蔵王山

天気:のち
メンバー:S,S,T
行程:刈田岳駐車場 …刈田岳(1758m) 11:30 …熊野岳(1841m) 12:20〜12:35 …刈田岳駐車場

仙台に出張したついでに、週末を蔵王山麓の青根温泉に投宿して、ちょうど中腹で紅葉が見頃の蔵王に登って来ました。

27日(土)の朝、仙台駅前のホテルをチェックアウトし、車で東北新幹線白石蔵王駅に向かい、10時の新幹線でやって来たS&Sをピックアップする。今日は蔵王に登る予定だったのだが、折り悪く台風が接近して大雨が降っているので、ドライブがてら観光して、宿に向かうことにする。

まず向かったのはR113七ヶ宿(しちかしゅく)街道沿いにある材木岩(国指定天然記念物)。白石川に面した柱状節理の岩壁で、高さ65m、幅100mと言われる。周辺の紅葉も見頃だ。

続いて、上流の七ヶ宿湖の湖畔に有る「水と歴史の館」を見学する。ここでは、江戸時代に山形と仙台を結ぶ街道の宿場町として栄え、明治時代に入って仙山線の開通によって寂れて、養蚕や炭焼きに生業を求めた七ヶ宿の歴史を、当時の民具などの展示で見ることができる。なかでも、ダム湖の建設によって湖底に沈んだ七ヶ宿街道沿いの三つの集落の、かつての素朴な風景を描いた絵画の数々がいい。

最後はさらに上流の滑津(なめつ)大滝に立ち寄る。R113沿いに駐車場とレストハウスがあり、そこから階段を下ると、川幅いっぱいのナメの中の段差を滑り落ちる滝が現われる。増水しているので迫力アップ。こちらも両岸は紅葉している。陽の当たった時の写真が撮れればさらに良かったんですが、この天気ではちと残念。

材木岩
滑津大滝

観光を終え、南蔵王の山麓の酪農地帯を経由して青根温泉に向かう。今晩の宿は、伊達政宗御用達という歴史を持つ不忘閣。当時の建物(青根御殿)が残るほか、宿全体にレトロな雰囲気が横溢しているが、内装はリフォームされていて快適。早速、温泉(4つもある)に入る。ほの暗い電灯の下、裏山の源泉を掛樋で導いた檜の湯船にとっぷんと浸かる。んー、極楽。

翌28日(日)は良い天気になったので、予定をずらして蔵王山に登ることにする。青根温泉から車で山を上がると、途中に古賀政男記念碑がある。昭和初期に名曲「影を慕いて」の発想を得たご当地とのことだが、私にとっては、聞いたことがある曲だなあ、という認識。周囲の広葉樹は色付き始め、爽やかな風が吹き抜けて気持ち良い。

不忘閣の客室より中庭の眺め
古賀政男記念碑

ここから峩々温泉を経由して、蔵王エコーラインに合流するまでの濁川渓谷の紅葉が盛りだ。すれ違う紅葉見物の車も多く、見晴しの良いところでは写真を撮っている人をたくさん見かける。

濁川渓谷の紅葉
峩々温泉

エコーラインに合流すると、さらに車の数が多くなる。紅葉はみやぎ蔵王すみかわスノーパークあたりで終わり。駒草平の駐車場に車を停めて、不帰ノ滝を見に行く。展望台に立つと、おーすごい。ざっくり断ち切れた大岩壁を水量豊かに流れ落ちる不帰ノ滝が見える。滝の下部は見えないが、下流は深くえぐれた谷となって、足元遥か下を流れている。昔、山溪カラーガイド『日本の渓谷』という本で見て以来、訪れたかった場所だが、実物は想像以上にスケールが大きく、感動。

駒草平から不帰ノ滝を望む
駒草平から覗き込む濁川渓谷の絶壁

エコーラインから蔵王ハイラインに入る料金所で渋滞する。刈田岳頂上の駐車場に車を入れられるか心配になったが、少し待っただけで停められた。登山装備で、大勢の観光客に混じって火山らしい荒涼とした稜線に上がると、御釜のエメラルド色の水面が見える。まずは右へ僅かに登った刈田岳頂上にある刈田嶺神社にお参りする。こちらは観光客も容易に来れる。

大勢の観光客が訪れる御釜
刈田岳頂上の刈田嶺神社

熊野岳へは、馬ノ背と呼ばれる広くて緩い尾根を辿る。御釜の方へ少し下るルートをとる。間近に見下ろす御釜は、硫黄の白い山肌と暗灰色の崩壊壁、緑の湖面のコントラストが鮮やかだ。その向こうは太平洋まで見える。

御釜と熊野岳の頂上稜線
御釜と五色山

熊野岳に向かうと、さすがに人の数はぐっと減って、登山の格好をした人に限られるが、途中で背広に革靴のおじさんとすれ違ったのにはビックリした。熊野岳へは片道小一時間の距離とは言え、稜線は風が強く遮るものもないので、天気が悪くなったら危ないよ(^^;)

馬ノ背から刈田岳を振り返る
荒涼とした熊野岳の山肌

最後は左へ斜めに登る道に入り、熊野岳の頂上に着いた。ガスがかかって、残念ながら展望はほとんどなし。頂上には三角点、斎藤茂吉歌碑、石垣に囲まれた熊野神社があり、石造りの立派な休憩舎もある。休憩舎に入り風を避けて食料を補給する。

馬ノ背から熊野岳
頂上は左の方
熊野岳頂上の熊野神社

熊野岳には頂上稜線を東へ400m、歩いて5分のところにも石造りの避難小屋がある。立ち寄って中をのぞくと、石油ストーブや灯油のポリタンが備えられていた。冬山登山でよく利用されているのかな。

刈田岳に戻る頃にはますますガスが濃くなって、馬ノ背から御釜も見えなくなっていた。今、来た観光客は残念でした。刈田岳の頂上駐車場の車に戻り、蔵王ハイラインを下ると、渋滞の列はますます延びていた。

帰りはJR白石駅前に出て、名物の温麺(うーめん)を食べる。うどんを短く細く素麺のようにした麺で、なかなか美味い。一食分の麺は棒ラーメンよりコンパクトなので、山用の食料にいいんじゃあるまいか。福島駅で新幹線で帰るS&Sと別れ、東北道経由で帰桐した。