宝満山

天気:時々
メンバー:T
行程:太宰府駅 10:50 …太宰府天満宮 11:00 …竈門神社 11:35 …一の鳥居 12:00 …中宮跡 12:35 …宝満山(829m) 12:50〜13:00 …仏頂山(869m) 13:15 …有智山城跡 14:10 …内山バス停 14:40
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

福岡に所用で出かけたついでに、太宰府天満宮から宝満山に登って来ました。宝満山には福岡に住んでいた中学生の頃、家族と共に2度登っているのですが、何せ30数年前のことなので記憶も断片的で、初めて登るのとさして変わらない新鮮な感覚で楽しめました。

地下鉄天神駅のコインロッカーに登山装備以外の荷物をデポし、雨具とセーターを簡易型ザックに入れただけの軽装で西鉄福岡(天神)駅から天神大牟田線の電車に乗車する。西鉄二日市駅で太宰府線に乗り換え、終点の太宰府駅で下車。駅前は参拝客、観光客で大賑わい。外国語も聞こえてきて、中韓からの観光客も多いようだ。

駅前から人通りの多い門前街を通って太宰府天満宮に向かう。途中の店で名物の梅ヶ枝餅を行動食代わりに買って行く。値段は1個105円也(税込)。天満宮の境内も参拝客で賑わっている。本殿でお祓いを受けている人が多いのは、受験シーズンが近いからだからだろうか。私は旅行安全御守を頂いた。これって、登山中にもご利益があるのかな。


太宰府駅


太宰府天満宮

天満宮の境内を通り抜け、宝満山山麓の竈門(かまど)神社まで車道を辿る。丘を一つ越えると、行く手にこんもりと盛り上がる宝満山が眺められる。坂を上がると竈門神社の入口に着く。広い駐車場(有料)があり、参拝客がちらほら見受けられる。私も参拝のため鳥居を潜る。参道の石段を登ると本殿がある。大きくはないが、由緒ありそうな社殿だ。縁結びの神様だそうだが、曇り一時雨と予報されている天気の好転を祈念する。


山麓から宝満山を望む


竈門神社

境内の左側から車道に出て車道を辿り、道標に従ってショートカットの山道を登る。林道内山線終点を通り、一の鳥居を潜ると、延々と続く石段の登りが始まる。数組のハイカーさんと前後しながら、急な山腹をジグザグに登って身体が温まってきた頃、ベンチが現れて三合目(休堂跡)の標識が立つ。また、奥にはパイプから冷たい水が迸る水場がある。標識によると、徳弘の井というらしい。清水を飲んで一休み。梅ヶ枝餅を一個食べる。まだ温かく、ほんのりした甘みが美味しい。もう一つ食べちゃおう。残りはあと一個だ。


九州自然歩道・宝満コースを辿る


一の鳥居


石段の登りが続く


三合目・徳弘の井

なおもジグザグに石段の登りが続く。四合目を過ぎ、殺生禁断と深く刻まれた石碑を見ると五合目で、登りの半ばだ。六合目(吉田屋敷跡)に続いて「百段ガンギ」の標識があり、ここからひと際急で一直線の石段を登る。百段ガンギを登りきると七合目で、樹林に囲まれた平坦地があり、石垣の壁だけが残った建物や、岩の間に水が溜まった井戸がある。この付近一帯は西院谷といい、かつては九つの坊があったとのこと。


五合目・殺生禁断碑


百段ガンギ

七合目からはひと登りで稜線上に出て、竈門山碑と刻まれた大きな石碑の建つ広場(中宮跡)に着く。説明板によると、宝満山で修験道が盛んだった頃にはここを中宮といい、本地仏十一面観音を祀る大講堂を中心に神楽堂、鐘楼、法華堂、九重塔などが立ち並んでいたが、明治初年の廃仏毀釈により取り壊されてしまった、とのこと。

中宮跡からは岩場を交えた稜線上の道となり、九合目の標識を過ぎると、袖すり岩、馬蹄石などと名前のついた岩がある。変化に富んだ稜線で面白い。


中宮跡


袖すり岩

最後に階段を登ると、竈門神社上宮が建つ宝満山頂上に到着する。頂上の周辺は四方とも切れ落ちた岩場となり、特に北面と東面は絶壁となっている。展望はすこぶる良く、福岡市街や博多湾が遠望できる。眺めが良い分、風当たりも強い。福岡近郊で一番人気の山だが、天気がいまいちのこともあり、今日はハイカーさんの数は少ない。岩陰で寒風を避けつつ、最後の梅ヶ枝餅を食べる。


宝満山頂上の竈門神社上宮


宝満山頂上


宝満山頂上から福岡市街を遠望


宝満山頂上から仏頂山を望む

下山は峰続きの仏頂山に登ったのち、西面のうさぎ道コースを降りることにする。頂上から石段を降り、岩場を固定ロープを頼りに下って北の鞍部に着く。ここから見上げる宝満山の頂上は大岩を峙てて、修験道の山らしい険しさを示す。先日降ったという初雪が薄らと残る登山道をゆるゆると登ると、仏頂山に到着する。アカガシなどの樹林に覆われて展望はない。宝形造の石祠と三角点の標石がある。


宝満山北面の岩場を下る


仏頂山頂上

稜線を僅かに戻り、道標に従ってうさぎ道に入る。その名の通り細い道だが、道型は明瞭だ。枝尾根の上をどんどん下る。途中で河原谷(難所ヶ滝)への道を右に分ける。河原谷のコースは昔歩いたことがあるので、懐かしい地名だ。樹林に覆われて展望に乏しい道だが、この先で樹林が少し切れる地点があり、宝満山西面の険しい岩場が眺められる。


うさぎ道コースを下る


宝満山の西面を仰ぐ

尾根上の道を淡々と下ると傾斜が緩まる。車道を横切り、送電線の下を歩く。右と左に道が分かれるが、道標によるとどちらも最終的には竈門神社に至るようだ。ここは右に進んでみた。高く育った杉林の中を歩くと、有智山(うちやま)城跡の標識があり、石垣や二重空壕の跡が残っている。後日調べると、鎌倉時代に武藤資頼(すけより)が居城として築いたものだそうだ。

杉林の中を緩く下り、車道に出る。振り返ると、青空の中に宝満山がこんもりと聳えている。天気が保って良かった。これも竈門神社のお陰と日頃の行いの成果であろう(^^)。開けた段々畑の中、車道をぽくぽくと下って、竈門神社の参道入口に着いた。


有智山城の石垣と二重空堀の跡


車道に出る


宝満山を振り返る


竈門神社の参道入口

ここには内山(竈門神社前)のバス停がある。時刻表を見ると、1時間に1本のバスがあと10分程で来る。しかも太宰府市営なので、料金は100円均一である。これは乗るしかないでしょう。待ち合い所もあり、風を避けて若い女性6人程がバス待ちをしている。結構、参拝客があるんだねえ。

定刻通りに来たバスに乗車し、太宰府駅で下車。西鉄で天神に戻り、デポした荷物を回収して福岡空港に向かう。空港内の中華料理店で生ビールと一口餃子、春巻きなどで一杯飲んだのち、21時発の羽田行きの飛行機に搭乗して、桐生への帰途についた。