庚申山
桐生山野研究会のMさんの企画に参加し、Mさんご夫妻、「やまの町桐生」代表幹事代行のKさんと一緒に庚申山のお山巡りに行って来ました。
桐生を昼過ぎに車で出発し、市内でMさんご夫婦を乗せて銀山平へ。前夜、かじか荘に宿泊していたKさんと合流して、車道の終点まで車で入る。とはいっても、100m程でゲートがあって通行止になっている。その手前に広い駐車場があるので、ここに車を置く。
今日は庚申七滝の近くでテントを張って、焚き火を囲んで宴会をしようという予定なので、テント泊の準備と食料、酒やつまみでみんなのザックは大きい。他のハイカーさんが見たら、庚申山に何しに来たんだと怪しむこと必至(^^;)。しかし、コウシンソウの時期は過ぎ、時間も遅いので他のハイカーさんは見かけない。
濃い緑に覆われた庚申川の渓谷を見ながら林道を歩き、1時間ちょっとで一の鳥居に着く。ここに以前建っていた東屋は倒壊していた。いつ倒れたのかな。
一の鳥居を潜らず、庚申七滝の方へ行く。七滝遊歩道の入口は広場となっていて、テントを張るのにぴったし。すぐ近くを七滝の沢が流れているので、水も便利。ベンチもある。早速、沢でビールを冷やして、テントを設営し、枯れ木を拾い集めて焚き火を熾す。枯れ木は細いのも太いのもパリパリに乾いていて、あっという間に盛大に燃え上がった。
そして宴会がスタート。まずはよく冷えたビールで乾杯。次々と出て来るつまみとお酒を頂いて懇談しているうちに、あたりはとっぷりと闇に包まれて、焚き火は相変わらず燃えている。何時に宴会が終わったのか、よく判らないが、シュラフに潜り込んだら速攻で眠りに落ちた。
外にふと何かの気配を感じて目が覚め、テントから顔を出すと、焚き火の傍らでシュラフに包まって寝ていたKさんが近づいたシカとにらめっこしていた。慌てて逃げ出すシカ。写真を撮る間がなくて残念。
みんなも起き出して、朝食にマルちゃん赤いきつねを食べて、庚申山に向けて出発する。夕べはやはり飲み過ぎた。どうも調子悪いが、水を飲んで汗をかき、徐々に体調を回復させる。かつての信仰登山の跡の丁目石(足尾の磐裂神社が一丁目とのこと)を辿りながら、沢に沿って緩く登って行く。百丁目を過ぎると鏡岩、夫婦蛙岩、仁王門などの名前のついた岩がある。
チシマザサの下生えのある広葉樹林を登ると、猿田彦神社跡に着いて、ベンチで一休み。近くにはクリンソウが咲き残っていた。神社関係にも造詣の深いMさんとKさんは、猿田彦神社の説明板の記述が間違っていると騒いでいる。すごい人達だ(^^;)
ここから庚申山お山巡りを左回りで回ることにする。宇大WV嶺峯山荘の前の沢で冷たい水を補給したお蔭で、体調も完全復活。サルの騒ぐ声を聞いて急坂をジグザグに登りきると、眺めも開けて来て気分が良い。
岩場に突き当たって左にトラバースすると、いよいよお山巡りの核心部が始まる。登ったと思ったら、ツル岩・カメ岩の基部から草の生えた急な斜面を下り、桟道を渡る。見上げると覆い被さるように岩壁が峙つ。岩壁には黄色い花が点々と咲いているが、何の花だろう(後日、Mさんにイワキンバイと教わる)。
岩壁の下をトラバースする道は、ところどころの桟道が傾いていたりするので通行注意。鎖場や梯子も現れる。やがて、赤茶けた痩せ尾根となった「馬の背」に出て眺めが開ける。振り返ると、庚申山の岩壁と樹木の組み合わせが南画山水のようだ。ここは紅葉の時期もいいだろうなあ。
馬の背から「鬼のひげすり」と呼ばれる岩の裂け目を梯子で下る。
岩壁の基部をトラバースして行くと、お山巡りのシンボル、めがね岩に着く。板状の大岩に半円形の大穴が綺麗にあいている奇観だ。このあとも岩場の険しい道が続く。
ようやく庚申山への分岐に到着。このすぐ上に「大胎内」という屈んで通り抜けられる岩穴があり、入ってみた。Mさんの話によると、以前は「大胎内」を通って1周できたとのこと。今は鉄梯子の上が岩で塞がっていて、周回はできないので引き返す。
ここから庚申山の山頂を目指す。山頂への道も岩場が多くてなかなか急だ。途中で腹が減ってシャリばてしかかったので、大休止して昼食にする。ポツポツと雨粒が落ちて来たが、本降りにはならない。ここで若者グループに追い付かれて、頂上まで相前後する。
急な登りが一段落した辺りで、頂上付近で唯一コウシンソウが咲くという岩場をMさんに教わる。運が良いことに数個の花が咲き残っていた。若者グループにも咲いているよと教えてあげたが、小さい花だからどんな感想をもったかな。
樹林に覆われた頂上は台地状で、どこが最高点だか判然としない。「庚申山 1901m」という山名標のある高みは、全く展望がない。庚申山の標高は、地形図では1982m標高点が記載されている。しかし、GPSで計測すると1900mあったので、1982mよりは高いらしい。
展望はもう一つ先の高み(展望台)から得られ、鋸山から皇海山にかけての眺めが良い。松木沢の底からすっくと立ち上がる皇海山の山容は立派だ。皇海山はやっぱりこの姿を見なきゃねー、とメンバーの意見は一致。日光白根山は残念ながらガスに隠れて見えない。展望を楽しんだのち、下山にかかる。
お山巡り分岐を過ぎても、一ノ門、梵天岩、女体岩戸、裏見の滝などの岩場の見所が続く。一部、道が崩れている所もあって、意外と気が抜けない。クリンソウの咲く平地に出れば難所は終わりで、ホッと一安心。
庚申山荘にちょっと寄ってみる。1992年に初めて皇海山に登ったときは、ここに一泊したので(六林班峠経由で皇海山へ往復した)、とても懐かしい。山荘の管理人さん(週末だけ駐在)の話によると、コウシンソウの時期には定員を越える宿泊者が押し寄せたそうだが、昨夜はゼロだったそうだ。餅ヶ瀬在住の方で、この山域の本を執筆する際に餅ヶ瀬を綿密に取材しているMさんと共通の知人が多いらしく、話が弾んで端で聞いていても興味深かった。なお、山荘のバイオトイレは、利用者が流した異物が原因で故障中とのこと(修理には相当費用がかかるらしい)。
一の鳥居までの下りは楽だ。テントを撤収し、林道を歩いて銀山平の駐車場に戻った。
帰りは、サンレイク草木のお風呂に立ち寄って、汗を流す。ここは桐生市民もみどり市民と同じ割引料金で入れる(免許証等の提示が必要)。クマ笹エキスを使ったクマ笹の湯は、色も香りもササそのもので、薬効ありそう。露天風呂もあって、なかなか良い。
メンバーをそれぞれ送り届けて解散。焚き火、宴会、お山巡りと、とても充実した2日間でした。
P.S. Kさんも「庚申山」の記事を「やまの町桐生」にアップしています。