黒斑山
この週末は予報によると天気が良さそう。残暑を避け、近場で標高が高い黒斑山へ、Mさん、Kさんと出かけることになった。黒斑山は私は一度、ベテランのMさんは何度も登っているが、Kさんは初めてで、近年登った山の中では最高峰になるらしい。Kさんによる黒斑山の記事はこちら。
桐生を朝6時に車で出発し、太田藪塚IC〜小諸IC間は高速を走る。長野県に入ると低い雲がどんよりと垂れ込めていたが、高速を降りてチェリーパークラインを登ると、雲海の上に出て晴天となり、車窓から八ヶ岳連峰が眺められる。今日は絶好の山歩き日和だ。車坂峠の駐車場はハイカーさんの車で満杯。かろうじて空いていた1台分の余地に車を置く。
準備を整えて出発する際、Kさんがデジカメにメモリを入れ忘れていたことが発覚。峠にあるホテルの売店で「写ルンです」を購入して、忘れ物をフォローすることができた。
気を取り直して、車坂峠からの展望をじっくり楽しむ。雲海の彼方に奥秩父、富士山、八ヶ岳、中央アルプスがぐるりと浮かぶ。八ヶ岳の真ん中にちょっと頭が覗いているのは、展望説明盤によると南アルプスの甲斐駒ヶ岳らしい。
山岳展望をカメラに収めたのち、黒斑山の表コースの登山道に入る。登山道は、針葉樹林のの尾根を緩く登る。道端にはシラタマノキの丸くて白い花が群れて咲き、ハナイカリやマツムシソウもちらほら咲いている。
一旦、小さく下り、草紅葉が始まりかけた草原の中を行く。正面に黒斑山のゆったりとした山容を眺めたのち、再び樹林の中に入る。
次に樹林帯を抜けた所は広いガレ場になっていて、展望が開ける。手前には高峰山から篭ノ登山、水ノ登山にかけて、少し奥には四阿山が見える。遠方には、八ヶ岳中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、北アルプスがずらずらーっと並ぶ。北アを双眼鏡で眺めると、さらに穂高岳、槍ヶ岳、鹿島槍、五竜岳、剱岳などのピークを認めることができる。
展望を楽しみながら一休みしていたら、風が意外と冷たい。長袖シャツを着て、再び登り始める。背が低くなった針葉樹林の中を緩く登る。ゴゼンタチバナも赤い実をつけて、すっかり秋の装いだ。
鋼鉄製の避難シェルターを過ぎると、槍ヶ鞘の頂上に到着する。トーミの頭との鞍部の上に、大きな浅間山が姿を現す。槍ヶ鞘からトーミの頭にかけての稜線は、浅間山の側が崩壊斜面となり、見おろすと谷が深い。槍ヶ鞘の頂上では、大勢のハイカーさんが休憩している。我々もここで日陰に腰を下ろして、早速、缶ビールを開ける(^^;)
トーミの頭へは、ハイカーさんの列に続いてザレた稜線を登る。雑誌で見た様な山ガールさんもいて、全体的におしゃれな層のハイカーさんが多い感じ。それだけ、黒斑山の人気が高いと言える。そんな中、お酒にあまり強くないMさんは、ビールが回ったと騒ぎながら登っている。
登り着いたトーミの頭は、浅間山側が断崖絶壁になっていて、増々展望抜群。眼下には湯の平の高原が広がり、それを取り囲む外輪山の山腹には、草地の鮮やかな緑と針葉樹林の濃い緑が斑模様を描いている。浅間山は遮るものなく聳え、ちょっと日本離れした風景が展開している。
樹林に覆われた稜線を緩く登り、浅間山の監視カメラを過ぎると、黒斑山の頂上に着く。頂上からの展望は、湯の平を隔てて浅間山が真っ正面に聳えるが、その他の方向は樹林に遮られる。頂上も休憩するハイカーさんで大賑わい。陽射しが強いので、木陰に入って昼食にする。
黒斑山からさらに外輪山を縦走するのも面白いが、今日は夕方からこのメンバーで宴会の予定なので、早めに車坂峠に引き返す。トーミの頭でもう一度展望を楽しんだのち、槍ヶ鞘との鞍部から往路と分かれて中コースに入る。中コースは樹林に覆われた静かな道だ。林床には苔や実を付けたマイヅルソウが広がり、あちこちにキノコが出ている。
コースの中程まで下るとザレ場に出て、行く手に高峰山から水ノ登山あたりの眺めが開ける。陽当たりの良い斜面に天然カラマツ林が広がり、イワインチンやエゾリンドウ、ミヤマコゴメグサなどの花が咲いている。カラマツ林と笹原を横切って、車坂峠に戻った。
帰りは、菱野♨の薬師館に立ち寄って汗を流す(500円)。地下道のような廊下を通って浴室に入ると、加熱した湯船と冷たい源泉の湯船がある。石尊山の濁川と同様の鉄錆系のお湯のようだ。浴室は池に面していて、水槽の窓から池の中が見える。風呂を上がって玄関表に出ると、池の畔に飲用の泉がある。コップまで置いてあるので、懲りずに味見したらやっぱり鉄錆の味だった。