加波山〜雨引山

天気:のち
メンバー:T
行程:岩瀬休憩所 8:05 …(自転車) …加波山三枝祇神社里宮 8:50 …加波根不動明王 9:15 …五合目 9:50 …加波山神社拝殿 10:30 …加波山(709m) 10:50〜11:05 …加波山神社拝殿 11:20 …東屋 11:35〜12:00 …燕山(701m) 12:05 …雨引山(409m) 13:25〜13:40 …御嶽神社 14:15 …御嶽山入口 14:35 …岩瀬休憩所 15:00
ルート地図 GPSのログ(青:自転車、赤:徒歩)を地理院地図に重ねて表示します。

6月に入って低山歩きには暑苦しい季節となったが、この週末は手軽に長いコースを歩いてとにかく運動したい気分なので、山岳信仰の山としても興味を持っていた加波山(かばさん)に登ることにする。JR水戸線岩瀬駅からつくばりんりんロードをサイクリングして、西麓の加波山三枝祇(さえなづみ)神社里宮に自転車を置き、親宮路を登って加波山に登拝。加波山からは、関東ふれあいの道の筑波連山縦走のみち(1)御嶽山から坂東24番札所へのみちを繫いで縦走し、岩瀬駅に戻るという周回コースを計画して出かけてきました。

車にマイ自転車Radon I号を積み込み、桐生を6時過ぎに出発。北関東道を桜川筑西ICで降り、岩瀬駅の南隣にあるりんりんロード岩瀬休憩所の駐車場に車を置く。既に数台の駐車があり、サイクルウェアでビシッときめたグループがサイクリングに出発しようとしている。私と言えば、自転車だけは一応本格的だが、服装は山歩き仕様、靴は登山靴である。なんか場にそぐわない感がしなくもないが、気にせず出発。

岩瀬休憩所
りんりんロードを走る

りんりんロードは、筑波鉄道の廃線跡地を利用したサイクリングロード。岩瀬を始点とすると概ねやや下りで、楽にペダルを漕げる。登山靴でも無問題。田園風景の中、行く手に筑波山、左手に加波山を眺めながらのんびり進む。途中の旧雨引(あまびき)駅にはかつてのホームが残り、サイクリングロードの休憩所として利用されている。

雨引休憩所
筑波山を望む

40分程走ってサイクリングロードを離れ、真壁町長岡の集落をギアをローに落として上がり、加波山三枝祇神社里宮の入口に自転車を置く。ここから徒歩となる。まず神社に参拝。鬱蒼とした林の中に古びた社殿が建ち、なかなか良い風情。ここは加波山三枝祇神社本宮と親宮を合祀している。

真壁町長岡より加波山(右)を仰ぐ
加波山三枝祇神社里宮

社殿の左手から境内を抜け、集落の中を上がると加波山普明神社拝殿と加波山神社真壁拝殿がある。後者は近代的でピカピカの真新しい社殿だ。加波山なんとか神社が複数あり、紛らわしい。しかも後述のように、各神社にはそれぞれ里宮、拝殿、本殿があったりするので、ますますややこしい(^^;)

集落を外れて坂道を上り、山間に入ると加波根不動明王がある。樹林に囲まれた境内はひんやりと涼しい。

加波山神社真壁拝殿
加波根不動明王

社殿の左脇から小沢を渡って山道に入り、小尾根上を緩く登る。この山道は親宮路の五合目まで続く車道をバイパスするルートとなっている。車道を歩くよりは山らしい雰囲気と思うが、緑濃い雑木林に覆われて風通しのない山道は蒸し暑い。右に下り始めると正面に採石場を見、草藪の間を抜けて車道に合流する。

山道を辿る
採石場と加波山(奥)

採石場は土曜日も作業中。谷間に響き渡る鑿岩機の轟音を聞きながら急坂を登る。車道の終点が五合目。傍に沢があり、流水で顔を洗って一休みする。

車道を上がる
五合目(車道終点)

