大ナゲシ〜赤岩岳
先週に引き続いて、上武国境稜線の岩峰巡り。群馬県上野村野栗沢の奥の赤岩橋から赤岩峠道を辿り、赤岩峠から大ナゲシと赤岩岳のピークを往復して踏んで来ました。
赤岩橋から赤岩峠へのルートは距離が長い上に「荒れている(群馬の山歩き130選)」、「荒廃ぎみ(2004年版山と高原地図)」などと紹介されているためか、ウェブで調べても歩いた報告があまりないようですが、山と高原地図HPの打田鍈一氏のコラム「大山・宗四郎山・大ナゲシ(2006年6月)」の中に、再興されて歩き易くなっている、との記述を見つけ、行ってみることにしました。
実際に歩いてみると近年整備されたようで、道標こそ全くないものの、マーキングなどで道ははっきりしていて大変歩き易く、変化に富んだ渓谷と紅葉を楽しむことができました。
先週と同じく、車で下仁田IC、湯ノ沢トンネルを経て野栗沢沿いの道に入ると、今日も青空に突き刺さる大山の鋭いピークが出迎えてくれる。朝餉の煙が立ち上る胡桃平の集落を抜けると未舗装道になるが、ほどなく登山口の赤岩橋に到着。赤岩峠道の入口にはゲートがあり、一方、車道は赤岩橋を渡ってさらに奥へ続いているので、車で行き過ぎないように注意。今日は先着の車があり、沢登りの4人パーティが出発の準備をしていた。ゲート前の駐車スペースは狭いので、赤岩橋を渡ったすぐ先のスペースに車を置き、4人パーティに続いて出発する。
しばらくは、もう使われなくなった林道を歩く。4人パーティは途中で左岸の支流に入って行ったようだ。砂防堰堤を2つ過ぎると林道終点で、そこからいきなり急な斜面をロープを摑んで登る。初手からこれでは先行きどうなるかと思ったが、すぐに渓流沿いの良い道となり安心する。ところどころに架かる木橋は年代物で、古くから歩かれていた道のようだ。
紅葉が始まった広葉樹林に囲まれて、苔むした大きな転石のある流れを何度も渡り返して遡って行く。大変気持ちがよい。樹林の間から見上げられる三角形の尖ったピークは大ナゲシのようだ。
いくつもの小さな滝を眺めながら上流へ歩いて行くと、道は本流から離れて右岸の水流のない沢を登って行く。この沢を登り詰めると、右の小尾根に取り付いて、しばらく登る。紅葉が素晴らしい。やがて、岩壁の基部に突き当たり、右へ巻いて登って行くと、再び沢に出る。ゴルジュの中に大きな滝がかかっているが、全容は見えない。周囲は険しく切り立った岩壁、尾根、谷が入り組んだ地形だ。
この沢を登り詰めると小さな尾根を乗り越す所に出る。道の傍らに「赤岩峠自記雨量観測所。建設省…」と書いた朽ちた木の看板があるが、観測所はもうない。歩くのが楽しくて全然休憩をとっていなかったので、ここで一本立てる。
ここからは紅葉の中、山腹をトラバースする道となる。樹林の間の大ナゲシのピークも、少し見え易くなって来た。
最後に少しジグザグに登ると、上武国境の赤岩峠に到着した。雨量観測所跡からの主要時間はわずか10分。なんだ、ここまで来て休憩すれば良かった(^^;)。ちょうど、武州側から登って来た年配のハイカーさんが一人いた。さっき休んだばかりなので、ちょっと立ち話をして、すぐに大ナゲシに向かう。
上武国境稜線を歩き出して後ろを振り返ると、赤岩峠の向こうに大岩壁を巡らせた赤岩岳が聳えていた。うーむ、これはすごい迫力だ。どこをどう登るのだろうか。
赤岩岳の写真を撮っているうちに、先程のハイカーさんに追い抜かれる。かなり早いペースだ。稜線上は木々もすっかり葉を落として明るい。ルートは1493mのピークの手前で分岐し、左は1493mピークを越えて国境稜線を西へ、右は1493mピークを北に巻き、国境稜線から離れて大ナゲシへ向かう。ハイカーさんが先導して右のルートに入って行ったので、ここは迷わず右に行けた。
いくつかの小さなアップダウンののち、大ナゲシの岩峰の基部に到着。赤ペンキと鎖に導かれて登る。バンドを斜めに上がる所が一番の難所だが、鎖もあるし、高度感もさほどでないので、難なく通過(とは言っても鎖がないとかなり怖いだろう)。
樹林を抜けると頂上への最後の岩場の登りだが、ここは問題ない。登り切ると小広い大ナゲシの山頂に到着した。先程までは晴れていたのだが、今はガスに取り巻かれて展望がない。先に到着したハイカーさんは展望を諦めて出発するようだ。今日は赤岩尾根に行くとのこと。すごい(@_@)。頂上から見下ろすと辿った稜線が眼下に見えるのは爽快だが、その他は結局すっきりした展望はなし。しょうがないが、登頂という目的は果たしたので、戻りますか…。
赤岩峠に戻ると、さっきまでのガスが噓のように消えて、大ナゲシのピークがくっきり見えていた。頂上で30分も待っていたのに〜、ガッディーム凸(-_-#)。がっくりきて、お腹も空いて来たのでここでラーメンの昼食にする。その前にオイキムチをつまみに缶ビールっと。
さて、赤岩岳であるが、大岩壁を目の当たりにして登るかどうしようか、ちょっと迷う。ビールも空けてしまったので、登頂はまたの機会という考えも頭をよぎったが、折角展望も開けてきたことだし、安全に行ける所まで行ってみることにする。
登山道は岩壁の基部を左に巻き、ザレたルンゼを登って小さな岩峰と赤岩岳との鞍部に出る。ここまでは何の問題もない。左の小岩峰に上がると、大ナゲシの全容が良く眺められた。
赤岩岳へは右側が切れ落ちた岩稜となる。ホールド、スタンスともガバチョとあるのでここも問題なし。すぐに岩稜を越え、樹林に入って踏み跡を辿って急登すると、赤岩岳の山頂に到着した。
頂上は木立に囲まれて展望は乏しいが、西の方に大ナゲシや大山、帳付山などの上武国境の山々が見えた。また、南側は眼下に小倉沢の河原や日窒鉱山の建物群が見えた。件のハイカーさんはとっくに赤岩尾根に向かったようで、姿はなかった。
大ナゲシでは恵まれなかった展望が少しは得られて、満足して赤岩岳を下る。往路を赤岩橋まで戻るが、赤岩峠道の下りも渓谷と紅葉をもう一度じっくり眺めながらの楽しいものだ。
山行を終え、先週に続いて、野栗沢♨すりばち荘のお風呂で温まる。帰途、南牧村磐戸の菓心処信濃屋嘉助に立ち寄って、炭まんじゅうなどの和菓子を買って帰る。さっぱりした甘さで美味しかったです。