茶ノ木畑山(赤城)
Mさんの発案で、おおさる山乃家から赤城山の南面を周回するコースを歩いて来ました。
桐生を車で出発。R353とからっ風街道を経由し、赤城山山麓のひと気のない別荘地を通り抜けて、登山口の大猿川上流、おおさる山乃家に向かう。途中の日陰の路面には雪が残る。大猿川に架かる橋を渡り、おおさる山乃家の駐車場に車を乗り入れると全面に雪が残り、テカテカに凍り付いている。他の駐車はない。
路面には雪が残っているが、周辺の山肌にはほとんど雪はない。先週末の大雪は一週間で大部分が消えて、昨日の妙に暖かい天気(桐生で最高気温が17.6℃、4月上旬の陽気)で止めを刺されたようだ。スパッツを着け、スノーシューは出番がなさそうなので車に残す。ワカンと軽アイゼンは念のため携行して出発する(結局、どちらも使わなかった)。
大猿川に架かる橋の上から上流を眺めると、茶ノ木畑山が青空の中に両翼の稜線をゆったり広げて聳えている。赤城の山々の中ではあまり登られないマイナーなピークだが、こうやって見上げるとなかなか立派な山容だ。
大猿川の左岸に渡って上流に向かうと、すぐに赤城山大猿登山口の道標があり、ここから取り付いて樹林の下生えに笹原が広がる山腹を登る。整備された登山道がジグザグに付けられていて、歩き易い。
登り着いた尾根上にも明瞭な登山道が続き、それに並行して深い道型が断続する。Mさんによると、この道型は山麓の旧新里村奥沢から赤城山に登る古道だそうだ。稜線を乗り越して反対側に下る山道もあり、「←梨木方面」という新しい道標が立つ。
ここから茶ノ木畑峠に向かって尾根道(小峰通り)を登る。雑木林の中で展望は木の間越しに限られるが、明るくて雰囲気の良い山道が続く。雪も少し現れ始め、たくさんの足跡が残っている。結構、大人数が登っているようだが、今日は今のところ誰にも合わない。
緩い登りから、やがて傾斜が増す。丹念にジグザグを切る古道の道型を横目に、直線的に付けられた登山道を急登すると、雨やどり石という道標がある。これはどんな石と見てみれば、猫が雨宿りできる程度の庇(Mさん談)のある大したことのない石だった(^^;)。
枯草色の笹原に覆われた尾根を登ると、岳人岩という道標がある。その傍に、今度はそこそこ大きな岩が立つ。しかしこの名称は(さっきの雨やどり石も)近年のものっぽい。さらに登って、追分の道標のある地点を通る。ここで、梨木から上がってくる尾根道(梨木通り)を右から合わせる。
電光型の山道を登り、雪が堤状に連なる頂上稜線に登り着いた所が茶ノ木畑峠だ。稜線上は強い北風が吹き抜けて、さすがに寒い。まず稜線を右に辿って、茶ノ木畑山に向かう。
茶ノ木畑山の頂上は峠から目と鼻の先だが、かつて茶ノ木に見立てられたというツツジ群落が密生し、灌木藪が深い。藪を覆い隠す雪を利用して、なんとか頂上に着く。藪っぽい樹林に囲まれて、いまいちパッとしない頂上だ。しかし、未踏のピークを一つ踏めたのは満足。山名標の類は見当たらない。木立を透かして、隣りの長七郎山が高く見えている。
茶ノ木畑山の先には、緩やかで気持ち良さそうな雪の稜線が前山に続いている。前山もごくごく近いので、ちょっと足を延ばしてみる。
前山の頂上は茶ノ木畑山より展望が良く、日光白根山から皇海山、袈裟丸山、鳴神山方面が眺められる。足元には深沢川の谷が深く食い込んで、意外と高度感がある。長七郎山に向かって、ツツジ藪の間にテープのマーキングがあるから、縦走する藪山派ハイカーさんも居るようだ。
茶ノ木畑峠に戻り、横引きの尾根を西へ辿る。左側斜面に小さな雪庇はあるが、登山道には雪は少ない。右には木立を透かして長七郎山や地蔵岳が見える。あちらの山はさすがに雪が多い。
下山ルートのつつじが峰通りへの下り口に着く。そろそろ昼食の時間だ。稜線上は風が強くて寒いので、少し下って風が避けられる小さな平地を見つけ、大休止とする。今日は缶ビール有り。鯖&鰯の缶詰を肴にし、鍋焼きうどんで腹を満たす。食後に山専ボトルに入れて来た熱いカフェオレを飲んで、まったりする。
ここからしばらく急な下りが続く。雪が解けてぬかるみ、非常に滑りやすい。ストックをしまい、立ち木を摑んで慎重に下る。さねすり岩を過ぎて少し下ると両側が崩落した痩せ尾根となり、左側には往路の小峰通りの尾根、右側には粕川の深い谷を隔てて右岸の岩壁の眺めが良い。
急降下が終わり、緩い稜線歩きとなって一安心。下るに連れて暖かくなり、のんびり下る。前不動駐車場への道を右に分け、次に大猿への下り口に着く。ここには如何にも石碑のような形の石があるが、銘の類は何も彫られていないようだ。
分岐から枝尾根の上に付けられた階段道を下る。なぜか雪が多くて、ちょっと楽しい。山腹をジグザグに降りて緩い谷を下ると、程なくおおさる山乃家に着く。管理宿泊棟の左手には記念碑、石祠と「赤城山大猿の猿」という石像がある。説明板によると、この石像は森林公園完成(平成4年)にあたり、地名にあやかって建立されたものだそうだ。山乃家は冬期休業中で、隣りのWCと共に閉鎖され、周囲にひと気はなくて静まり返っている。
澳比古神社の赤鳥居の脇には水場があり、凍ることなく水が勢いよく吹き出している。一口掬って飲んで喉の乾きを癒し、車に戻って、桐生への帰り道についた。