ここから山道に入る。木陰に入って日差しは避けられるが、谷から見上げる山肌は稜線まで緑が濛々と繁茂して、真夏の様相。採石場の音はまだ聞こえるが、徐々に遠ざかる。

加波山道(1)
緑に包まれた谷
加波山道(2)
タツナミソウの仲間

六合目の標石を過ぎ、杉林に入ると程なく七合目。山椒魚谷の標石のある沢を渡る。ここから山腹を斜めに登り、小沢を横切る。八合目の標石を見、未舗装の林道を横断する。九合目には傾いた四角柱の石灯籠があり、合目石は杉の木の後ろに隠れている。傾斜が緩むと主稜線に登り着く。未舗装の車道が通じていて、ここまで車で来ることもできる。

七合目(山椒魚谷)
コアジサイ
九合目
主稜線に登り着く

石鳥居を潜り、石段を登ると加波山神社拝殿と親宮拝殿が並んで建つ。その左には加波山神社の社務所兼ユースホステルがあり、軽トラが上がってきていて、何やら工事中。拝殿の間の石段を登って、加波山頂上に向かう。露岩の多い尾根道の脇には石碑が立ち並び、鬱蒼と茂るブナ林に囲まれて神さびた雰囲気がある。

加波山神社拝殿(左)と親宮拝殿
ブナ林の稜線を登る

やがて親宮本殿、続いて石垣の上に建つたばこ神社を通る。たばこ神社の社殿を囲む新しい玉垣には、日本たばこ産業株式会社と茨城県たばこ耕作組合の名が刻まれている。

親宮本殿
たばこ神社

岩の間を登ると加波山神社本殿がある。本殿からは北と西に僅かに展望が得られ、三本の電波塔が建つ燕山(つばくろやま)が眺められる。本殿の下には「自由之魁 」の石碑があり、「加波山事件七十年記念 民自党総裁 吉田茂 昭和二十四年八月」と刻まれている。

加波山神社本殿と「自由之魁」碑
燕山を望む

緩く登ると、高い石垣の上に加波山三枝祇神社本宮本殿が建つ。目立つ場所に山頂の道標がないので、最初、ここが頂上と気づかなかったが、三角点標石が石垣の下にあり、本殿の裏手に隠れて幾つかの山名標がある。木立ちに囲まれて展望は全くない。本殿の前の平地に数個の巨石が立ち並び、奇観を示す。

頂上から南へ少し先に進んだ所に本宮拝殿と本宮道の下り口がある。本宮道を下れば親宮道の三合目に戻る。また、主稜線を辿れば足尾山、きのこ山を経て筑波山の近くまで関東ふれあいの道が続いており、筑波山への縦走も可能だ。

本宮本殿が建つ加波山頂上
加波山頂上の巨石群

加波山の頂上から加波山神社拝殿に戻り、燕山に向かう未舗装林道に入る。

加波山神社拝殿に戻り
燕山へはここを直進
未舗装林道を辿る

林道は左山腹を巻いたのち、ジグザグに登って燕山南峰のNHK電波塔まで通じている。終点のすぐ手前、燕山北峰への登山道の入口にちょうど東屋があるので、ここで昼食。鯖味噌煮をつまみに缶ビールを飲み、日清麺職人担々麺を作って食べる。

エネルギーを補給して休憩したのち、登山道(関東ふれあいの道)に入る。緩く下って茨城放送電波塔の横を登ると、燕山(北峰)の頂上に着く。樹林に囲まれて、ここも展望は全くない。加波山と双耳峰をなすピークだが、こちらには神社や岩場はなく、山名標柱があるのみだ。

東屋
電波塔の横を登って燕山へ
燕山頂上
燕山から大下り

燕山からは標高差約350mの一直線状の大下りとなる。急坂という程ではなく、木の階段も歩き易いように整備された良い登山道だが、標高が下がって気温がその分上がり、暑くなったのには参る。

大下りを下りきると、標高350m内外の広く緩やかな丘陵状の尾根を辿る。樹林に覆われて、展望が得られる場所はほんの数か所しかない。尾根は枝分かれと屈曲を繰り返し、枝道も多く、もし関東ふれあいの道の道標が要所になければ、ルートファインディングは難しくなりそう。

