二子山〜武川岳〜伊豆ヶ岳

天気:
メンバー:T
行程:道の駅第二駐車場 7:20 …二子山(883m) 8:40 …焼山(845m) 9:20 …武川岳(1053m) 10:25〜11:00 …山伏峠 11:55 …伊豆ヶ岳(851m) 12:30〜12:45 …正丸峠 13:20 …正丸駅 14:10
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

桐生を車で未明の5時前に出発。途中のコンビニでおにぎりを買って、朝食を軽く済ます。秩父盆地に入る頃には日が昇り、薄明からあっと言う間に広がった青空に武甲山がくっきりと稜線を描く。山麓のコンクリート工場は土曜日も操業していて、煙突から水蒸気が真っ直ぐモクモクと立ち昇っている。良く晴れて風もなく穏やかな天気だ。秩父市街を抜け、武甲山の削り取られた山肌を高く見上げながらR299を飯能方面へ向かう。正面に見える、小さく突き出た二つ並びのピークが、今日、最初に登る二子山だ。

芦ヶ久保駅前の「道の駅果樹園あしがくぼ」の第二駐車場に車を置く。長時間駐車する場合は、道の駅のメインの駐車場に車を置くより、こちらの方が迷惑が少ないだろう。晴天の休日なので車で来たハイカーさんも多く、準備を整えて三々五々出発していく。横瀬川に架かる芦ヶ久保橋を渡って右手が二子山の登山口で、道標や登山届ポストの他に「横瀬二子山 学習登山コース LESSON 1」という題で登山心得を説いた大きな看板がある。


芦ヶ久保駅に通じる芦ヶ久保橋


橋を渡って右が二子山登山口

登山道に入り、すぐ先で左折して西武秩父線を地下歩道で横断すると、山腹を登る山道となる。小尾根を乗り越して谷に入り、渓流に沿って登る。北向きの谷間には日が差し込まず、薄暗くて寒い。杉林を抜けて疎らな雑木林に入る。落ち葉を踏んで急な谷を登るうちに、ようやく体が暖まってきた。斜面を登って尾根の上に出ると、低い角度で差し込む陽光が眩しい。


山腹を登る


尾根を越えて谷筋を登る


急坂を上がって


尾根上に出る

ロープが張られた急斜面を登ると二子の片割の雌岳頂上に着く。小広い頂上は樹林に囲まれて、展望は北面の疎らな雑木林を透かして奥武蔵の山々が見える程度である。

三角点のある雄岳へは、小ギャップに下って登り返す。こちらの頂上も杉林に囲まれているが、北に向かってちょっと突き出たテラスがあり、そこからの武甲山や秩父盆地の眺めが良い。遠くに赤久縄山や御荷鉾山を望み、そのさらに奥に見える白い山は浅間山だろうか。頂上にも「学習登山コース」の看板があり、それによると登って来た沢は「兵の沢」と呼ぶそうである。


二子山雌岳頂上


二子山雄岳頂上


雄岳頂上から武甲山と両神山(右奥)


雄岳頂上から秩父市街を望む

二子山から武川岳へ向かう。頂上からザレた急坂を下ると、緩やかに上下する稜線歩きとなる。疎らな雑木林の所々に残る紅葉を愛でながら、落ち葉をカサコソと踏んで歩く。右手には木立を透かして常に武甲山がある。やがて急坂に差し掛かり、一気に登り上げると焼山の頂上に着く。


雑木林の縦走路


名残の紅葉


二子山を振り返る


焼山の頂上直下の急坂

焼山の頂上は展望が開け、眼前に武甲山が生川(うぶかわ)の谷を隔てて間近にドーンと聳える。武甲山を眺めるには特等席と言って良い展望ポイントだ。削り取られる前の在りし日の武甲山も、一度見ておきたかったなあ。後方には台形の山影の両神山を遠望する。


焼山頂上


焼山頂上より武甲山の眺め

振り返れば、二子山の双耳峰を望み、その背景には奥武蔵の山々が連なる。顕著なピークがなくてほぼ平坦な奥武蔵のスカイラインの中で、伊豆ヶ岳は小粒ながらも鋭角な部分のある山容を見せている。今日は武川岳を経て伊豆ヶ岳を越え、正丸駅に下る予定である。


焼山頂上より二子山を望む


焼山頂上より伊豆ヶ岳(右)を望む

緩やかな縦走路を進むと林道に出る。車が3台あるのは何かの作業で来ているようである。しばらく林道を辿り、道標に従って縦走路に復帰すると、再び急登となる。北向きで日陰の急坂を一直線に登ると、平坦な稜線の上に出る。疎らな雑木林にミヤコザサが広がり、明るく開放的で気持ち良い。


緩やかな縦走路を進む


林道に出る


林道から急坂を上がる


蔦岩山頂上

稜線上の小さなコブの上に「蔦岩山 1004m」の山名標がある。行く手には伐採地越しに、ゆったりと左右に稜線を延ばす武川岳が眺められる。標高差は50m程しかないから、ここから武川岳までは楽な行程である。


蔦岩山より武川岳を望む


武川岳頂上

ゆるゆると縦走路を辿り、最後に短い坂を登って武川岳の広く平坦な頂上に着く。頂上は樹林に囲まれているが、南面が開けて、遠くは丹沢大山まで見える。日当たり良好でベンチもあり、休憩に適している。休んでいるハイカーさんも多い。

