明神山〜山伏峠〜石割山

天気:一時
メンバー:T
行程:パノラマ台 9:20 …明神山(1291m) 9:45 …切通峠 10:25 …高指山(1174m) 10:50 …大棚ノ頭(1268m) 11:45 …山伏峠 11:55〜12:05 …石割山分岐 12:30 …石割山(1413m) 13:30〜13:40 …石割神社 13:50 …富士見平 14:15 …参道入口 14:25 …石割山登山口 14:40 …パノラマ台 15:20
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

富士北麓での所用も終わり、この日は一日空き時間がある。山中湖の東に連なる山稜をぐるっと一周して歩いて来ました。

車で山中湖東岸の平野から三国峠へ通じる山梨県道山中湖小山線を走り、山間の瀟洒な別荘地帯を抜けて、明神山登山口のパノラマ台に向かう。パノラマ台の駐車場に着いてビックリ、平日に関わらず車が多い。マイクロバスでやって来て準備体操中のグループ登山の一行や、ドライブで立ち寄ってベンチで駄弁っているおじさん連など、大勢の人で賑わっている。パノラマ台の名の通り、富士山と山中湖の絶好の展望台なので、人気のスポットのようだ。ただし、今日は残念ながら曇りで、富士山は雲に隠れて見えない。

綺麗なWCで用を済ませたのち、明神山に向かってススキ原の中の登山道をゆるゆると登る。ススキは穂が出始めていて、秋の気配。道端にはアザミの仲間やホタルブクロ、オンタデなどが咲いている。

パノラマ台の駐車場
明神山へススキ原を登る

グループ登山一行の後について、大した登りもなく明神山(別名、鉄砲木ノ頭)頂上に着く。ここに登頂したのは、籠坂峠から三国山稜を縦走して以来、2回目だ。今日はその続きの縦走路を歩くという計画。平坦な頂上には諏訪神社奥社の石祠が建つ。周囲の火山砂礫の斜面には、近寄る者を威嚇するが如く、大きな刺で全身武装した白い花が咲いている。後日調べると、シロバナフジアザミのようだ。この頂上も富士山の好展望台だが、今回は山中湖が見えるだけ。一行より先に出発し、山梨・神奈川県境稜線の縦走路に入る。

諏訪神社奥宮
シロバナフジアザミ
明神山から山中湖の展望
明神山頂上の道標

県境稜線の縦走路はゆったりと幅があり、樹林の間には霧が流れてしっとりと湿っぽい。少し下って切通峠に着く。この峠は、山梨県側に下れば標高差わずか50m、40分で平野に出るが、神奈川県側に下ると西丹沢の最奥部を横断して、最寄りBS(浅瀬入口)まで4時間という、すごく片寄った地勢にある面白い峠だ。西丹沢側も一度歩いてみたいが、現在は通行止の看板がある。それによるとH22年9月の台風で登山道が崩落し、当分の間通行不能とのこと。

緩やかな尾根道
切通峠

ここから大棚ノ頭までは東海自然歩道とコースが重なる。緩やかな稜線を登るとアブラチャン純林の看板があり、緑の低木の林が続く。花の次期は見所かも。登りの途中にベンチと東海自然歩道の案内看板がある。看板は腐朽が進んで“倒壊”しそう。危険なので、近寄らないようにロープで囲いがされている。

樹林からススキ原に出て登ると、高指山(たかざすやま)の頂上に着く。ここも展望が良く、山中湖やこれから目指す石割山が眺められる。一時的に天気が良くなり、白い夏雲の間に青空が覗く。

高指山への尾根の途上
高指山頂上
高指山より山中湖を俯瞰
高指山より石割山を望む

高指山からさらに稜線を辿る。送電鉄塔を過ぎると「バラシマ峠」という道標があるが、峠道はなさそう。次のススキ原の小ピークが富士岬平で、すぐ下に別荘地が見える。「←大和ランド別荘地 道志みち最短距離」という道標もあるが、別荘地を目指してススキ原の中を下る道はかなり草深い。

高指山の先は植生が変わって、ブナも混じる雑木林とササの下生えの丹沢らしい雰囲気の稜線となる。二つ目の送電鉄塔を過ぎると小さなアップダウンのある痩せ尾根となり、ますます丹沢っぽい。

東海自然歩道を行く
丹沢らしい急な尾根道

やがて案内看板のある十字路に着く。右の道は菰釣山(こもつるしやま)、畦ヶ丸に至る県境縦走路で、東海自然歩道はこちらに続く。菰釣山もいつか登ってみたい山だ。今日行くのは左の山伏峠に至る道だ。稜線上を直進する道は、大棚ノ頭まで0.1kmと道標にある。せっかくなので立ち寄ってみますか。短い坂を登ると大棚ノ頭頂上に着くが、樹林に囲まれて展望は全くなく、二つの山名標があるだけだ。

