唐沢尾根〜仙ヶ沢〜白葉峠

天気:のち
メンバー:K,T
行程:黒川ダム 9:15 …山神社 9:30 …唐澤山石祠 10:20 …金峯山石祠 10:55 …仙ヶ沢(647m) 11:45〜12:45 …仙人ヶ岳分岐 13:00 …荒倉山 13:15 …一色展望台分岐 13:55 …高萩山(377m) 15:00〜15:15 …白葉峠 15:40 …山谷戸峠 16:15 …黒川ダム 16:40
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

最近、山に登っていないので歩きたくてうずうず、とおっしゃるKさんに同行頂いて、岩稜に山岳信仰の石造物が残る唐沢尾根を登り、仙ヶ沢(通称、前仙人ヶ岳)、白葉峠をぐるっと周回して来ました。

黒川ダムの畔の駐車スペースに車を置いて出発すると、林道を下って来たグループに混じって、なんとhisiyamaさんと奥さんがいらした。hisiyamaさんとは2年振り?の再会で、互いに奇遇にびっくり。思わず握手を交わす。病を得て昨日退院されたばかりとのことだが、早速散歩できる位で大変お元気そうなのは幸い。今日の山行の予定を話すと、仙人ヶ岳では一番面白いルートだが長いよ、とのこと。気をつけていってらっしゃい、と見送られる。

黒川東ノ入に沿って林道を上がると左側に山神社の石鳥居が建ち、奥に大きな岩壁がある。石鳥居を潜って石段を登ると、岩壁基部に2基の石祠が祀られている。明治の建立の比較的新しい祠。ワンカップ酒がお供えされ、今でもお参りする人があるようだ。

山神社の裏手が唐沢尾根となる。林道を少し戻って、尾根の末端から取り付く。前回はジョギングの序でに空身で登ったのであまり意識しなかったが、じっくり歩くとなかなか急な岩稜で、赤テープがあるものの道型も判然としない。なるべく登り易いルートを選んで上がる。

山神社
岩稜を登る

樹林が切れて背後の眺めが開けると、アカマツを配した岩場に1基の石灯籠が建つ。左側は切れ落ちた岩壁で、麓に一色の集落の一部を望み、梅雨空に霞んでいるが桐生の街並まで眺めることができる。桐生市街の至近に、険しくて奥山の雰囲気漂うこんな場所があるとは驚きである。

石灯籠
石灯籠から麓の眺め

石灯籠のすぐ先の大岩の上に2基の石祠が並んで祀られている。山神社の奥宮にあたり、向かって左が根本山、右が唐沢山の石祠だ。この場所は尾根の途中でピークではないが、桐生地域百山の第68番目に唐沢山として選出されている。桐生の山では珍しい岩稜に貴重な宗教モニュメントが残っているので、百山入りも納得である。

石祠の背後の大きな岩場を巻いて登ると岩稜は終わり、しばらく樹林の中を登る。やがて小岩峰が現れ、右から巻いて登ると崩壊した2基の石祠がある。左は台座のみで「甲斐國分地」、右は屋根がなく「甲斐國金峯山神 内藤摂津守 御分地」との銘がある。

根本山・唐澤山石祠
金峯山石祠

金峯山から小枝の煩い尾根を登るとすぐに林道に出る。やまの町桐生の記事(唐沢山/金峰山)ではここを大久保展望地と称しているが、現在では樹木が育って展望は得られない。林道を横断して樹林に覆われた尾根を緩く登ると、観音山からの稜線上の山道にいつの間にか合流し、オオクボのピークに着く。樹林に覆われて展望はないが、北面を覗き込むと意外と急峻で、深い谷に面している。

稜線を小さく下って登り返すと仙ヶ沢の頂上に着く。ここで昼食とし、Kさん差し入れの小さい缶ビールで乾杯。さらにゆで卵やハム、パン、果物を美味しく頂く。この時期にこの辺り低山を歩く人はいないようで、頂上を独占して1時間ものんびりする。

オオクボ付近の稜線
仙ヶ沢頂上

予定よりのんびり歩いて正午を大きく回ったので、仙人ヶ岳往復は割愛。県境尾根を南下して白葉峠に向かう。アカマツの混じる細尾根を辿ると荒倉山の頂上に着く。小さなピークだが、ここから眺める仙人ヶ岳は奥山深い感じがあって、なかなか良い。

県境尾根
荒倉山から仙人ヶ岳を望む

荒倉山の次の小ピークで、県境尾根は右(西)に向きを変える。直進する枝尾根にも赤テープがあり、踏み跡がついている。これを辿ると449m標高点を経由して南麓の荒倉の集落付近に降りるようだ(ネット上にいくつか山行記録がある)。

ヒノキ林に覆われた尾根を辿り、すみれ山好会の「鷹ノ巣沢」というプレートのある平坦なピークを通過。一色展望台と白葉峠の分岐で給水のために休憩をとる。時期的に仕方ないが、蒸し暑くて喉がすぐ渇く。

左の県境尾根を辿ると、ザレた斜面の急降下となる。大きく高度を落とすと緩く広い尾根となり、左側に近年伐採された斜面が広がる。数年が経過しただけで草木がわっさわっさ繁茂し、山道もススキや灌木に覆われて判然としない。今現在は小俣川の谷を隔てて、石尊山から深高山にかけての平坦な山稜の眺めが得られるが、この展望も藪が伸びるまであと数年の期間限定だろう。ところどころに生ったキイチゴを摘み、微かな甘みで喉の渇きを癒す。

一色展望台分岐
石尊山を望む

399m標高点の緩やかなピークを越え、短い急坂を登ると三角点標石のある高萩山の頂上に着く。マイナーなピークだが、木彫りの山名標が掲げられている。頂上付近は今春の山火事に遭い、焼けこげた木が多く、未だにきな臭い匂いが漂う。県境尾根を下り始めて2時間経過。結構な距離を歩いて来たので、Kさんもお疲れ気味。長めの休憩をとる。

高萩山からは火事でぼろぼろになった急斜面を下る。右手は伐採された斜面で、桐生市街の展望が良い。藪っぽい尾根を下ると白葉峠の切り通しに突き当たり、固定ロープを伝って車道に降りる。

高萩山頂上
白葉峠へ下る
正面は菱町の御嶽山

白葉峠から小友側へ車道を下る。麓の橋を渡って左折、道端の庚申塔と地蔵を過ぎた辺りで山腹を登る踏み跡に入ると、竹林の中を斜めに登るはっきりした作業道跡がある。これを辿って稜線に出た所が山谷戸峠だ。

峠を越えて反対側の山道を下る。伐採跡に巨大なタケニグザの生える浅い谷を下り、暗い杉林の中の陰気な貯水池を横目に山道を辿ると菱町の深山地区に出る。黒川沿いの車道に出たところで、足先を痛めたKさんがリタイア。久しぶりの山歩きにしては、ちょっと距離が長かった。黒川ダムまで車を回収に行き、戻ってKさんをピックアップして、帰途に着いた。