白平山神社

天気:
行程:忍山林道終点 10:35 …紫雲の滝下 11:05 …白平山神 11:50 …石尊山神 12:25〜13:20 …紫雲の滝下 13:45 …忍山林道終点 14:30
ルート地図 GPSのログ(往路:赤、復路:緑)を地理院地図に重ねて表示します。

忍山川上流、残馬山の山懐に険阻な岩場があり、石祠や石像が祀られているという話は以前から聞いていて、大変興味を持っていました。今回、桐生みどりさんに案内頂いて、Kさんハイトスさんげきさかさんと共に探訪して来ました。

今日の行程は短いので、ゆっくり10時に桐生市街某所に集合。ハイトス号に5人がぎゅうぎゅう乗り込んで、忍山林道の奥に向かう。大茂(だいもん)の廃屋を過ぎた辺りからでこぼこの悪路となり、最低地上高が高い車でないと通行は難しい。しかし、ハイトスさんは快調に飛ばして、こういう道の運転が好きらしい(^^)。途中にゲートがあるが、幸いにも開いていて、林道終点まで入ることができた。


忍山林道終点


右岸の踏み跡を辿る

駐車場の奥から忍山川右岸の踏み跡を辿ると、すぐに朽ちた木橋で左岸に渡る。忍山川はこのすぐ先で残馬峡と呼ばれるゴルジュを成している。今日はそちらには行かず、左岸の割れ石が積み上がった斜面を登る。桐生みどりさんによると、昔は道があったそうだが、今は跡形もない。


残馬峡


割れ石の斜面を登る

暗い杉林を抜けると明るい雑木林となり、浅い窪を登って行く。途中に小平地があり、何か遺構がありそうな所だが何もない。左前方の尾根に白く高い岩壁が現れる。この辺りで左に折れて、岩場の基部を登る。積み重なった大岩を登ると、高い岩壁に掛かる涸れ滝が現れる。一説によると紫雲の滝と呼ぶらしい。左からつるつるの岩壁をトラバースして落ち口に登るルートがあり、2基の梯子が掛かっている。これはスリル満点だ。


岩場の基部を登る


紫雲の滝を見上げる

滝の右側の岩壁の途中の岩棚には不動様が祀られている。上から懸垂下降するにも、下から登るにも難しく、どうやって石像を運んだのやら。大変な労力だったと想像される。


岩壁の不動様


鎖に付けられた銘板

滝を登るルートには、錆びた太い鎖や古びたロープが張られ、その先に鉄梯子とアルミ梯子がある。鎖の銘板には「奉納大山祇?」、「願主下久方村領?」などの文字が刻まれている。いずれも老朽化しているので、念のためザイルを出して登ることになる。

まず、桐生みどりさんが途中の鎖にビレイを取りながら落ち口まで登る。最後の梯子を支えているロープの強度がやばいらしい。次にハイトスさんが登り、Kさんは念のために私が持って来たハーネスを着け、カラビナをザイルに掛けて登る。げきさかさんは身軽に登り、私がラスト。全員が無事に登り切った。


梯子を登るKさん


水のない不動沢を遡る

滝の上も岩場が続き、ちょっと沢登り気分。涸れ沢だが、白平不動沢という名があるそうな。すぐに左の窪に入り、急斜面を直登して小尾根の鞍部に出る。最初、左の小ピークに登るが、こちらには何もなし。右へ尾根を登ると、黒木に囲まれた岩頭の上に石祠があった。

石祠は3.11の震災のためだろう、屋根が転げ落ちていた。5人掛かりで屋根を持ち上げて、元に戻す。向拝柱(ごはいばしら)がないので、少し位置がずれているが、大地震が来ない限りは大丈夫だろう。石祠の破風には「白平山」、側面には「明治十六年三月」と刻まれている。この辺りを白幣(しろべえ)と呼ぶそうなので、白平山も「しろべえやま」と読むのかしらん。


急斜面を攀じ登る


白平山神

石祠の裏手には何かの台座が残っているが、上物は転げ落ちたのか、付近には見当たらない。その先は岩場になっていて、垂らしたザイルを摑んで下る。さらに尾根を登れば残馬山に至るが、かなり標高差があるので、今日はもう一つの石祠を訪ねてから下山することにする。


石祠の遺構?


岩場をロープの助けで下る
(撮影:ハイトスさん)

尾根から右の不動沢へ下る。落ち葉でふかふかの斜面を降り、左手の小さな尾根を登る。場所が判らなくてちょっとうろうろしたが、尾根の上に石祠を発見する。二本の檜の間に鎮座ましましていて、神さびた雰囲気のある場所だ。


不動沢を降りる


東隣りの支尾根に向かう

こちらの石祠は石尊宮と言い、丹沢大山の石尊大権現を勧請したものとのこと(げきさかさんの「数ある石尊山と石尊信仰の広まり」のページに詳しい)。そばに、ちょうど日溜まりになった小平地があるので、ここで昼食とする。Kさんの差し入れを肴にビールをちょっとだけ頂いて、私はしゃぶしゃぶ餅+ちょい食べカレーで昼食とする。これは嵩張らず美味いので、結構いいな。

1時間ほどのんびりしたのち、下山にかかる。石尊山を下ると、三段の涸れ滝の下に出る。その名も三階の滝というらしい。降雨の後には水が流れるそうで、確かに滝壺には水が溜まっていた。


石尊山神


三階の滝
(撮影:ハイトスさん)

紫雲の滝の上まで戻った。再びザイルを出して、慎重に下る。それにしても、こんな難所によくルートを作ったものだ。滝の向かって左には残馬山神社の跡がある。かつては小さな社殿があったそうだが、現在は礎石の上にトタン屋根の破片が散在しているだけだ。


紫雲の滝を慎重に下る


残馬山神社跡

これで、白平山の山岳信仰の遺構を一通り巡回し、往路を駐車地まで戻る。残馬峡入口付近の川岸には石垣が残っている。かつて不動堂があったそうだが、不動様は見当たらない。これは次回の課題ということになりそうだ。


忍山川に架かる木橋


駐車地に戻る

参考URL:桐生山野研究会「忍山上流残間峡“ガクラクボ”を行く」、同「桐生の滝 その7