り越す
三途の川から前浅間山を仰ぐ

三途の川から引き返して県道を辿ると「地獄谷 250m」の立派な道標がある。ここから作業道に入ってみれば、ちゃんと先刻の作業小屋に通じた。

県道に戻り、次は地蔵岳に向かう。途中、「血の池」の道標に導かれて県道から登山道に入り、血の池に立ち寄ってみる。案内看板によると、この時期は例年ならば水深が1mあるそうだが、今年は空梅雨だったせいか、水は全くない。

地獄谷入口
血の池

県道を緩く登って八丁峠へ。ここの駐車場には意外なことに駐車なし。地蔵岳への登山道に入って、笹原中の階段道を上がる。こちらはハイカーさんがちらほら登っておられる。樹林に入ってジグザグに登り、再び笹原に出ると頂上は近い。

八丁峠駐車場
草原の中の階段を登る
頂上直下の登り
小沼と長七郎山を望む

地蔵岳頂上に登り着き、大沼と黒檜山がよく見える場所に腰を下ろして一休みする。1700mに近い標高があるので、山上を吹き抜ける風がさすがに涼しくて、大変心地良い。昨晩はあまり眠っていないので、ここで睡魔に襲われ、ちょっと横になって昼寝する。

地蔵岳頂上
大沼と黒檜山を望む

30分程爆睡して復活。新坂平に向かって、樹林の中の登山道を下る。途中、右へ見晴山駐車場への道を分け、緩く降りて新坂平の駐車場に下り着く。レンゲツツジの時期には車でいっぱいになる駐車場だが、この時期は車は極少ない。天気はまだ良さそうなので、続けて鈴ヶ岳に登ることにする。

新坂平へ下る
新坂平駐車場から地蔵岳を仰ぐ

鈴ヶ岳

行程:新坂平駐車場 11:15 …姥子峠 11:30 …鍬柄峠 11:45 …鍬柄山(1565m) 11:55〜12:30 …大ダオ 12:45 …鈴ヶ岳(1565m) 13:05〜13:15 …鍬柄山 14:00〜14:10 …新坂平駐車場 14:45
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

新坂平駐車場から赤城道路を横断し、白樺牧場の前から鈴ヶ岳への登山道に入る。暫くは赤城道路を走る車やバイクの走行音が聞こえてくるが、樹林中の斜面を登って稜線に出れば、下界の音は遠ざかる。

白樺牧場と鍬柄山への稜線
稜線に登り着く

北に稜線を辿り、樹林と低い笹原に覆われた緩い尾根道をアップダウンする。右手には牧場の古びた鉄条網が続く。程なく、右側に石仏らしい小さな石が二つ並び立っているのを見つける。鉄条網の中にあって近づけないので、帰りに詳しく調べることにする。

(復路で良く調べてみると、やはり気になるスポットその2の地蔵菩薩と奪衣婆であった。どちらも首がないので、遠目にはただの石にも見間違う。地蔵菩薩は袈裟を着て右手に錫杖、左手に宝珠を持っているので、お地蔵様かなと分かる。奪衣婆の方は右膝立てて座っているくらいしか分からない。この石仏については、偏平足さんの「石仏274赤城・鍬柄山(群馬)」の記事で取り上げられている。)

地蔵菩薩
奪衣婆

やがて「姥子峠」の道標に着く。平坦な稜線上であまり峠らしくない。左に六道の辻方面への道を分けるが、この時期は草深くてちょっと藪っぽい。

このすぐ先で、右手に樹林の開けた箇所があるので、立ち寄ってみると展望の良い岩場があった。白樺牧場の全景を見下ろすことができるので、特にレンゲツツジの時期には撮影適地ではないかと思う。

姥子峠
展望岩場から地蔵岳の眺め

さらに緩やかな稜線が続くが、「鍬柄峠」の道標を過ぎると鍬柄山への急な登りとなる。樹林が切れた箇所から振り返れば、辿ってきた緑深く緩い稜線が見おろされ、その向こうには白い夏雲に巻かれ始めた荒山や鍋割山が眺められる。

鍬柄峠
辿ってきた稜線を振り返る
鍬柄山への急登
荒山(左)と鍋割山を望む

登り着いた鍬柄山頂上は四方に展望が開けて、期待以上に良い頂である。年配の男性ハイカーさんのグループが休憩中。そろそろ昼時で腹が減ったので、私もここで大休止。いつもの缶ビール、レトルトパウチ鯖味噌味、麺職人担々麺で昼食とする。今日は暑いので、特にビールが美味い。ハイカーさんの一人が蜂に刺されてちょっと騒ぎになっていた。この時期は注意したい。

鍬柄山頂上から黒檜山
鍬柄山頂上から地蔵岳

ハイカーさんグループは新坂平へ戻っていった。私も腹くちたところで鈴ヶ岳に向かおう。痩せた稜線を下ると大ダオの鞍部に着く。ここで深山方面への登山道を左右に分けて直進。鈴ヶ岳へ急登する。

痩せ尾根を下る
大ダオから鈴ヶ岳への登り

この急登は岩場も多く、なかなか疲れる。樹林の切れ間から振り返ると、越えてきた鍬柄山が意外とどっしりと聳えている。帰りはまたあれに登らなければならない。

岩場の多い尾根上の急登
鍬柄山を望む

一旦、傾斜が緩むが、再び岩場の多い急坂となる。道端に霊神碑を見れば山頂は近い。登り着いた鈴ヶ岳頂上には、時間が遅いせいかハイカーさんはいない。雲も多くなって、天気も怪しい。頂上には愛宕山大神、鈴嶽山神社、赤城山大神の大きな石碑が三つ並ぶ。前回登った時より周囲の樹林が育ったせいか、黒檜山の眺めを梢が邪魔をしている。

鈴ヶ岳頂上の石碑
黒檜山を望む

水を飲んで休憩した後、往路を新坂平駐車場に戻る。幸い、天気は最後までもった。新坂平の赤城山総合観光案内所に立ち寄ってソフトクリームを食べ、富士見ふれあい館で日帰り入浴したのち、桐生に帰った。

参考URL:やまの町桐生「地獄谷」の記事。