経塚山稜〜荒神山丘陵
GW前半3連休の3日目も前日に続いて地元桐生の山歩き。Kさんの発案で、川内町の経塚山から平井町・天神町の愛宕山まで、稜線を繫いで歩くことにする。桐生地域百山5座(うち、私が未踏のものは4座)を一気通貫で登るという、効率的かつなかなか面白いコースである。Kさんの記事はこちら→川内経塚山〜平井愛宕山。
桐生駅北口から吹上行き9:00発のおりひめバスに乗車。GWとあって、小さなノンステップバスの座席は鳴神山を目指すハイカーさんで埋まっている。我々はむつみ橋バス停で下車。経塚山の登山口の赤城神社はバス停の目の前だ。
まず神社にお参りする。赤城山を背にして立派な社殿が建っている。境内にお堂があり、その中に垂れた乳房を持つ胴体だけの石像(山の神?)が置かれている。全体を朱に塗られているのは疱瘡除けの信仰だそうだ。
経塚山へは鳥居の前を右に進み、「経塚山登山道30分」の道標にしたがって、手摺のある山道に入る。地元の人の散歩道になっているようで、緩やかな尾根の上に良く踏まれた登山道が通じている。鮮やかな新緑に囲まれて、爽快な気分だ。
やがて傾斜が増し、樹林を切り開いた斜面をジグザグに登ると経塚山の頂上に着く。山麓を俯瞰し、川内の町並みや桐生川、鹿田山丘陵、広沢丘陵が一望できる。丸太のベンチもあり、のんびり腰を落ち着けられる。なかなか良い雰囲気の山頂だ。
経塚山から北に続く経塚山稜を辿る。適度にアップダウンがあり、楽しく歩ける道だ。新緑のあちこちに、アオダモのぽわっと広がった白い花が咲いていて目を惹く。
やがて、稜線が左側から抉られて、すっぱりと断絶した個所に突き当たる。西場富士〜大小山の間にあるキレットに似ているが、こちらも鉱山に関係するものだろうか。不思議な地形だ。縦走路は断絶個所を巻いて続いている。ここからは吾妻山の眺めが良い。
ヒノキ林と雑木林の境界の稜線を歩き、小ピークを右から巻くと、花柄峠という古い道標のある鞍部に着く。左右に峠道の痕跡が下っているが、落ち葉に覆われていて、あまり歩かれてはいないようだ。
ここから僅かな登りで小倉山の頂上に着く。樹林に囲まれて展望はないが、草地に陽が差し込んで明るい雰囲気の山頂だ。南麓の崇禅寺からも良い山道が登って来ている。Kさんによると、崇禅寺の秋の紅葉は見事だそうだ。
小倉山から縦走路を辿り、杉林の中を登るとあっけなく笹久保山の頂上に着く。八木アンテナが立ち並び、囲いの柵の中に石祠が祀られ、ちょっと気の毒な感じ。
頂上のすぐ先に四等三角点の標石があり、アオダモの見事な大株を過ぎて緩く下ると、霊符尊神に着く。石柱を貫通する丸い孔を覗くと駒見山が見えるとの話だが、この時期は新緑に遮られて全く見えない。北斗七星と孔の回りの瑞雲の文様がスタイリッシュな、見事な石造物だ。未見の人は是非。
霊符尊神の先で名久木坂の峠道を左右に分け、ヒノキ林の稜線を辿ると自然観察の森の最高点(標高355m)に着く。ちょうどベンチがあるし、時間も頃合なので、ここで昼食とする。Kさん差し入れのでかい鮭入りおにぎりやウィンナ、フルーツ等を美味しく頂く。
休憩地点からさらに稜線を辿る。ここは関東ふれあいの道となっていて、木の階段等が整備されている。以前、盛夏に歩いた時は草茫々だった記憶があるが、現在はきれいに刈り払いがされているし、道端にはポツポツと花が咲いて、快適に歩ける。途中のピークから新しい脇道があり、寄り道して見ると行き止まりだが、そこから吾妻山の展望が得られた。この方向から眺める吾妻山は、ふっくらと盛り上がる奇麗な双耳峰となっている。
赤松の混じる尾根を登り、吾妻山〜鳴神山縦走路に出る。ここまでが経塚山稜である。
吾妻山方面に向かい、鳳仙寺沢の頭の標識を過ぎてしばらく行くと、左に藪っぽい山道が分岐する。立ち木に「キノコ研究所」と切り付けた、ちょっと痛々しい道標がある。
この山道に入ると、暗い杉林の山腹を下る道となる。道型は明瞭だが、最近歩かれている気配がない。やがて石祠と「←きのこ会館 吾妻山 鳴神山→」という道標のあるY字路に着く。ここを右に進むと物見山に行くとのこと。左はホテルきのこの森(きのこ会館は旧称)の跡地を経由して、荒神山、愛宕山に続く稜線(桐生市史では荒神山丘陵と呼んでいる)への道だ。今日は左に進む。
掘割状の作業道を下ると再び分岐点があるが、「きのこ会館」の道標に従う。かつてはきのこの森の散策路として整備されていたそうだが、きのこの森が廃業して久しく、整備の手も入らなくなって、歩く人も稀なようだ。雑木林の尾根の下りになると少々藪っぽい。しかし、新緑が美しく、桐生市街にほど近い場所にこんな自然の野山があったのかと、ちょっと驚く。まあ、桐生はそんな場所が多いんですがね(^^;)
緩く尾根を下っていくと、きのこの森の広大な駐車場に着き、車道を歩いてホテルきのこの森の跡地に出る。昔、ホテルが営業中の際に宴会で一度来たことがあるが、廃業後に訪れるのは初めてだ。がらんとした空間に初夏の日射しが降り注ぎ、な〜んとなく空虚な心持ちに。ホテルの露天風呂からの展望が売りだったそうで、一度入ってみたかったかも。
ホテル跡地から車道を下り、きのこ研究所の横を通る。この辺りは車道が錯綜しているので、歩いたことがあるKさんの案内で進む。車道から分かれて尾根上の踏み跡をゆるゆる登ると、荒神山(経の峰)の頂上に着く。祀られている石祠はU字溝とブロックを利用した近代的なものだが、傍らの立ち木には梵天が掲げられ、今でも信仰を集めているようだ。
荒神山からさらに尾根を辿る。しばらく作業道を辿り、踏み跡に入る。標高が低い所は既に低木の藪が蔓延りだしているが、新緑を愛でながらまだまだ楽しんで歩ける。両側は急斜面となり、樹林を透かしてすぐ下に天神町と平井町の町並みの屋根が見える。街中に岬のように突き出た尾根の上を歩いていることが良く分かって、妙な気分だ。愛宕山頂上には三角点標石と二基の石祠があり、標高僅か166mの小山だが一丁前の山の風情である。
愛宕山から露岩のある急坂を下る。麓に近いところで三基の石祠を見つけた。そのうちの一つには羽黒山という銘があり、出羽三山を祀ったものようだ。鳥居の脇を降りてフレッセイ天神町店の駐車場に着く。ここは買い物で度々来る所で、鳥居があることは知っていたが、愛宕山に登ったことは(荒神山も)初めてである。地元にもまだまだ知らない面白い場所があるものだなあ。今回のコースは変化に富んで実に面白かった。
フレッセイ前の自販機の冷たいジュースで喉の渇きを癒した後に解散。Kさんも私も自宅まで歩ける距離である。途中の生協で買い物をして帰宅した。