唐沢山〜諏訪岳

天気:
メンバー:T
行程:佐野駅 11:35 …城山(56m) 11:40 …小梥神社 12:20 …浅間山(192m) 12:40〜13:10 …唐沢山(241m) 14:05 …高鳥屋(290m) 14:30 …京路戸峠 15:10 …諏訪岳(324m) 15:30 …京路戸公園 16:00 …多田駅 16:20
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

まだまだ寒い日が続くので、この週末も安蘇の低山歩き。行き帰りに鉄道を利用して、安蘇の山に出かけて来ました。

桐生駅から両毛線に乗車して、佐野駅で下車。当初の計画ではここで東武佐野線に乗り換えて、多田駅から歩き始める予定だったが、両毛線が原因不明で遅れたため、タッチの差で東武線の列車に間に合わず凸(-_-#)。次の列車は1時間後。ここでボケッと待っているのもなんなので、計画とは逆コースで、佐野駅から出発して多田駅に向かうことにする。

佐野駅を城山公園口から出て、駅の裏山にあたる城山公園(佐野城跡)に入る。今日は穏やかな天気で、明るい陽射しが降り注ぐ広場では家族連れが遊んでいる。説明板によると、佐野城は江戸時代初期の1602年、唐沢城主佐野信吉(のぶよし)が幕府の命により築城に着手。信吉は1607年に唐沢城を廃してここに移って来たが、1614年には改易されて領地没収となり、佐野城も築城後僅かで廃城になってしまったとのこと。外様はつらいね。

佐野駅城山公園口
城山公園(佐野城跡)

公園を通り抜けて城山の北端に着くと、市街地の向こうに唐沢山周辺の低い山々が眺められる。ちょっと遠くに見えるが、あそこまで歩かなければならない。階段を降り、住宅地の中で袋小路に入ったりして少々迷ったが、幹線道路に出て唐沢山に向かう。

市街地の車道を歩いて行くと、行く手の山並みの中に頂上付近がポツンと尖った山があるのが目を惹く。地形図を見ると、山名は記載されていないが、山麓と頂上のそれぞれに神社の記号があり、その間には破線路が通じている。これは面白そう。予定ルートからちょっと寄り道して、この山(後で浅間山という山名を知る)に登ってみることにする。

城山公園から唐沢山方面を望む
山麓の奈良渕町から見た浅間山

山麓の神社に向かうと、注連縄が張り渡された石鳥居があり、その奥の石段の上に社殿が建つ。社殿に掲げられた扁額には「小梥神社」と記されているが、「梥」は全く見たことがない漢字で読めない。後日調べたところ「松」の意味で、読みも「まつ」らしい。

社殿の向かって右から裏山に登る作業道に入る(これも後で知るが、正規の参道は左にある)。山腹をジグザグに登ると、明るく開けた尾根に出る。石鳥居が建ち、左から手摺のある参道が上がって来て合流する。ここには女浅間山という標識があった。

小梥神社
浅間山への参道

関東平野を背にして松の生えた尾根を登ると、拝殿再興之碑という石碑がある。碑文によると、この山は浅間(せんげん)山と称す山岳信仰の聖山で、数百年の伝統をもつ「お炊きあげ」という神事がある。お炊きあげとは、盛夏の夜に大勢の信者が松明を持って頂上から下る行事で、最近は奇祭として有名。頂上にはかつて浅間神社の本殿があったが、戦後荒廃したので復興したとのこと。興味深い。

石碑から一足で浅間山の頂上に着く。頂上には東屋風の拝殿が建ち、その向こうに石祠が祀られる。おじいさんとお孫さん?らしい小学生の男の子二人の一行と、カップル1組が先客として居て、挨拶を交す。カップルさんもドライブの途中でこの山を見かけ、気になったので登って来たそうだ。

