笹目倉山〜鶏鳴山

天気:
メンバー:T
行程:東小来川公民館 9:30 …笹目倉山登山口 10:00 … 風雨雷山(653m) 10:40 …笹目倉山(800m) 11:10 …815m標高点 12:00 …947m標高点 12:25〜12:55 …鶏鳴山(962m) 13:15 …北の肩 13:20〜13:30 …林道終点 14:05 …東小来川公民館 14:40
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先週末は、風の神を祀る天気山という山に登った。天気山のすぐ近く(北北西約3km)には、風、雨、雷の神を祀るその名も風雨雷山(ふうらいさん)という山があり、お天気関連の山ということで興味を惹かれる。風雨雷山は、栃木百名山の一座の笹目倉山の北西尾根上の一ピークで、笹目倉山登頂の序でに登られることが多いようである。

また、笹目倉山の北の峰続きには同じく栃百の鶏鳴山があり、両山は縦走が可能。鶏鳴山の頂上付近には石仏数体がある。鶏鳴山には2004年5月に東麓からの往復で登っているが、当時は石仏に興味がなくて、よく見ていないし写真もないので、再訪したい。

鶏鳴山の西麓には小来川(おころがわ)温泉という一軒宿の温泉もあり、風雨雷山、笹目倉山、鶏鳴山を巡って、最後は温泉に入ってしめれば、盛り沢山で充実した山歩きになりそうである。ちょうど希望通りのルートで歩かれているみー猫さんハイトスさんの山行記録に倣って、三山を周回して歩いてきました。

桐生を車で発ち、北関東道、東北道、日光道を経由して日光ICで高速を降り、県道鹿沼日光線を南下して、小来川に向かう。県道の途中は山越えの狭く曲がりくねった道で、路面が凍結している箇所がある。先週末にスタッドレスに交換しておいて良かった。

下山予定地の東小来川にある東小来川公民館の向かいの駐車スペースに車を置く。この公民館は、牧場の畜舎のような赤い屋根(ギャンブレル屋根というのかな?)の建物で、ちょっとお洒落である。

ここから登山口の宮小来川までは約2.6km、徒歩30分の距離なので、今回は車道を歩く。左手にどっしりとした山容の鶏鳴山を仰ぎながら、僅かに下り坂の道をのんびり歩くが、日陰では路面が凍っているところがあるから、油断していると滑って転びそうになる。

東小来川公民館
鶏鳴山を仰ぐ

小来川温泉の前を過ぎると、笹目倉山の端正な三角形の山容が見えて来る。今日は穏やかに晴れ、黒く湿った畑に日光が当たって湯気が漂っている。小来川郵便局を過ぎると「←200M 笹目倉山登山口」の道標があり、左折して脇道に入る。橋を渡り、山麓を道なりに進むと「←笹目倉山 風雨雷山」の道標があり、民家の間を進んで尾根の末端から登山道に入る。

笹目倉山登山口
ここにも道標有り

登山道は杉や檜の人工林に覆われた急な尾根をほぼ一直線に登っている。道型は細いが、足場がしっかりしていて歩き易く、グングンと気持ち良く高度を稼いで行く。

登り口の石祠
杉と檜の尾根を登る

林に覆われて展望はほとんどないが、30分程登ると左側の杉林が伐採されて木立が薄くなり、鶏鳴山の意外とボリュームのある山容が望まれる。笹目倉山から鶏鳴山へ続く稜線は、間で大きく高度を落としているのが見え、結構歩き応えがありそうである。

さらに5分程登ると木の古い鳥居を潜り、3基の石祠が並ぶ風雨雷山に登り着く。石祠はいずれも平入り切妻造り。左と真ん中の二つは比較的新しく、「宮小来川一同建立 昭和三十一年旧九月十五日」の銘がある。右はちょっと古く、「明治廿七年旧三月廿四日」と刻まれている。それぞれが何の神様を祀っているのかは、残念ながら記されていない。

鶏鳴山を望む
風雨雷山頂上

風雨雷山で一旦登りが緩むが、その先も同じような杉林の尾根の急登が続く。次のピークに登り着けば、そこは笹目倉山の西肩のピークで、杉林を透かして笹目倉山がすぐそこに見える。

緩い稜線を辿って、笹目倉山頂上に建つ社殿の裏手に着く。社殿の前の小広い平地に三角点標石と2基の石灯籠がある。石灯籠の中台や火袋が落ちているのは、3.11大震災の被害だろうか。社殿は、屋根が銅板葺、壁と柱は金属パネルで覆われて、小さいながらもピカピカ、しっかりした造り。天善王大神を祀る。ガイド本によると、この神社は南麓にある天善教の奥宮とのこと。頂上は杉林に囲まれて、展望は全くないが、取り敢えず一休み。マードレーヌを食べて小腹を満たす。

杉林の中を笹目倉山へ
笹目倉山頂上

鶏鳴山への縦走路は、まず北斜面の急降下から始まる。赤テープがあり、道型も明確で良く踏まれている。杉林の中を一直線に下ると、次第に尾根筋がはっきりとしてくる。雑木林が現れると、ようやく長い下りが終わって最低鞍部に下り着く。

