古賀良山・吾嬬山・鏡台山
正月恒例の♨旅行+里山歩き、今回は東吾妻町の川中温泉かど半旅館に大晦日から2泊3日で宿泊して年を越し、行き帰りは榛名山周辺の小さな山歩き、元旦は宿の近くの吾嬬山(かづまやま)に登って来ました。雪が多少はあるかなと思っていましたが、この時点では雪はまだなくて、安心して歩けました。
新幹線で来たS&Sを高崎駅で合流して、駅でうどんを食べたのちに車で出発。榛名山南麓のR406を通って、川中温泉に向かう。どこまで行っても高崎市なことにS&S驚く。今日は時間はあまりないが、かといって真っすぐ宿に行くと早く着き過ぎるので、途中の古賀良山(こがらさん)に立ち寄ろうという計画だ。
ようやく高崎市を抜け、東吾妻町に入ったところで右折して、高原情緒のある車道を登山口に向かう。行く手にはぽっこりと盛り上がった古賀良山が現われる。牧場を過ぎ、鳥居と駐車場、東屋が整備された登山口に到着する。鳥居の脇には「吾妻町指定史跡 古賀良神社の石宮」と刻まれた石柱があった。今日は誰もいないが、史跡を訪ねて来る人もいそうだ。
鳥居をくぐって、薄暗い杉林の中の参道を歩く。長い石段を登ると、小さな社殿のある古賀良神社に着いた。外見はトタン板で囲まれたごく普通の神社だが、格子窓の間から中を拝見すると大きな石宮があり、外側の社殿はその入れ物であることがわかる。東吾妻町HPの文化財紹介ページの記述によると、石祠は安永2年(1773年)に造られた物で、高さ約3m、その大きさは県内ではトップクラスのものとのこと。保護のためとはいえ、近くで見られないのはちょっと残念。
神社の右手には雷電宮があり、さすが雷の多い群馬だとSが感心している。古賀良山へは、神社の裏手の明るい雑木林を登る。すぐに稜線に出て、赤松林の尾根歩きとなる。細いが良い道が続く。「華童子 嘉永七年」と刻まれた石碑を過ぎると急な登りとなるが、それもごく僅かの間で、古賀良山頂上に着く。
頂上には古い石祠と三等三角点がある。展望は、枯れ草と雑木林に囲まれて榛名山と山麓の牧場が垣間見えるだけだ。お菓子等を食べて少し休んだのち、往路を戻る。ゆっくり歩いても往復で1時間足らずの山で、”小柄”だけど雰囲気はいい山でした。
古賀良山から、R406沿いの大戸にドライブする。大戸は江戸時代の信州街道の要所として関所が設けられ、かつて国定忠治が関所破りを企てて処刑された地とのこと(これも東吾妻町HPからの受け売り)。ということで関所跡を見に行った。街並もかつての宿場町らしい雰囲気があった。
大戸からはR145を経由して宿に直行する。途中の郷原付近では、峨々とした岩櫃山が良く眺められた。この山も機会があれば登りたい。R145から川中温泉への脇道に入ると、八ッ場(やんば)ダムのR145付替道路工事が大々的に行われていたが、そこを過ぎれば静かな山間となり、その奥に一軒宿のかど半旅館があった。
宿に着いたら、早速、温泉へ。ここは日本三大美人の湯と言われているそうで、確かにお肌がスベスベになったかも?温いお湯だが、それも肌にいいんだとか。川に面した露天風呂にも入る。そのあとは、風呂上がりのビール!夕食を美味しく頂いたあとは、部屋でゆっくりごろごろ。紅白が始まる頃にはもう寝ていて、新年は爆睡中に迎えていた。
元旦も穏やかな天気だ。朝食を頂いたのち、のんびり車で出発する。岩島駅でR145から分かれて、吾嬬山麓の集落を抜けて林道を上がる。途中、ゲートが閉まっていて、これは通れないのかとあせったが、獣除け用のもので、自分で開閉して通行出来るようになっていた。林道は途中、一部の区間が未舗装で、雨裂が深い。大きな鉄塔(13号鉄塔)のあるところに、広い駐車スペースがある。林道はこの先にも延びているが、どこに通じているのかは判らない。
13号鉄塔から50mくらいの所に登山口があり、「岩島駅 2.2km 約40分 ←→ 吾嬬山 2.2km 約1時間20分」という新しい道標があった。岩島駅周辺にも道標があったので、登山道が良く整備されているようだ。JR利用の駅から登山もお勧めかも知れません。
最初は杉林を登るが、やがて明るい雑木林の登りとなり、榛名山や昨日登った古賀良山、隣りの薬師岳の眺めが開ける。送電線の巡視路なので歩き易い。
半時間弱で山腹を横切る林道に出る。吾嬬山へは林道を左右どちらでも行けるようだが、現地の道標によると左の方が近いようだ。林道を左に辿ると、すぐに道標があり、再び山道に入る。ところどころ背の低い笹原のある雑木林を登る。落葉が深い。