拝殿再興之碑
浅間神社拝殿

頂上からの展望はまさに360度の方向に開けて、素晴らしい。佐野市街から関東平野にかけて広闊な眺めが開け、テーブル状の岩山の岩船山や、遠くには筑波山の双耳峰が水平線にふわりと浮かんでいるように見える。安蘇山塊もぐるりと見渡すことができ、日光と足尾の連山が白く輝いている。安蘇前衛の里山の中でも、ここはトップレベルの展望ではなかろうか。たまたま立ち寄った山で大展望が楽しめて、かなり得した気分だ。

浅間山から岩船山と筑波山(奥)
浅間山から日光連山を遠望

低山とはいえミニ独立峰なので、風当たりが強くて寒い。もう正午に近くて腹が減ったので、拝殿の中に入って風を避け、板の間に腰を下ろして昼食にする。カップスープを作るためにガソリンコンロでお湯を沸かしていると、好奇心旺盛な小学生の二人が見に来て、ついでにチョコを貰った(^^)。菓子パンを温かいスープで胃の腑に流し込む。

空腹を満たしたら、唐沢山に向かおう。短い急坂を下ると、山麓から上がって来た車道と合流する。合流地点には怪しいホテルの廃墟があり、ここだけは聖山の懐にそぐわない感じ。尾根を絡むように付けられた車道をしばらく歩くと、「ハイキングコース見晴小屋0.7km→」という道標があり、ここから左に分岐する山道に入る。車道の少し先には駐車場があり、車利用の場合はここをハイキングの起点にすることも可能だ。

車道からハイキングコースへの分岐
明るい尾根道を辿る

山道に入ると、雑木林に松を交えた明るい尾根道となる。里山の割には山らしくて、いい雰囲気だ。途中のピークには「初心者コース」と称して、親切にも巻き道がある。巻かずにピークを踏んで行くが、初心者でも全く問題ない。

221m標高点のピークに登り着くと、御料局三角点の立派な標石がある。さらに緩く尾根を辿ると「見晴小屋」のピークに着く。小屋といっても、ベンチがあるだけだ。昔は小屋があったのかな。南側が開けて、関東平野の展望が良い。先程登った浅間山も、ちょこんと尖った頂きが眺められる。

221m峰の御料局三角点
「見晴小屋」のピークより
浅間山と関東平野の展望

見晴小屋のピークから僅かな距離で、展望の良い露岩(鏡岩)に着く。岩の下は結構高い崖で、山麓の集落や唐沢山、唐沢山にジグザグに登る車道が眺められる。鏡岩からその車道に出て横断、短い坂を上がると唐沢レストハウスに着く。駐車場があり、観光客の車が10数台あった。冬はシーズンオフと思うが、そこそこ賑わっているようだ。

ここが唐沢山城跡の入口となる。説明板によると、唐沢山城は(百足退治伝説で知られる)藤原秀郷が延長年間(930年頃)に開城したと伝えられ、その後700年間、佐野家代々の居城として形が整えられた。江戸初期に廃城になったのは、前述の通り。関東七名城の一つ。明治になって唐沢山神社が建てられたとのこと。なかなか重要な史跡のようだ。

鏡岩より唐沢山を望む
唐沢山レストハウス

城内に入り、唐沢山神社への参道を歩く。すぐに大炊の井という大きな井戸の脇を通る。築城の際に掘られ、以来水が涸れたことがないそうな。空堀を何本か渡って石段を上がると、かつての唐沢山城の本丸で、現在は唐沢山神社本殿が建つ唐沢山頂上に着く。鬱蒼とした樹林に囲まれて眺めはないので、神社にお参りしたのち、頂上を辞す。

大炊の井
唐沢山神社・本丸

左手の石段を下って本丸の裏手に回り、「京路戸峠」の道標に従って、関東ふれあいの道に入る。幅広く、良く整備された作業道を進む。途中で尾根上の山道に入る。行く手には、290m三角点のピークがこんもりと盛り上がっている。

関東ふれあいの道を行く
290m三角点峰(高鳥屋)

