諏訪山(神流町)
今月は何やかやと忙しく、月の最後の週末になってようやく山に行く余裕ができた。紅葉も高い山では見頃を過ぎて、低い所に降りて来ているようだし、ほぼ一か月振りの山歩きになるので、低山でのハイキングを計画。西上州・神流町の諏訪山に出かけて来ました。紅葉は錦秋とまでは行かないまでも、緑の中にところどころハッとするような鮮やかな赤や黄色があり、十分楽しめました。
桐生を車で発ち、伊勢崎、新町を経由して神流川沿いのR462を走る。途中、神流湖畔の国道沿いにある長井屋製菓に立ち寄って、いろんなブログで評判になっている名物のまんじゅうを買う。12個入り(600円)をお土産用と今日のおやつ用に計2箱をゲット。早速、食べてみた。薄皮に包まれた餡がさっぱりした甘さで、とても美味しい。
古鉄橋を渡ってR462から分岐し、R299を志賀坂峠に向かう。今日は周回コースを歩く予定で、下山口の志賀坂トンネル入口駐車場にトランクに積んで来た折り畳み自転車をデポし、チェーン錠を掛ける。駐車場には車が1台あり、誰か諏訪山に登っているようだ。
間物まで戻って登山口の猪平第2ダム駐車場に向かう。こちらには車がない。諏訪山は群馬100名山のひとつでもあり、ハイキングコースも整備されているので、ハイカーさんで賑わいそうだなと思っていたので意外だ。今日は天気がいまいちだからかな。すぐ上流に砂防堰堤と吊り橋があり、その奥には九十の滝が細く水を落としているのが見える。周囲の樹々はいい塩梅に色付いている。堰堤を落ちる水音だけが聞こえる、静かな秋らしい雰囲気だ。
駐車場から階段を上がり、堰堤を越えて渡登(わたど)橋という鉄製の吊り橋を渡る。橋の上から九十の滝(別名:九十郎の滝、ワタドの滝)がよく見える。因みにこの滝の名は、発見時の村長さんの名前に由来するそうだ。
橋を渡った先には志賀坂森林公園案内図の看板がある。設置後ずいぶん年月が経っているらしく、かすれて読めない個所もあるが、よく見ると、このすぐ先で分岐する沢コースの途中からさらに分岐して、蓬萊山(1377m)に至る登山道が記載されていて、興味を引かれる。しかし、予定線と書かれているので、未完のまま終わったらしい。沢コースの入口には「歩道崩壊で危険のため九十の滝経由のコースを使うように」という立て札があった。
九十の滝へは、紅葉を愛でながら小尾根をジグザグに登る。ところで、最前からなーんか心にかかることがあるのだが…。アイヤー、自転車の鍵を持って来るのを忘れたアルヨ!振り返ればまだ駐車場が見える地点だ。取りに引き返す。
ちょっと時間をロスしたが、無問題。再び登って、ベンチのある平地に着く。左下には九十の滝があり、下る踏み跡があるので行ってみることにする。
ワタド沢に降り、沢の中を滑りやすい岩に注意して少し遡ると、滝の下に立つことが出来た。落差40mというが、そんなにあるかなぁ。でも、飛沫をあげながら優美に滑り落ちる水を眺めていると和む。奇麗な滝だ。
登山道に戻って先に進むと九十の滝の上に出て、ワタド沢の小さな水流に沿って登る。東屋があり、一息入れる。道はこのすぐ上で沢コースと合流し、水のなくなった谷を登って行く。
山腹を斜めに登って尾根に出た山道は、諏訪山頂上の北側直下を巻いて行く。雲がかかって遠くの眺めはないが、眼下には結構急な山肌の下に間物の集落が見える。ということは、山麓の間物からも諏訪山が聳えているのがよく見えるだろう。
巻き道から分かれて短い急坂を登ると、古い木造の祠と三角点、山名柱のある諏訪山頂上に着いた。樹林とガスに囲まれて展望はない。この季節になると、かいた汗が冷えるのも早い。長袖シャツを着込んで寒さを防ぎ、木の根に腰を下ろし、缶ビールを開け、煮卵入りラーメンを作って昼食にする。頂上で飲むビールも一か月振りだよ、美味いなあ。
昼食を終えて山頂を辞す。巻き道に戻り、尾根に沿って志賀坂峠に向かう。周囲にはところどころ鮮やかな紅葉があって、きれいだ。途中で正面に二子山が見えたが、今日の展望はこれが最後。沢コースを左に分け、尾根コースを辿る。手摺にロープが張られた狭くて急な尾根の下りが続く。
途中、送電鉄塔に突き当たる個所は、すぐ手前を左に下ると再び尾根上に山道が続く。カラマツやヒノキ林の尾根を離れて、左にひと下りすると沢コースと合流した。志賀坂トンネル入口の駐車場はこのすぐ先だ。車はもういなくなっていた。デポしていた自転車に跨がって峠道をダウンヒルする。これは快適、間物の集落までアッという間だ。諏訪山を見上げたが、頂上には雲がかかっていた。間物から駐車場までは自転車を押して登るが、それでも志賀坂トンネルから計15分で車まで戻った。
まだ日も高く時間があるので、帰りがけに神流川流域の気になるスポットを見学に立ち寄る。
まず、神流川の河原に鎮座する巨大な丸岩。ビル3階分くらいありそう。頭上には石灰岩の採掘が進む叶山が、ぎざぎざの稜線を連ねて聳えている。この岩はかつてあそこから落ちて来たのかな?この辺りの紅葉の見頃はあと少し先のようだ。
次に、神流川の支流にかかる白水の滝を見に行く。宮地でR462と分かれて、叶山鉱山に向かう車道を走って行くと、目の前にパックリと裂け目の入った岩峰が立ち並ぶ。これはすごい景観だ。車を降りて写真を撮る。このキレットは叶後の牢口と呼ばれているそうだ。神流川流域には何回も来ているのに、迂闊にも今までここを見ようと思ったことがなかった。一見の価値ありで、お勧め。
車道を進むと叶山鉱山入口の白水隧道に突き当たる。トンネル入口にはゲートがあり、一般車は通行止めとなる。右手の駐車スペースに車を置き、すぐ左手の白水の滝を見に行く。頭上は石灰岩の高い岩壁で、その下から湧き出た水が流れ落ちて白水の滝となっている。
それにしても、周囲の岩壁と岩峰の景観は素晴らしい。しかし、鉱山の所有地で立入禁止になっているのは残念。鉱山が1984年に開設されて以来、四半世紀で叶山の頂上は削り取られ、山容はすっかり変わってしまったという。そうなる前に登りたかったなぁ。石灰が地元の重要な産業であることは確かだが、叶山の自然を後世に残すという選択はなかったのだろうか。
帰りは久しぶりに桜山♨センターに立ち寄り、ゆったり湯船に浸かる。温まって温泉を出ると、まだ17時なのに既に真っ暗。日の短い季節になったことを実感した。