秋葉山〜須花浅間山
地形図で足利市名草辺りを眺めていて、佐野市との市境稜線から南に張り出して標高431.6mの三角点(点名:秋葉山)の山があるのが、以前から気になっていた。地形図には南の山麓から頂上に至る破線路の記載があるが、ネットで検索しても山部さんの記事(2019-05-19追記:リンク切れ)があるくらいで、登ったという話はほとんどない。近場で未知の山、となるとさらに興味が増す。GWは続けて雪山を歩いたので、最後は趣向を変えて新緑の里山を歩くのも乙かも。市境稜線を須花浅間山まで縦走すれば、日帰りハイクとしても充実するだろう。
という訳で、やまの町桐生のKさん、激坂調査隊のGさんに同行頂いて登って来ました。
下山予定地の江保地橋下流河川自然公園でGさんと待ち合わせて、車一台を残し、もう一台で秋葉山の麓に向かう。行く手には新緑に覆われ、頂上だけ深緑の鳥打帽を被った様な秋葉山が望まれる。
名草上町自治会館(かつては小学校の分校だったそうだ)に駐車し、名草川に架かる足松橋を渡って、秋葉山への破線路の入口を探す。どうも民家の敷地を通ることになりそう。民家の方に秋葉山への道を尋ねたところ、わざわざ猪除けの柵を開けて通して頂いた。最近、熊が2頭獲れたから注意して、と言われて、一同ビビりつつ山に入る。
尾根の取り付きには2基の新しい石祠があり、踏み跡を辿って少し登った所にも、倒壊寸前の天満宮と瀬戸物の白狐が置かれた2基の石祠がある。道らしいものが通じるのはここまでで、あとは竹藪と杉林の道なき尾根を急登する。10分程登った所にも、敷石の上に置かれた石祠がある。
やがて杉林を抜けて新緑が綺麗な雑木林に入り、ようやく山らしい雰囲気となる。一旦、傾斜が緩んで露岩のある尾根となり、木の間から山麓の集落や深高山が眺められる。秋葉山頂上の鳥打帽はまだ先だ。小さな山だが標高差は約300m。それなりの登り応えがある。
新緑の尾根から再び杉林に入れば、頂上は近い。この杉林は、社寺林のようなそこはかとなく神さびた雰囲気がある。頂上は小さな円錐台状で、天辺に三角点の標石と2基の石祠がある。石祠の一方は、倒木の直撃を受けて倒壊していた。まずは目標の登頂を果たして、ゆっくり休憩する。
頂上からは北へ稜線を辿る。最初の下りは急だが、すぐに緩やかな尾根歩きとなる。クヌギやコナラの雑木林の下生えの緑には、チゴユリの小さな花がポツポツ咲いている。尾根上には踏み跡に沿って赤テープがあり、途中には「秋葉山・名草方面」と書かれた古い道標もあった。稀ながら歩く人がいるようだ。
市境稜線と合流して右に折れ、浅間山に向かう。秋葉山からぐるっと∩字状に稜線を辿るので、右方向に谷を隔てて、秋葉山頂上のグリーンベレーが木の間越しに見える。細い尾根を進むと岩場が現われ、449m標高点のピークに向かってミニ岩稜の登りとなる。頂上は樹林に覆われているが、露岩の上から秋葉山の展望が良い。
時刻も正午を回ったことだし、ここらで昼食にしよう。今日は暑いのでビールがうまそ〜、とザックから缶ビールを取り出したら、缶に釘を打ったような穴が開いていて、中味が1/7ほど流出していた(T_T)。ビニル袋に入れていたので、ザックの中がビールびたしになる事態は避けられたが、これは大ショック。何で穴が開いたんだろ?
気を取り直して、残ったビールで乾杯。お昼を食べて腹がくちたところで、縦走を再開。春満開の稜線を辿ると、ニョロさんが二匹寝そべっていて、Kさんを怖がらせる。樹林の中にヤマツツジの群落があった。新緑と赤い花のコントラストが鮮やかだ。419m標高点の少し先には、享和四(1804)年の石祠がある。
石祠から下った鞍部には峠道の痕跡がある。標高が400mを切ると、さすがに笹藪がのさばってきた。今回のコースが歩けるのも、この時期までだろう。369m標高点のピークを越えたところの鞍部にも、はっきりとしないが峠道がある。
杉林の中の踏み跡を辿ると、須花浅間山のハイキングコースに出た。浅間山の頂上は、稜線を少し左に進んだ所にある。露岩の上に石祠が祀られ、足利市街方面の眺めが良い。
浅間山からさらに市境稜線上のハイキングコースを辿って、江保地坂の道標のある鞍部に着く。かつては彦間川と名草川を結ぶ峠道があったそうだが、現在は藪に覆われて、どちら側にも道型は全くない。
ここは名草川側に向かって、ファイト一発、杉林の急斜面をガガガと下る。小さな沢に降り着いてしばらく下ると、古い作業道が現われた。
あとは道を辿るだけである。やがて舗装道となり、開けた谷に出て、緑豊かな田園風景を眺めながら、のんびりと江保地に下る。車を置いた河川自然公園の駐車場は満杯になっていて、大人に引率された少年野球チームの子供達(女の子もいる)が、名草川で水遊びに興じていた。初夏の様な陽気のもと、見るからに楽しそう。ここでGさんと別れ、青面金剛を探索して道草したのち、桐生に帰った。