大山〜天丸山〜帳付山
桐生を未明に車で出発。下仁田IC、湯ノ沢トンネルを経て上野村に入る。R299を暫く東進した後、神流川支流の野栗沢に沿って上がる。途中で行く手に大山の鋭い岩峰が聳える素晴らしい景観に出会う。道は山腹にしがみつくような奥名郷の集落を通り、高度を上げて天丸橋に到着。ここまで舗装された良い道だ。天丸橋を渡って少し先の広い駐車スペースに車を置く。朝早いせいか、まだ誰も来ていない。
準備を整えて出発。天丸橋の傍らに「注意!登山者の皆様へ。天丸山は平成7年12月27日に発生した山林火災により、樹木及び登山道は壊滅的な被害を受け、落石等で非常に危険な状態になっておりますので、登山はご遠慮下さい。上野村。上野村観光協会」という看板と、比較的新しい「天丸・帳付・大山登山口」という道標がある。なんか矛盾している気がしないでもないが、自己責任で登って下さいということだろう。
天丸橋から道標に導かれて沢沿いの道を歩く。要所に道標もあり、良く踏まれた道で問題ないが、滝を高巻く箇所が二カ所あり、結構高度があるので滑らないように気をつける。
道はやがて沢を離れると左手の急な斜面をジグザグに登り始める。背後には木の間から天丸山の傾いた台形のピークが見える。斜面を登り切ると落ち葉に覆われた小さな沢に沿って登る。周囲の黄葉がきれいだ。やがて、大山と天丸山の分岐に到着。左に大山を目指す。
樹林の中のわずかな登りで露岩のある稜線に出る。ここから稜線上の踏み跡を辿って小さなピークを2、3個越えると大山の頂上だ。頭上には青空がのぞいているのだが、あいにく頂上の周囲はガスに包まれて展望がない。ミカンを食べながらしばらく待つうちに、倉門山など上武国境稜線の一部は見えたが、天丸山は見えず。ちょっと残念。
大山からは先程の分岐までは戻らず、稜線上をそのまま南に辿る。上武国境稜線まではちょっと登りだ。稜線に出てすぐ右が倉門山だが、樹林に囲まれ、木の幹に取り付けられた山名標があるだけの地味〜なピークだ。先へ進む。
ササと樹林の緩やかな尾根を下り気味に気持ち良く歩く。道標があり、帳付山と天丸山の分岐に到着。ここから天丸山に往復する。
尾根上をさらに下って行き、まだ下るのと思う頃、突然、木の間越しに天丸山の岩峰が聳えていることに気付く。岩峰の基部に辿り着いて見上げると、なかなか高さのある岩壁だ。太いロープも掛けられている。取り付いてみるとロープに頼らずとも登れるが、下りはちょっと怖いなー。とにかく高度感があるので注意。
登り着いた天丸山山頂は山火事のせいか木が疎らだ。北コースの入口にはトラロープが張られていた。こちらの山頂もガスに覆われて展望がない(T_T)。大山の方から、丁度斜面を登っているのだろうか、中高年ハイカーさんと思しきグループの話し声が霧を通して賑やかに聞こえるが、大山自体は全く見えない。ミカンを食べて待っているうちに、しかし、帳付山は望むことは出来た。
さて、そろそろ出かけようかとザックを背負ったとき、北コースから単独行のハイカーさんが登って来た。話を聞くと、P3の下りと最後の登りが大変、とのことだった。
山頂でハイカーさんと別れて分岐までもどり、帳付山を目指す。少し下ると樹林の中にササが広がる馬道のコルに到着。休憩に良いところだ。ここから分岐する社壇乗越に通じる馬道は帰りに通る予定。以前はササに覆われた難路だったそうだが、今では整備された良い道だ。
帳付山への縦走はいきなり急登から始まる。背後はガスが晴れて、樹林の間から天丸山の木の切り株のような円柱形の岩峰がにょっきり聳えているのが見えた。
その後はしばらく緩い尾根道が続くが、途中から小さなアップダウンが多くなり、小ピークを武州側を巻いて行くところも多い。道ははっきりしているが巻いたり登ったりで、単純に稜線を辿れば良い道ではないので、気が抜けない。
樹林の中の展望のない道が続くが、途中、小さな岩峰があり、その上に立つと眺めが開ける。そんなに遠くないところに帳付山が見えた。それにしても、上州側も武州側も山また山、奥が深い山域だ。
岩峰の少し先にトラロープを頼りに岩場を斜めに下る箇所があり、注意して通過。ここを過ぎると最後の急登となり、樹林に覆われた帳付山の山頂に到着した。
山頂は展望はないが、ちょっと先に進むと岩壁の上に出て、諏訪山方面の眺めが開ける。頂上北斜面は樹木に覆われてはいるが険しい崖になっている。その崖の端に腰を下ろして、まずは缶ビール。それからラーメンの昼食にする。
昼食を終えてミカンを食べている頃、天丸山の山頂でお会いしたハイカーさんが到着。カキを頂く(ごちそうさまでした)。今回、山中で出会ったのはこの方だけ。静かな山だ。
帰りは往路を馬道のコルへ、景色や紅葉を眺めつつのんびり歩く。馬道のコルから社壇乗越への馬道は整備されて、それこそ馬でも通行できそうに歩き易い。道沿いの樹林は緑から黄色、赤へと段々に色付いて、まるで虹のスペクトルを見ているようだ。これもなかなかきれい。
社壇乗越から車道に降り、天丸橋に戻る。橋の近くには4、5台の車があって、天丸山の山頂から声だけ聞こえていたハイカーさんのグループが丁度戻って来た所だった。
帰りは野栗沢♨すりばち荘に立ち寄る(500円)。冷えた体を湯船でのびのび温める。今年も温いものが気持ち良い季節になったなぁ、と実感しつつ、帰桐した。