子持山
子持山は、関越道赤城IC付近を通るたびに間近に見ていた山ですが、いつでも登れそうな山なので、逆にこれまで登るきっかけがありませんでした。
この日は午後から天気が悪くなるとの予報。それなら半日で登れる山に、ということで、手頃な子持山に出かけて来ました。手頃とは言っても、屛風岩と獅子岩(大黒岩)の二つの岩峰があり、その上に立てばスリル満点。また、子持山は古い火山で、これらの岩峰は火山の成り立ちを示す貴重な物とのことで、大変興味深いものでした。
桐生を車で発ち、子持山南麓の子持神社の前を通って唐沢の奥に入り、7号橋たもとの駐車場に車を置く。まだ朝早いせいか、広い駐車場はがらんとしている。駐車場のすぐそばに、高さ60mという巨大な一枚岩の屛風岩が見える。案内板によると、岩脈(マグマが他の岩石中に板状に貫入したもの)が長期間の浸食に耐えて露出したものとのことだ。
2012-01-03追記:屛風岩の基部には役の行者の石像が祀られていたが、偏平足さんの記事によると、2011年9月の時点で紛失?しているらしい。貴重な石像と思うので、このとき撮影した写真を追加しておきます。2019-12-14追記:2016年2月の時点で石像があることが確認されているそうです。
屛風岩の岩壁を頭上に仰ぎながら、基部を流れる沢を登る。岩壁には残置ボルトや捨て縄があり、ロッククライミングの対象になっているらしい。岩壁を少し過ぎた所に「円珠尼の歌碑」という石碑があり、ここから屛風岩に往復して登ることができる。
鎖と鉄梯子を登って屛風岩の岩稜に立つ。幅は充分にあるが、両側は絶壁でスリル満点。岩稜の先には石碑が建っているが、そこまで行くのは止めておく。振り返ると、巨大な獅子岩が青空に突き刺さっている。頂上の岩はオーバーハングして突き出しており、返しのある編み針の先端のように見える。この獅子岩は火山岩頸(地下から火口へ繫がる通路にマグマがたまって固まり、その後、周囲が浸食されて固い溶岩が残ったもの)と呼ばれるもので、日本にあるものの中でも、最も素晴らしいものだそうだ。
屛風岩を注意して降り、沢に沿って緩く登る。杉林を抜けて明るい雑木林に入ると傾斜が増し、6号橋からの道と合流する。稜線上を登ると、獅子岩を経由する道と巻き道の分岐がある。ここは獅子岩へ。見上げると険しい岩稜が突き上げているが、右側からまわり込んで登るので、問題ない。
最後は大きな岩塊を鎖梯子で登ると、獅子岩のてっぺんに出た。頂上は小広く、一段高い岩の上には「八海山神社、御嶽山神社、三笠山神社」と刻まれた石碑がある。ここまで登るのは易しいが、岩場の先端はオーバーハングの上なので、足元がなくなったようなクラクラする高度感があり、スリル満点。あまり端っこには行かないようにして、安全地帯から周囲の展望を楽しむことにする。
子持山の山腹を見ると、何本もの岩脈が突き出ている。これらの岩脈には、火山岩頸(獅子岩)を中心とする放射状岩脈と、それに直交する環状岩脈があり、まるで廃ビルの崩れ残った壁のように見える。自然が作った不思議な造形だ。
展望を楽しんだのち、獅子岩を降りて、稜線を子持山の方向に向かう。岩場を下ると巻き道と合流し、痩せた尾根を登る。振り返ると獅子岩が見える。右側のオーバーハングした岩が獅子の顔にあたるのかな?
ブナやナツツバキなどの雑木林の尾根を辿り、小さなピークをいくつか越えると、石祠のある柳木ヶ峰に着く。ここで、大タルミからの道を合わせて、子持山に向かう。最後は岩場もある急登となり、子持山頂上に到着した。
頂上の露岩の上には「十二山神」の石碑がある。また、周囲の展望を説明したステンレス製の説明板があり、雑木林に囲まれて360度の展望とはいかないが、まだ白い谷川岳や武尊岳、沼田市街が見えた。残念ながら、予報通り天気は下り坂のようで、赤城山はガスの中だった。
今日はお昼には早いので、薫製うずら玉子を肴にビールを飲むだけにする。頂上にはご夫婦のハイカーと単独のおじいさんがいた。おじいさんは沼田の方で、今日はこのあと戸神山に登ったらと勧められたが、それはまた後日改めて(^^)。
子持山から柳木ヶ峰まで戻り、大タルミに向かう。途中にロープの下がる急な斜面を下ると、大タルミの鞍部に到着。ここから唐沢を下る。途中には、岩脈を谷が切っているところがあり、道の脇にはバームクーヘンのような岩脈の切れ端が残っていて、面白い。
谷に沿って下り、横から水量の少ない獅子追手の滝が落ちているのを見ると、林道に出る。8号橋を渡ると、7号橋の駐車場はすぐだ。車の数は4台に増えていた。私の他は県外のナンバーで、意外?な人気の広がりにビックリ。
帰りは白井♨こもちの湯に立ち寄る(250円)。小さいが落ち着ける感じの湯船に浸かったあと、隣りのそば処で天ざるそばを食べて、桐生に帰った。