山伏峠分岐
大棚ノ頭頂上

分岐に戻って、山伏峠に向かう。稜線を緩く下り、「ブナの散歩道」という看板を過ぎると、送電鉄塔に出る。北に丸く大きな頂きを擡げる御正体山を望む。

樹林に覆われた平坦な稜線を歩くと、山伏峠の道標を見る。直下を山中湖と道志村を結ぶR413が山伏トンネルで抜けており、峠から東側に下ってトンネル入口に降りることができる。少し進んだところに小広い平地とベンチ代わりの丸太があり、ここでパンを食べて昼食とする。峠の西側直下には名称不明の小さな社がある。

山伏峠からは御正体山〜石割山を結ぶ主稜線に向かって、少し急な登りとなる。湿度が増したようで、汗が吹き出る。登り着いた主稜線(石割山分岐)にはベンチと道標がある。

山伏峠
石割山の稜線への急登

御正体山から石割山へは、1977年3月に歩いている。そのときの登山日誌を読み返したら、この分岐点には当時「寺ノ沢ノ頭」という山名があったようだ。出典は不明。現在の山と高原地図にはこの山名は記載されていない。

ここから石割山へは、あまり変化のない稜線上の山道を淡々と辿る。途中、開けた斜面の上に出て、歩いて来た三国山稜が眺められた。上空を灰色の重たい雲が覆い尽くして、かなり天気が怪しくなって来た。

石割山・御正体山分岐
石割山への稜線を進む
草深い縦走路
三国山稜を望む

やがて、鉄塔巡視路の道標を通過する。山と高原地図には、この前後に小天狗、大天狗という記載があり、天狗像でもあるのかと思ったのだが、現地には何もなし。単に小ピークの名前のようだ。上り下りの少ない稜線を進み、草原の中に立つ鉄塔を見ると、石割山の頂上はすぐそこだ。

鉄塔巡視路の道標
石割山の頂上は近い

頂上直下の草原は黄色いキオンの花に埋め尽くされている。これだけ群落になっていると、なかなか綺麗。その他、ツリフネソウやヤマホトトギスが咲いていて、地味な稜線歩きが続いた後で目を楽しませてくれる。

キオン
ヤマホトトギス

石割山の頂上には人っ子一人いない。雲が低く垂れ込めて、富士山の眺めはなし。二十曲峠の向こうに鹿留山らしい山影が見えるだけだ。しばらく休憩したのち、下山にかかる。

石割山頂上
石割山より鹿留山方面を望む

頂上から南面の急な山腹を下ると石割神社に着く。社殿の背後には、立派な注連縄が掛かる大岩があり、これが石割神社の御神体となっている。説明板によると、石割神社は天手力男命(あめのたぢからおのみこと)を祭神とし、天の岩戸伝説の地といわれているとのこと。大岩が「石」の字に似て割れていることから石割の名が付いたそうだ。

また、大岩には幅60cmの隙間があり、ここを通り抜けて岩を3周すると幸運が開けるとか。とうとう雨が降り出して来たので、隙間を通るのは1周だけにする。この隙間は押しつぶされそうな圧迫感があるので、閉所恐怖症でビッグサイズの人は怖くて通れないかも。

石割神社
御神体の大岩

雨はいよいよ本降りとなった。社殿の軒先を借りて雨具を着込み、幅広い参道を下る。雨の中、山道を歩くのは久し振りだなあ。しかし、あとは下山のみなので、気は楽だ。軽なら走れそうな道を下ると、東屋のある富士見平に着く。東屋で雨宿りして一服したのち、右に分岐する石段を下る。この石段は403段。ほぼ真っ直ぐだが、終点は遥か下で見えない。登りじゃなくて良かったー。

石段を下りきると鳥居があり、渓流を橋を渡って車道に出る。広い駐車場とWCがあり、ここまで車で来て登るのがメインのコースとなるようだ。雨は小降りになり、谷の奥を眺めると山腹を雲が渦巻きながら昇って行くのが見えた。

轟然と雨が降り出す
富士見平の東屋
403段の階段を下る
参道入口より稜線を振り返る

あとは車道を辿って、駐車地点のパノラマ台に戻る。雨水が溜まったテニスコートや、ひと気のない別荘の間をゆるゆると下り、R413に出る(石割山登山口)。近道に入ってペンションや民宿の間を通り、サークル合宿中の学生を眺めているうちに雨が上がり、雨具を脱ぐ。山中湖小山線に合流し、坂道をてくてく登って、パノラマ台に到着。駐車は相変わらず多い。雲の間から、富士山が稜線の一部を僅かに見せていた。

石割山登山口
平野より仰ぐ石割山

帰りは再び山中湖平野石割の湯に立ち寄って、汗を流す。その後、三国峠を越えて御殿場ICから東名道に乗り、横浜の実家に向かった。