再び、作業道に合流。ルートは作業道に沿って290m峰を巻いているが、頂上に向かうはっきりした踏み跡があるので、辿ってみる。踏み跡は急斜面を直登するが、誰かが個人的に整備しているのか、ステップが切られていて歩き易い。飛び出た頂上には三角点標石の他に、木の高い梢に「高鳥屋」の山名標があった。南西方面が開けて眺めが良い。ベンチ代わりの倒木に腰掛けて、展望を楽しみながら一休みする。

高鳥屋頂上
高鳥屋から山麓の展望

頂上からは右に折れ、急坂を下って作業道に合流する。すぐに「見晴休息所→」の道標に従って、尾根通しの山道に入る。尾根を緩く登って着いたピークにはベンチがある。ここが見晴休息所だが、周囲の樹林が育ってしまって展望は全くないので、休息せずに通過。緩く下ると作業道のY字路に出る。京路戸峠へは尾根通しの山道を直進する。以降は、山麓まで山道を歩く。

京路戸峠への道
緩い尾根道を辿る

292m標高点のピークは右から巻く。小さなピークを巻いたり越えたり、変化があって面白いが、歩いて来た距離もだいぶ長くなって、少々疲れて来た。行く手には雑木林を透かして、諏訪岳が漸く間近に見えて来る。240m圏のピークを右から巻くと、ベンチのある京路戸峠に着く。京路戸公園へ下る道を左に分け、尾根上の道を直進する。

木の間越しに諏訪岳を望む
京路戸峠

冬枯れの明るい雑木林の尾根を登り、右に村檜神社への道を分ける。尾根上の道はここから少し急坂となる。左側が開けて、展望が開ける。登りはあと僅かだ。

村檜神社分岐
諏訪岳への登り

登り着いた諏訪岳の頂上は小広く、西側の林が切れて、そちら方向の眺めが効く。山麓には田沼工業団地の大きな平屋根が並び、傾き始めた陽を浴びて光っている。諏訪岳は、東北道を通る度にこんもりと盛り上がった山容を眺めていて興味を持っていた山なので、ようやく登れてちょっと嬉しい。小さな里山だが、静かなところが良いな。

諏訪岳頂上
諏訪岳から山麓の展望

頂上からは北西の尾根を降りる。出だしは急降下だ。日光連山や葛生の石灰採石場が木の間越しに眺められる。右手の採石場は操業中のようで、黄土色の斜面からもうもうと土煙が上がっている。藤坂への道を右に分け、尾根をぐんぐん下る。最後は尾根から左に折れて(道標あり)、暗い杉林の中を下ると、京路戸公園に降り着いた。

京路戸公園は工業団地の造成に伴って整備されたもののようで、数面のテニスコートとWC、駐車場がある。平日の昼休みは工員さんで賑わいそうな立地だが、今日は誰もいなくて静まりかえっている。携帯で多田駅発の列車の時刻を確認すると、30分後。ちょうど間に合いそうだ。

諏訪岳から急坂を下る
京路戸公園に下り着く
背後に諏訪岳を仰ぐ

人気のない工業団地を通り抜け、多田駅に向かう。途中の要所には手書きの道標があり、多田駅への道を案内してくれる。水の涸れた秋山川を車一台が通る幅の京路戸橋で渡り、住宅地を通り抜けて、無人の多田駅に着いた。駅前の自動販売機でペットボトル飲料を買い、ホームで飲みながら電車を待つ。今日の山は低いが、歩く距離はなかなか長かったので充実したなー。ほどなく到着した列車に乗り込む。

多田駅
多田駅から諏訪岳(左端)を望む

佐野駅で下車。佐野ラーメンを食べて帰ろうと思ったが、目当ての店はまだ営業時間前だった orz。別の店に入り、ビールと餃子、炒飯で夕食にする。ほろ酔い気分で店を出るとすっかり日が暮れていて、佐野駅前ではカラフルなイルミネーションが瞬いていた。両毛線の列車に乗り込み、桐生に帰った。

P.S. 翌日は桐生市堀マラソンのハーフに出場。何とか完走しました。