北斜面を急降下
最低鞍部近くの稜線

少し登り返した辺りが643m標高点で、笹目倉山から高度差約150mを下り、鶏鳴山へは約300mの登りとなる。里山歩きにしてはなかなかのアルバイトである。平坦な稜線をしばらく進むと、石祠がある。こちらは平入り入母屋造り。やがて右側に防獣ネットが現れ、これに沿って歩く。陽が差し込む所は背の低い笹が下生えとなっている。

643m標高点先の石祠
防獣ネット沿いに歩く

再び杉林の中の尾根となり、815m標高点に向かって大きな登りとなる。間伐と枝打ちが行き届いた杉林をこれまたグングンと登る。右斜面には作業道が登って来ている。展望もなく、ひたすら登ると、815m標高点のピークに登り着く。「下山道」の標識があり、東に下って行く踏み跡がある。

815m標高点への大登り
815m標高点
下山道の道標有り

稜線を進んで縦走路二つ目の石祠を過ぎると、再び長い登りとなる。尾根は段々細くなり、露岩が点在する。正午を過ぎ、もう腹ペコで限界と思う頃、947m標高点のピークに登り着く。行く手には雑木林を透かして、鶏鳴山がまだ距離がありそうに見える。休憩適地なので、ここで昼食とする。今日は鰯味噌煮とDRY ZERO、買い置きのラ王味噌味+もやしである。風はなくとも、じっとしているとフリースを着込んでいても寒いので、熱いラーメンは温まって美味い。

縦走路二つ目の石祠
947m標高点

昼食後、鶏鳴山へ急坂を下る。この辺りだけ冬枯れの雑木林に覆われた露岩の多い痩せ尾根で、尾根道の雰囲気を異にする。登り返すと三角点標石のある鶏鳴山頂上に着く。雑木林を透かして男体山が見えるが、展望はすぐ先の北の肩の方が良い。

鶏鳴山を望む
雑木林の稜線
鶏鳴山頂上
北の肩

北の肩は東西に展望が開ける。西側は小来川の集落を俯瞰し、日光連山を遠望する。冠雪した女峰山、小真名子山、大真名子山、男体山が青空に稜線を連ねる山岳景観は素晴らしい。男体山の左奥には、真っ白な日光白根山の頂きも覗いている。

東側は日光市南部の平野を俯瞰し、島の様に浮かぶ古賀志山の山塊を遠望する。前回は春霞で遠望がほとんどなかったから、これだけ良い眺めが得られて再訪した甲斐があったというものだ。

北の肩から日光連山を望む
北の肩から古賀志山方面を俯瞰

北の肩の大岩には5基の石祠が点在し、そのうち、お目当の石仏を納めた石祠が3基ある。偏平足さんの記事「石仏544鶏鳴山(栃木)神像」によると、これらは羽を持つので天狗と思しき石像であったり、正体不明の神像であったりする。誰が何時どのような意図でここに石仏を祀ったかも不明とのこと。いずれも東麓の方を向いて祀られている。個性的で謎な石像をじっくり見る。

天狗
神像
阿弥陀如来
石祠

下山は西面の破線路を下る。と言っても先人の山行記録にある通り、はっきりした山道はない。北の肩から少し戻ると、杉林の中を西面に下る踏み跡と赤テープのマーキングがある。これを辿って下るが、すぐに右側の雑木林の中に大岩が見え、そちらの梢にピンクテープがヒラヒラしているのが見える。ここは植林と雑木林の境界に沿って直進しやすいが、大岩の方へ右折する。枯れ葉に覆われて踏み跡も定かでない斜面を下り、大岩は右側から降りる。ここにはロープが張られている。

西面の破線路を下る
途中の大岩

大きな岩が多数点在し、冬枯れの雑木が疎らに生える小尾根を急降下する。念のため、軽アイゼンと8mmロープを持参しているが、尾根筋を外さない限りは使わなくて済む。

日光連山を正面に下る
尾根筋を忠実に辿る

両側を浅い窪に挟まれた小尾根をズンズン下る。下部で地形図に現れない小さな尾根が分岐するが、左寄りの小尾根を下ると杉林の中に入り、明瞭な踏み跡が現れる。落ち葉を踏んで下って行くと、両側の沢が合流して尾根末端となり、荒れた林道に下り着く。あとは、林道をテレテレと下るだけである。

杉林に入ると明瞭な踏み跡
林道終点に下り着く
荒れた林道を辿る
林道の光芒

山麓の緩斜面を下り、ゲートを通って畑地に出る。谷間の奥に、薙に雪を抱く男体山頂上を仰ぐが、集落の中に下りて行くと見えなくなり、駐車地点の東小来川公民館に到着する。山中で一人のハイカーさんにも会わず、静かな山歩きだった。

山麓に出て男体山を仰ぐ
車道を下って駐車地点へ

車に乗って小来川福寿荘までは直ぐである。朝方、凍結していた路面はすっかり乾いている。福寿荘に着き、日帰り入浴ができるか、宿主のお爺さんに尋ねると、女湯しか湯を張っていないからそちらにどうぞ、とのこと(500円)。もちろん、誰も入っていない。湯船を独占して熱い湯に浸かる。なかなか歩き応えのあった山歩きを温泉でしめて大満足。のんびり温まったのち、日光市街からR122を経由して桐生への帰途についた。