笠科川井戸沢〜本流下降

天気:
メンバー:M夫妻, H, T
行程:井戸沢橋 7:30 …二股 8:35 …登山道 9:45 …オヤマ沢田代 10:35 …悪沢岳(2043m) 10:45 …笠ヶ岳(2057m) 12:00〜12:15 …片藤沼 12:40 …スリバナ沢出合 14:15 …林道 15:15 …井戸沢橋 15:25
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

桐生山野研究会のMさんの計画に参加して、沢登り第3弾。最初は上越方面の沢に出かける予定でしたが、そちらは天気が悪そうなので尾瀬周辺に変更になり、ナメが続くと言われる笠科川井戸沢を遡行して来ました。詰めは鳩待峠〜オヤマ沢田代間の登山道に出て笠ヶ岳に登り、帰りは笠科川本流を下降しました。

Mさん夫妻を車に乗せて、桐生を4時に出発。追貝でHさんと合流し、私の車に乗り換えて笠科川上流に向かう。戸倉の駐車場は、シーズン中ならば鳩待峠へのバスに乗り換える車でいっぱいになるが、夏山と紅葉の端境期の今日は空いているようだ。

津奈木橋で鳩待峠への道(マイカー通行規制中)を分け、左の坤六峠への道を走る。2つ目の枝沢が井戸沢だ。沢を跨ぐ橋の銘板には「いとさわばし」と表記されている。橋の前後の路側に数台分の駐車スペースがある。橋から覗く井戸沢はすぐ上流に砂防堰堤があり、藪っぽくちょっと冴えない小沢だ。

車の中で、Mさんの奥さんから朝食にと頂いたおにぎりとネクタリンを食べる。尾瀬は晴れると期待して来たのだが、上空は灰色の雲に覆われ、フロントガラスにはポツポツと雨粒が落ちて来る。雨の中の沢登りは辛いので、天気の好転を待って暫く車内で待機する。

小一時間待つと雨が止み、晴れ間も見えて来たので、上ゴア(雨具の上着)を着て出発する。砂防堰堤を右から越え、両側から木の枝や笹が被さる沢を緩く登る。平凡な流れだが、少し進むと細いナメ床になり、いい感じの沢になる。

堰堤を越えて井戸沢に入る
最初は藪っぽい小さな沢

沢に入ってから半時間程で、最初のナメ滝が現れる。これをペタペタと越えると、いよいよナメとナメ滝が連続する。滝はいずれも簡単に登れる。この辺りが核心部かな。時々、陽も射して来て、雨具を脱ぐ。

ナメ滝が現れる
ナメ滝を登る
沢筋に咲くシシウドの仲間
ナメ床が続く

しかし、気持ち良いナメが続く核心部は、半時間程で終了。二股から右の沢に入ると、水流は細って傾斜が増す。最後は沢登りのいつものパターンで、灌木と笹が被さる窪を登って笹藪に突入。これを強引に突破し、登山道の木道に突然飛び出た。

ここまでの遡行にかかった時間は、わずか2時間15分。うーむ、おやつのような沢でした(^^;)。天気は相変わらずの曇りで、あまり良くない。もう晩秋のような気候で、涼しいを通り越して寒い。鳩待峠へ下るか、予定通り笠ヶ岳から笠科川本流を下るか迷うが、笠ヶ岳が未踏のメンバーがいるので、じゃ、笠ヶ岳に登って、帰りは近道なので本流下降、と全員の意向が一致する。

最後は笹藪に突入
鳩待峠からの登山道に出る

渓流タビをトレラン用シューズに履き替えて、登山道を歩く。こんな天気でも行き合うハイカーさんは多い。尾瀬ヶ原を見おろすと、既に草紅葉が始まっている。燧ヶ岳の頂上は残念ながら雲の中だ。オヤマ沢田代〜笠ヶ岳間の道を歩くのは、私は初めて。途中の悪沢岳は道の途中のピークらしくない場所なので通過する。背の低いオオシラビソや笹原の中を緩く登降する道が続く。数は少なくなるが、笠ヶ岳を往復して来たハイカーさんとしばしば行き合う。

色づき始めた尾瀬ヶ原を見おろす
燧ヶ岳頂上は雲の中
悪沢岳頂上を通過

やがて開けた草原に出ると、目の前に笠ヶ岳の三角形のピークが颯爽と現れる。時折、頂上を雲の底が擦って行くが、頂上からの展望は期待できそうだ。

笠ヶ岳の三角ピークを目指す
エゾリンドウ

笠ヶ岳のピークを巻いて湯ノ小屋と頂上の分岐に着くと、西からの風が物凄い。強風に煽られてよろよろと急坂を登り、先週に続いての笠ヶ岳の頂上に到着した。頂上からは相変わらず360度の展望が得られるが、Tシャツで過ごした前回から一週間しか経っていないのに気候は様変わり。長袖シャツにフリース、上ゴアを着込んで丁度良い。岩陰で風を避けて、昼食にパンを齧る。

強風を突いて笠ヶ岳山頂へ
笠ヶ岳頂上
三角点とならまた湖

休憩もそこそこに頂上から下る。樹林帯に入れば風は弱い。片藤沼で再び渓流タビに履き替え、沼を半周して草原を下る。すっかり狐色になった草原に囲まれた池塘を覗き込むと、クリオネのような虫(フウセンムシ?)が水面近くを泳いでいた。草原の下端から笹藪に入る。しばらく下ると水が流れる溝が現われる。下るに連れて水量が増え、沢幅も広くなって笹藪から開放される。

片藤沼下段の池塘
ミズギク
草原から笠科川源頭に下る
笠科川本流を下降する

ところどころ小滝があるが、容易に下れる。ナメやナメ滝が続き、深い森林を流れ落ちる美しい渓谷だ。楽しい下りだが、水の中の石は滑り易いので気を使う。

階段状の小滝を下る
階段状の小滝
深い釜をもつ小滝
小滝を下る

左岸からスリバナ沢、次にタル沢を合わせる。途中でHさんが寄り道をしているので、何をしているのかなと思ったら、ブナの枯れ木に生えたムキタケを発見。なんと素晴らしい嗅覚(^^)。林道に出れば、駐車地点までは僅かの距離だ。車に着くと、再び小雨が降って来た。行動中、雨に遭わなかったのはラッキーだった。

ムキタケだそうな
吹割温泉センター龍宮の湯

帰りは、帰宅を急ぐHさんと別れた後、残りのメンバーでMさん推奨の吹割温泉センター龍宮の湯に立ち寄る。穴場ので場所が分かりにくいが、今回は発見できた。ぬるめの露天風呂にゆったりと浸かって温まったのち、桐生に帰った。