なお、広く緩い登山道が続くためか、オフロードモーターバイクが入り込んでいるようで、道にはタイヤのスリップ痕が残り、バイクの爆音を聞いたし、ちらりと見かけもした。関東ふれあいの道の登山道(歩道)部分は自転車も含め車両乗り入れ禁止である。

丘陵状の尾根
尾根の曲がり角の道標
伐採地から我国山を望む
イヌシデの大木

392m標高点のピークに近づくと道の様子がガラリと変わり、左山腹を巻いて、短いが草深い急坂を登る。稜線に復帰して鞍部に着くと、左に雨引観音への道を分ける。

392m標高点は左から巻く
筑波山を望む
草深い急坂
雨引観音分岐

木の階段のある坂道を登り、左に折れて緩く登ると雨引山の頂上に到着する。頂上には三角点標石の他、東屋やベンチがあり、2組のハイカーさんが休憩中。樹林に囲まれているが、一部が切れて西から南にかけての展望が開け、筑波山や加波山を遠望できる。休憩に適した頂上だ。燕山から時間は1時間半程しかかかっていないが、距離は稼いだせいか意外と疲れた。最近の仕事疲れが出た気もする。ベンチにしばし寝っ転がって、元気を回復。

雨引山頂上
雨引山から筑波山を遠望

雨引山から木の階段の坂を下り、稜線を緩く下るとNTT岩瀬中継所に着く。中継所の左脇を通って杉林に入る。これまでの幅広い道から細い山道に変わって、道が正しいか少し心配になるが、すぐに関東ふれあいの道の道標が現れて安心する。

雨引山からの下り
NTT岩瀬中継所

道標に従って左折。稜線から谷に下る。シダが下生えの杉林を下り、木の階段の急坂を登り返す。「採石場の近くなので注意しましょう」との看板があり、道の右側にフェンスが張られ、その外は雑草と樹林に覆われてしかと見えないが、大量の石が堆積した採石場の跡地のようである。稜線に復帰し、ほぼ平坦な稜線を辿る。

植林帯を緩く下る
谷へ下る
谷から稜線へ登る
231m三角点付近

231m三角点の標石は見過ごして通過。樹林の中を緩く下ると御嶽神社がある。社殿の周りには大きな霊神碑や八海山三笠山神社の石碑が立ち並ぶ。大正十三(1924)年の「御嶽神社五十年記念」碑があるから、神社の創建は明治初期かな。「御嶽山230m」の山名標があるが、頂上をピンポイントで示すなら三角点の所だろう。神社から一段下がったところに東屋があり、岩瀬市街をすぐ下に一望して眺めが良い。ゴールまであと少しである。

御嶽神社
東屋から岩瀬市街を望む

緑が美しい雑木林の山腹をジグザグに下り、小さな谷の中に降りると、懸け樋から水を落とす不動の滝がある。滝上には不動明王像が祀られ、滝下にはベンチがあって、涼むには良い場所だ。

緑深い山腹を下る
不動の滝

滝から渓流に沿って歩道を下れば、程なく駐車場とWCのある御嶽山入口に着く。説明板によると、春のヤマザクラとヤマツツジ、秋の紅葉が特に素晴らしいとのことである。あとは雑草が繁茂する谷地に沿って車道を辿り、「御嶽山・雨引山ハイキングコース入口」の大きな看板を見て、JR岩瀬駅に着く。駅舎は小さいが駅前ロータリーは広く綺麗に整備されている。タクシーも待機しているので利用可能。現在、岩瀬から真壁・土浦方面への路線バスはない。

御嶽山入口
山麓の車道を辿る
御嶽山を振り返る
JR岩瀬駅

岩瀬休憩所の車に戻り、Radon I号を回収したのち、今日は温泉は無しで桜川筑西ICから高速に乗り、桐生への帰途につく。翌日、関東甲信地方の梅雨入り(速報値)が気象庁から発表された。

参考URL:計画の際、つくば新聞の加波山関連の記事を参考にさせて頂きました。