御飯岳
金曜日に休暇をとり、万座温泉から御飯岳(おめしだけ)までテレマークで往復して来ました。スタート地点(標高1770m)から雪に埋もれた万座道路を辿って、御飯岳北面の取り付き地点(1899m標高点)までは距離5.6km、標高差130m。そこから頂上まで標高差260mという歩き主体のツアーコースですが、御飯岳の登りは意外に急で、高度感がありました。
桐生を車で4時過ぎに出発し、渋川、長野原、万座ハイウェイを経由して万座温泉に向かう。天気は間違いなしの快晴で、目指す御飯岳の稜線も青空の中にくっきり浮かんで、心はウキウキ。万座温泉は平日の早朝なので静まり返っている。万座道路は入り口から少し入った山のホテルASANO(休業中)の手前まで除雪されていて、公衆WCの横にちょうど除雪された駐車スペースがあったので、ここに車を置く。
車の外に出るとさすがに空気はキンと冷たく、雪はカリンカリン。WCをお借りして、準備を整えて、さぁ出発。最初はシールなしで歩く。道路は最初はスキー場の初心者コースになっていて、圧雪されている。
やがてスキーコースから外れて圧雪も終わり、雪に覆われた万座道路を辿る。先行者のトレースは全くない。緩く登って万座峠に到着すると、峠の北側は荒々しい岩場がむき出しになっていて、その向こうに志賀高原の笠ヶ岳が兜のようなピークを擡げている。路上の雪が大きくうねっていてスキー板が後滑りするので、ここでシールを着ける。
万座峠から小ピークの南側を巻いて、黒湯山との鞍部に出る。鞍部の北側は吹上と呼ばれる崩壊地で、今度は横手山が大きな山容を見せている。
黒湯山の緩い南斜面を横切る雪道をひたすら歩く。ほとんど平らなので、黒湯山へはあそこの斜面を登ったら楽かな、などと景色を楽しみながら散歩気分で歩く。
黒湯山の南西面の谷を渡るあたりの道端に「太田堰源流…」と刻んだ御影石の碑があった。側面に説明文があり、高山村の太田才右エ門という人が明治13年に須坂市小河原まで延長24kmの灌漑用水路を自力建設した、と記されているが、続きの文は雪の下で読めない。後日、ネットで検索して、石碑の全体像の写真を見つけた(2019-05-19追記:リンク切れ)。これを見ると、この辺りの積雪は150cm以上あったようだ。
万座道路が国境稜線を群馬県から長野県へ越える個所が地図上の1899m標高点で、ここから御飯岳北面に取り付く。「遭難多発区域」という物々しい標識を見るが、今日は天気だけは心配ゼロ。ここから見上げる御飯岳は、遠望したときよりもずっと急に見える。テルモスのココアでピーナッツバターパンを2個程、腹に流し込み、どこをルートにするか目星をつけて、登り始める。
最初は緩い尾根の上を歩くが、急斜面に突き当たって、左手の斜面に逃げる。湿った雪がシールに着いてだんごになり、苦戦。シールワックスを塗っておくんだった。息が切れて、時々立ち止まる。振り返ると、結構下に歩いて来た万座道路が白い筋となってうねうねと延びているのが見える。いい景色だなぁ。
雪の斜面を登りきって緩やかな頂上稜線に出ると、反対側に四阿山方面の上信国境稜線の山々の眺めが開ける。頂上の山名標の類いは雪の下らしく、全く見当たらない。一番高い所まで進んでザックを降ろす。
それにしても素晴らしいパノラマだ。四阿山と白根山の間の上信国境稜線では、ここ御飯岳が抜きん出て高い山のように感じる。
頂上はさすがに風が吹き抜けて寒い。ココアを飲んだ後、滑走開始。そこそこいい雪だが、調子に乗って怪我しないように(単独行なので)自重して滑る。取り付き地点まで降りたところで、山スキーのおじさん4人パーティと会って挨拶する。
あとは万座道路を辿るだけなので安心だ。ここで昼食にする。滑りの後の缶ビールは格別。餅入りカレーを作ろうと思ったら、ぐわぁ、肝心の餅を忘れて来たことが発覚。遭難したら、困った事態になるところだった。カレー(うどん用のレトルト)だけ温めて食べる。
帰りの万座道路はわずかに下りなので、シールなしで歩く。ところどころ滑走できる区間があるので、スキーの調整次第でスピードに差がつきそうだ。万座温泉までの所要時間は、行きの半分だった。
折角、休暇をとって万座まで来ているので、この日は温泉に宿泊する。車に戻り、前日に予約した万座ホテル聚楽に向かう。チェックインして、早速、温泉に入る。極楽、極楽。露天風呂もあり、空吹き(谷間から蒸気が上がっている)の眺めが良い。風呂上がりのビールがうまい(^^)
翌日は、坊主山から万座温泉に滑るというプランも考えていたが、御飯岳で満足できていたし、風が強くて雪も固そうなので、午前券を買ってゲレンデで滑る。2時間半で終わって(まじめに滑ると疲れるのだ)、万座高原ホテルの温泉に入りに行く(リフト券を買うと、500円で入浴できる)。ここの石庭露天風呂は渓谷にいくつも湯船があって、素晴らしい。ゆっくり浸かったあと、帰途についた。