要害山・大畑山〜荒神山
先週末は奥日光でスノーハイク、今週末は旅行の予定があるので、合間のこの日は近場の軽い里山歩きにする。目的は♨と風呂上がりのビール(^^)、そのためにゴール地点は水沼温泉に決めて、登る山を考える。渡良瀬川を隔てた対岸には群馬100名山の荒神山があるが、それだけでは軽過ぎて、ビールを美味くするには歩き足りない。ネット上の山行記録を参考にして、大畑山から荒神山への市境界尾根を辿って来ました。
桐生駅8:58発わたらせ渓谷鐵道大間々行に乗車して、終点で下車。駅前広場で小平(おだいら)行9:54発のバスを待つ。待ち時間が少々あるので、設置されている観光案内図を眺めたりして過ごす。ふーん、北に見えるあの山は手振山というのか。
バスを待つのは私一人。定刻を5分過ぎてもバスが来ないのに焦れて、バス停をちょっと離れて駅前広場を横切り、表通りに様子を見に行く。駅前の信号が変わったとき、予想外の方向からバスが現れて、駅前広場に入って来た。慌てて手を振り回しながらバス停に戻るが、バスは止まることなく駅前広場をぐるっと一周して、走り去って行った。ガッディーム凸(-_-#)、止まってくれよぅ(T_T)。居合わせた地元のおじさんに、いやーあのバスは早いんだよ、バス停にいないとだめだよー、と慰め?られる。しかし、父不見山でもバスにオーバーランされたし、どうも過疎地のバスとは相性が悪い(と八つ当たり)。
次のバスは何と2時間後。大失敗だ。どうしようか。タクシーを使うのも業腹だし、次の列車で大畑山最寄りの花輪駅に行くことも考えたが、花輪から大畑山のルートは持参の地図の範囲外だ。考えた挙句、やはり次のバスを待って、計画通りのルートを歩くことにする。たっぷり待ち時間があるので、駅の裏手に見えている要害山に登って来ることにする。大間々を通ることは度々あっても、要害山に立ち寄ったことはないので、良い機会だ。
駅から「はねたき橋」を渡り、高津戸ダムを左に見て山道に入ると、僅かの登りで要害神社のある要害山頂上に到着した。要害神社の由来を説明する案内板があり、要約すると、ここには1080年頃、山田氏によって高津戸城が築かれたが、1351年に桐生国綱に滅ぼされた。1576年、里見勝政・勝安兄弟は父の仇討ちのため高津戸城に隠れたが、1578年に無念の討ち死にしたとのこと。うーむ、長い歴史があることだけは判った。
要害神社から石段を南に下る。こちらが正式の参道のようだ。すぐに展望台とWCのある駐車場に出る。展望台に上がると、眼下に大間々の街並がよく見える。駐車場の先には東屋がある。このあたりは桜の木が多く、花見が出来そうだ。
山道を高津戸橋に下り、橋の袂から高津戸峡の遊歩道を歩いて、上流のはねたき橋に向かう。巨岩の間を水が滔々と流れている。途中のポットホール(甌穴)は、磨かれて丸くなった石が中に残っており、面白い。
駅に戻ると、今度は複数の家族連れがバスを待っていた。定刻の12:16を少し過ぎてバスが到着し、無事に乗車。やれやれ。渡良瀬川を新栄橋で渡ったバスは、山間に入って行く。小平鍾乳洞や親水公園で家族連れが下車すると、乗客は私一人になった。
終点の小平で下車する。傍らに「小平の大杉」がある。樹齢千年と言われ、根本周囲約7m、高さ約24mの見上げるような巨木だ。道はここでY字に分岐し、左の茂木(もてぎ)への道に入る。もう正午を過ぎていて、陽射しがポカポカと暖かい。
朱塗りのお堂を過ぎ、谷沿いの車道を上がる。砂防堰堤の前の分岐は橋を渡って左へ。山道となって、舗装された林道に出る。これを横断して、さらに杉林の谷間の未舗装林道を登る。漆喰壁の廃屋がある。途中の林道の分岐は左へ。最後は道が消え、下枝が積もった杉林の急斜面を登ると、大畑山のすぐ東の稜線に出る。稜線の上はまだ冬枯れの明るい雑木林で、藪はない。稜線を左に辿って程なく、大畑山の頂上に到着した。
大畑山の頂上は樹林に囲まれた枯れ草の平地で、山名標の付いた共同アンテナが立っている。展望は木の間に赤城山が霞んで見える程度で、日溜まりの中、静かなだけの場所だ。お昼を大分過ぎたので腹が減った。缶ビールを飲んで、鍋焼きうどんを食べる。
さて、ここから樹林で見通しが利かない枝尾根が入り組んだ、ルートファインディングの難しい(楽しい)縦走が始まる。GPSは携行しているが、山勘を試すために地図とコンパスだけで歩いてみよう。大畑山から方角を定めてスタート。緩く尾根を下り、小さなピークを二つ程越えて、620m標高点付近の緩くて広い尾根に出る。渡良瀬川に下る顕著な尾根から別れる小さな市境界尾根を辿れるかが第1のポイント。
598m標高点までは狭い尾根を歩くので、迷う心配はない。展望はないが、ところどころから東の622.9m三角点のある尾根が望まれる。598m標高点から下った鞍部には、峠越えの山道があった。鞍部から登った次のピークが第2のポインドで、市境界尾根はここで90度右に曲がって北に向かう。杉林の中にシノタケが茂って、ルートは判然としない。しかし、ここを過ぎれば、あとは迷うことのない尾根歩きだ。
最後は雑木林と植林帯の境界の急な登りとなって、荒神山の山頂に到着した。山頂には二等三角点があるが、樹林に囲まれて展望は全くない。休憩なしで通過する。
頂上から下ってすぐに「手作り広場」があり、石祠やベンチ、WCがある。車道を辿ると展望台と群馬テレビの黒保根中継局がある。展望台に登ると、赤城山のゆったりとした東山麓が遮るものなく眺められる。そこから袈裟丸山にかけても一望だ。ただ、今日はちょっと霞がかかっているし、陽も既に西に傾いて逆光気味なので、空気の澄んだ日の午前中に来ると、もっといい眺めが得られるだろう。
でこぽんで喉を潤しながら、双眼鏡で展望を堪能した後、下山する。山道に入り、杉林の中をジグザグに下り、手作り広場からの道を合わせてさらに下ると山麓の車道に出る。くろほね大橋の焦げ茶色のアーチを目印に歩いて、この橋を渡り、水沼♨にゴールインした。
今日の水沼温泉センターはオフシーズンだからか、お客さんも多くない。露天風呂にのんびり浸かって、渡良瀬川の対岸の荒神山を眺める。それから、大広間で舞茸の天ぷらを肴に生ビールを2杯頂いたあと、いい気持ちになって、18:06発の列車に乗車。すっかり暮れた鉄路で桐生に帰った。