渋温泉・志賀山
お盆休みとは別に貰える三日間の夏季休暇を利用して、長野県の渋温泉に2泊3日で宿泊し、近辺の戸隠高原や志賀高原で軽ハイキングを楽しんできました。
桐生を車で出発し、新幹線で来たS&Sと長野駅で合流。駅前のそば亭油やで昼食に蕎麦を味わったのち、戸隠高原に向かう。
戸隠神社中社を過ぎ、戸隠森林植物園の駐車場に車を停める。こちらは無料な上に車が少ない。植物園に入った所の中央広場からは、ギザギザの稜線を連ねる戸隠連峰が真正面に眺められる。素晴らしい。森林学習館の脇には初めて見る様なでっかいマイタケが出ていた。囲いでキープされているようなので、あとで植物園のスタッフが食べるのかな。
植物園を横断して、戸隠神社奥社参道の入口に向かう。森林の中に平坦な木道が通じており、フィトンチッドを浴びながら散歩を楽しむ。
参道入口に着き、ここから奥社に詣でることにする。私は戸隠山に登ったときに奥社に参拝しているが、S&Sは初めてである。平日にも関わらず、参道には観光客が多い。
一直線に延びる参道を奥に進むと、重厚な藁葺き屋根を持つ随神門に着く。この先には見事な杉並木が続く。説明板によると、1612年(江戸時代初期)に植樹されたクマスギとのこと。
参道は段々傾斜を増し、最後は石段を汗をかきながら登ると、戸隠神社奥社に着く。ここから見上げる戸隠連峰は大岩壁を巡らせて覆い被さるように聳え立ち、迫力がある。
帰りは随神門から植物園に入り、縦横に通じる散策道を適当に辿って、車を置いた駐車場に戻る。往復2時間くらい歩いたから、なかなかいい運動になった。夕食のビールが旨くなったに違いない(^^)
今夜の宿泊地の渋温泉は、信州中野ICから志賀高原方面へ行き、途中で左に入った夜間瀬川支流横湯川に沿ってある。車が一方通行の狭い石畳道の両側に温泉旅館が軒を連ね、昔ながらの温泉街の風情が残る。
泊まる宿は、温泉街のほぼ中心に位置する金具屋だ。昭和の初期に当主が研究を重ね、宮大工を使って建築した館は、木造4階建ての凝りに凝ったもので、屋内も随所に和風の凝った装飾が施されて見事。レトロな雰囲気が横溢する。千と千尋の神隠し(観たことないですが)の湯屋をイメージさせる造りだそうだ。
早速、温泉につかる。風呂は幾つもあり、僅かに硫黄臭のするいい湯。もちろん源泉掛け流し。さっぱり汗を流し、夕食でビールを飲んでご馳走を食べたら、例によって速攻で眠くなり、早々に爆睡してしまった。
温泉旅行2日目は天気良し。志賀高原に上がって、四十八池と志賀山を周回するハイキングコースを歩くことにする。
志賀高原へ上がる途中で、潤満(かんまん)滝を見物する。駐車場から滝見の展望台はすぐ。深いV字谷を隔てて滝を眺める。遠望となるが、それでも大瀑布であることが分かる。
志賀高原の熊の湯・硯川に向かい、前山サマーリフト下の駐車場に車を置く。リフト(往復460円)に乗り、楽して前山に登る。草原が広がる前山頂上は360度の好展望。横手山や笠ヶ岳を眺め、熊の湯を俯瞰する。白い雲を浮かべて澄んだ青空が広がり、爽やかな風が吹いて秋の気配を感じさせる。
ここから四十八池を巡る歩道に入る。行く手に深い緑に覆われた志賀山がこんもりと盛り上がる。標高差約240mだから、楽に登れるだろう。歩き始めてすぐに渋池と言う大きな池が現れる。開けた水面に横手山を映し、なかなかの景勝地だ。
樹林帯に入り、緩く登る道がしばらく続くと、四十八池と志賀山の分岐に着く。まずは右の四十八池への道を辿る。コメツガやオオシラビソ、ネマガリダケに覆われた山腹をトラバースすると、四十八池の南端に着く。WCと東屋があり、ベンチでは数組のハイカーさんが休憩している。
四十八池の中の木道を辿る。池塘を鏤めた湿原の向こうには裏志賀山と志賀山の二峰がこんもりと盛り上がり、絵になる風景だ。湿原に咲く花を撮影したり、振り返って鉢山を眺めながらのんびり歩く。小さな湿原なので、横断して北端まで行くのは約10分程である。
北端で大沼池への歩道を分け、志賀山神社の鳥居を潜って裏志賀山の登りに取り付く。最初は緩いが、途中から急坂となり、意外と汗を絞られる。振り返ると四十八池がもう眼下だ。
裏志賀山の肩に着き、ここでS&Sには待って貰って、一人で裏志賀山の頂上に往復する。ほぼ平坦な稜線を辿る。
裏志賀山の頂上は樹林の中で、志賀山神社の石祠が祀られている。その少し先の樹林の切れ間から、大沼池を俯瞰することが出来る。コバルトブルーの湖面が神秘的だ。
S&Sの待つ分岐に戻る。S&Sは、分岐で休憩していた他のハイカーさんから、志賀山の下りは険しいですよ、と聞かされて戻りたがったが、ここまで来たら進むも戻るも同じでしょう(件のハイカーさんも山に慣れてない感じで、少々大げさ)。
という訳で、志賀山に向かう(結果的にはこちらで正解)。樹林とササ原の斜面を鞍部に向かって下る。鞍部は笹原の中に点々と針葉樹を配し、池もあって庭園風だ。北を眺めると、発哺温泉や焼額山が眺められる。雲がだいぶ広がって来て、遠望は霞み始めた。
鞍部から笹原の中を急登する。いろいろな花が咲いていて目を楽しませる。展望も開けて、快適な登りだ。
写真を撮りながらのんびり登って、三角点標石のある志賀山の頂上に到着する。横手山や志賀山が良く眺められ、四十八池や畔の東屋も俯瞰できる。ここで昼食とし、パンとペットボトルのお茶を腹に入れる。
昼食後、頂上から少し進むと五葉松という標識のある地点で、ベンチと展望盤がある。ただし、樹林に囲まれて、展望は中野市街方面が見えるくらいである。
ここから笹原の斜面を急降下する。眼下には森林に囲まれたお釜池がある。眺めは良いが、足元は岩がゴロゴロなのでよそ見しながらの歩きは禁物。急坂を下って針葉樹林に入り、なおも下る。こちらを登りにとるのは大変そうだ。
ようやく急降下が終わって笹原の中の木道となり、四十八池との分岐に出る。あとは往路を前山のリフト乗り場に戻る。
4時間弱の軽いハイキングコースだが、池あり花あり展望あり、歩き応えも適度にあって、なかなか楽しいコースだった。
前日はハイキングを堪能したので、最終日は観光に充てる。金具屋をチェックアウトし、まず、近くの縁喜(えんぎ)蔵元・玉村本店に立ち寄る。ここで純米大吟醸の縁喜を某宴会用に購入(後日、宴会に提供したら、凄く美味しくて、アッという間に売り切れた^^;)。
それから長野に出て、長野県信濃美術館と東山魁夷館で日本画を鑑賞。その後、善光寺近くのそば処北野家本店で昼食をとったのち、新幹線で帰るS&Sと長野駅で別れて、桐生への帰途についた。