私もベンチの一つに腰掛けて、時間はちょっと早いが昼食とする。何せ朝食が軽かったので、既に腹ペコだ。鍋焼きうどんを作りつつ、向かいのベンチでガスストーブを使っている単独行のハイカーさんを見たら、同じく鍋焼きうどんを温め中。やはり寒い冬はこれに限りますよねー、とシンパシーを感じる(^^;)


武川岳より南方の展望


ハイカーで賑わう武川岳頂上

腹を満たしたところで、次は伊豆ヶ岳に向かう。アセビが混じる雑木林の尾根を緩く下り、僅かに登り返すと前武川岳の平坦な頂上。天狗岩経由名郷へのコースが分岐する。


山伏峠への尾根道を辿る


前武川岳頂上

山伏峠へ広い尾根を下る。建設中の林道を横断すると伐採地から前方が開けて、伊豆ヶ岳が眺められる。頂上稜線の左端は急角度で落ちていて、あそこが(奥武蔵では稀少な)岩場コースとして知られる男坂のある箇所のようだ。


尾根道を緩く下る


伊豆ヶ岳を望む

さらに杉林に覆われた尾根を下ると、山伏峠を越える車道の切り通しに突き当たる。切り通しを下れないこともないようだが、無理せず左に折れる踏み跡を辿ると、200m程迂回して車道を横断し、同じだけ戻って縦走路に復帰する。少し上がった場所に石祠がある。


山伏峠越えの車道を横断


山伏峠上の石祠

杉林の中を一直線に急登、雑木林に入って流失しかかった木の階段道をさらに急登する。最後に紅葉の残る疎らな雑木林を登り、天目指峠からの登山道(関東ふれあいの道)を合わせると、伊豆ヶ岳の頂上に着く。


杉林中を急登する


急坂の半ば地点


冬枯れの雑木林を急登


伊豆ヶ岳頂上(1)

頂上は南北に細長く、岩場が点在する。最高点は岩場の上で、その脇に三角点標石が設置されている。大勢のハイカーさんで賑わっており、びっくり。グループで来ている若者も多く、頂上からの展望にはしゃいでいる。山名標の前で記念撮影をしようとしている山ガール二人組に頼まれて、シャッターを押してあげたりする。広場では、大人数のグループが休憩&昼食中。こんなに大人気の山とは、迂闊にも知らなかった。


伊豆ヶ岳頂上(2)


伊豆ヶ岳より奥武蔵の展望

伊豆ヶ岳からは正丸峠を経由して正丸駅に下る。男坂の岩場は落石が発生しやすく危険、女坂も道の下の斜面が崩落して危険なため、迂回路を通行するように、との案内がある。迂回路を下って男坂を下から見上げると、岩場に取り付いているパーティーがいる。自己責任で登っても構わないようである。意外と大きなフェース状の岩場で面白そうではあるが、人が多いのでチャレンジするのは止めておく。


女坂の迂回路を下る


男坂の岩場を仰ぐ

男坂の下で正丸駅に直接下るルートを右に分け、正丸峠まで尾根道を辿る。僅かに登ったピークには五輪山の山名標がある。ここからほぼ平坦な尾根道が続く。長岩峠、小高山と、いずれも小さなアップダウンで、里山の雰囲気。こういう楽な道をのんびり歩くのも良いものである。


平坦な尾根道を進む


小高山より二子山を望む


正丸峠への尾根道


正丸峠・奥村茶屋

茶屋の建物の裏手に到着し、表に回ると正丸峠越えの車道に出る。自転車で上って来た男3人組を見たら欧米の方。最近は、こんな辺鄙な場所でも外国人を見かけることが多い。まあ、とてもエンジョイしている様子なのは何より。峠からは関東平野、武甲山のそれぞれの方面の展望が良い。


正丸峠より関東平野の眺め


正丸峠から谷筋を下る

茶屋の裏手から谷に向かって下る。杉林の中で薄暗い谷間を下って行くと水流が現れ、だんだん大きな流れに育つ。旧正丸峠からの道を左から合わせると、小さな石鳥居と祠がある。説明板によると、2月の初申(はつざる)に山の神を祭る「お申講」の社で、飯能には特に多く、今も盛んに行われている。祭神は大山祗神、木花咲耶姫、猿田彦、天狗、本物の猿など様々なものがある、とのこと。


お申講の祠


山間の集落を通る

やがて集落に出て、あとは長閑な山村風景を眺めながら、車道を正丸駅まで辿る。伊豆ヶ岳から直接下ってくる大蔵山コースを右から合わせる。合流点には馬頭尊を祀る社がある。安産地蔵尊を過ぎ、西武秩父線の下を潜って左に折れると、山間に瀟洒な片屋根の駅舎が建つ正丸駅に着く。こちらの駅前にも広い駐車場(24時間500円)があって、ハイキングにも利用できる。ハイカーさんが数組、ベンチで列車を待っている。14:09発下り列車に乗車。すぐに長い正丸トンネルに入り、抜けた出口が芦ヶ久保駅である。


山間の集落と黄葉の裏山


西武秩父線正丸駅

帰りは久しぶりに武甲(休日700円)に立ち寄る。湯船に浸かってよく温まったのち、桐生への帰途についた。