稜線に出ると、少し風当たりが強い。北から吹き寄せる雪雲は、ちょうどこの辺りまで届いているようだ。尾根を登って行くと、先頭を歩いていたSが少し下の斜面にカモシカを発見。肩越しに振り返るような姿勢でこちらをじっと伺ったのち、ゆっくりと去って行った。
落葉を搔き分け、かさこそと尾根を登って行く。急登の箇所で枯れ木を手摺にするとポキポキ折れる。やがて、登りが緩んで肩に出る。頂上はあと少しの所だ。
ここまでは誰にも会わない静かな山だったが、頂上からは何やら人声がする。どうも子供が大勢いるようだ。痩せた尾根を登ると、右から急な登りの道を合わせる。道標があり、寺社原・大竹からの道らしい。そして、そちらから地元?の方々が続々登って来ていた。頂上はそのすぐ上だった。
頂上は、東側の雑木林が切れていて、中之条市街を見おろす展望が素晴らしい。ちょうど北から舞い降りた雪雲が、市街にかかろうとしているところだった。頂上には10数人の人がいて、正月らしく賑やかな雰囲気だ。
背後の雑木林のおかげで風も強くなく、シートを広げてのんびりランチタイムとする。お湯を沸かしてカップ入りそばを作ったり、煮物を食べたりして、終わった頃には地元の方は皆降りていて、単独行のおじさんと我々だけの静かな山頂になっていた。
下りは往路をそのまま戻る。行きにカモシカを見かけた場所で、帰りにも再びカモシカに遭遇する。笹原が良い餌場になっているらしい。この下の林道に出る直前の笹原でも別のカモシカを見た。カモシカを見たことはこれまでにもあるが、一日に3回も見たのは初めてだ。
車に戻り、宿に帰る。ひと風呂浴びて上がると、丁度、天皇杯サッカーの決勝戦が始まる時間だった。
正月の温泉旅行の最終日は、榛名神社に初詣をしたのち、近くの鏡台山に登ることにする。宿をチェックアウトし、車で郷原から榛名山に上がる。榛名山の北麓も雪が少なく、榛名湖には凍結する気配がなかった。天神峠を越えて、榛名神社に到着。初詣客の出足はまだのようで、駐車場の誘導係のおじさんも暇そう。神社の山門に近い駐車場に車を置くことが出来た。
まずは初詣へ。随身門を通り、神さびた雰囲気の渓谷に沿って石畳の参道を歩く。険しい岩壁の下はロックシェッドの中を通り、石段を登ると、榛名神社の本殿に着く。お賽銭を納めて、柏手を打つ。本殿の裏手の御姿岩をカメラに納める。まさに人の形で、これが信仰の対象になるのも深く納得。首の所に紙垂が置かれているのは、どうやって付けたのだろう?
正月らしく初詣を終え、参道入口まで戻る。天狗山・鏡台山登山口の道標に従って、支流に沿った舗装道を登る。神社の賑わいから一転して、こちらは全く人がいない。地蔵峠への登山道を左に分け、工事中の砂利道になると「←天狗山」という道標があり、登山道は左に入る。行く手の鞍部を目指して、雑木林の疎らな谷を登る。右に見上げる鏡台山北峰は岩壁をかかげている。
鞍部の直下は少し急だが、すぐに鏡台山コルという標識のある小さな鞍部についた、左は天狗山への尾根道で、こちらも静かな山歩きが楽しめそう。今日は右の鏡台山へ向かう。少し行くと尾根がT字状に分かれる箇所に着き、右側には「鏡台山北峰へ」という小さな道標がある。ここはまず左へ。緩い尾根を辿ると古い林道が斜め右下へ分岐するところに「林道南ハルナ線へ 一本道→」という道標がある。
左へ稜線を辿ると、一旦小さく下って僅かに登り返したところが鏡台山だ。
頂上には露岩と四等三角点があり、周囲の眺めが開けている。北には青空と白い雲を背景にて掃部ヶ岳と杏が岳。そこから左回りに、浅間隠山、角落山、後ろには雪雲がかかった浅間山が控えている。西上州の山々は妙義山をはじめとして、ぎざぎざの稜線がたくさんだ。山麓の眺めもいい。鏡台山から鐘原ヶ岳、天狗山にかけての山々も、こじんまりとしているが雑木林が奇麗で、里山ハイクに良さそうだ。この山頂はとても気に入った。
往路を戻り、分岐から北峰にも立ち寄ってみる。頂上の北側は岩壁だが、雑木林に囲まれて判らない。立派な道標はあるものの、灌木も少し被さり気味で、訪れる人も南峰に較べると少ないのかも知れない。
登山口に戻り、榛名神社の門前でそばを食べる。初詣の参拝客もだいぶ増えていて、駐車場の空きを待つ車の列が出来ていた。S&Sと高崎駅で分かれて、桐生に帰った。