花台沢の頭〜鳴神山
この週末は、強い冬型の気圧配置で寒気の厳しい天気となったので、遠出は止めて、桐生の低山に出かけることにする。地形図を見ていて以前から気になっていた、川内町堂場から花台沢の頭(811.5m)に登る破線路をトレースして来ました。
ちょっと寝坊して自宅をゆっくり車で発ち、県道駒形大間々線を駒形方面に向かう。駐車スペースを探しながら走って、堂場の鴨押橋の袂の少し広くなった路側に車を置く。今朝は平野部でも雪が積もるという予報だったが、ここまでほとんど雪はなく、日陰にうっすら積もっている程度だ。
歩き始めはもう10時半を回っていた。良く晴れて風もないが、冷え込んでいるので、フリースを着込んで歩いてちょうど良い。県道を少し戻り、おりひめバスの堂場前バス停を過ぎて、墓地のある分岐を東に入る。墓地の隣りには浅間神社という額束が架かった石鳥居と石祠があり、馬頭観音等の石碑群(おそらく、近辺から集められたもの)がある。
分岐から少し入った所に数台分の空き地があるので、こちらに駐車しても良い。すぐ先の民家の前を通ると、未舗装の林道となる。路面には新雪が積もっているが、うっすらと白い程度なので、スパッツは必要なさそうだ。
この林道は砂防工事用に拓かれたものらしく、奥に進むと新しくて大きな砂防堰堤がある。堰堤の銘文を読むと「堂場沢砂防堰堤・竣工平成21年」とあった。
しばらく進むと新しい林道は終点となり、その先は古い林道が続く。ところどころに架かる木橋はすっかり朽ちていて、渡る時は踏み抜かないように注意を要する。
林道は荒れつつも、堂場沢に沿って杉林の中をかなり奥まで続いている。どんどん進んで、ふとGPSで現在位置を確認すると、破線路から大きく外れていた。分岐点を過ぎてしまったらしい。引き返すと、対岸(左岸)に落差1mのミニ滝を掛けた枝沢がある。滝の前には、保安林の黄色い看板が立っている。ここが破線路の山道分岐で、よく見ると誰が付けたのか、赤テープの目印もある。
本流(といってもちょろちょろ)を渡って山道に入り、杉林の中の浅い窪を登る。ぽつりぽつりと赤テープがあるが、道型はすぐに不明瞭になるので、枝打ちされた枝葉をばきばき踏みながら窪を直登する。この登りはかなり急で長く、標高差約250mを一気に上がる。足場は悪くないが、悪ければちょっと緊張しそうな傾斜と高度がある。
ようやく傾斜が緩むと、雑木林の尾根の上に出る。疎らな木立を透かして、鳴神山脈の主稜線が近い。うっすらと雪が積もる尾根上は風当たりが強く、毛糸の手袋だけでは手が冷たい。オーバー手袋がないとダメだな。
尾根を辿ると、最後は急な登りとなる。立ち木を頼りに登り切ると主稜線に出て、右に僅かに登った所が花台沢の頭だ。三角点の標石、道標とR.K氏の標高プレートがある。木立が一部切れて、真っ白な雪雲を背景にした赤城山が良く眺められる。
稜線は風が吹き抜けて、かなり寒い。風下の稜線下で風を避けて昼食とし、鍋焼きうどんを作る。習慣で缶ビールも持って来たが、この寒さではさすがに飲む気にならない。温かい食べ物が一番だ。
食事を終え、さて帰りはどうしようか。大崩への破線路を下る計画を立てていたが、折角なので鳴神山まで縦走することにする。寒風吹きすさぶ稜線を、少しピッチを上げて身体の中から温めながら歩く。縦走路の雪の上にはたくさんの新しい足跡がついていて、こんな天候下でも鳴神山に登る人がいるらしい。ただし、午後も遅い時間帯なので、もう誰にも行き会わない。
寒々とした肩の広場を過ぎて、鳴神山の桐生岳頂上に立つ。冬の鳴神山に登ったのは初めてかも。北西から雪雲が次々に流れて来て、赤城山はその中に隠されたが、袈裟丸山は白まだらのスカイラインを微かに見せている。桐生川上流域の山々もモノトーンの厳冬の装いだ。南には関東平野が一望できる。他に誰も居ない頂上で、しばし展望を楽しむ。
鳴神山からは駒形登山道を下る。稜線から下れば、風は遮られて穏やかだ。薄く雪の積もった斜面を下ると、再び青空が広がり始めた。穏やかに西日が差し込む谷間の道をゆっくり下る。
廣土橋に着く手前で、砂防堰堤を建設するための林道整備工事(3月25日まで)がされており、登山者のための迂回路がある。廣土橋周辺の駐車スペースも狭くなっている。車道を歩いて、駐車地の鴨押橋まで戻った。