高薙山

天気:
メンバー:T
行程:湯元温泉 6:30 …刈込湖 7:50 …1971m峰西鞍部 9:35 …2193m峰北端 11:00 …高薙山(2181m) 11:40〜12:35 …2193m峰北端 13:15 …1971m峰西鞍部 13:50 …刈込湖 14:45 …湯元温泉 16:05

高薙山は奥日光の2000mを越えるピークでありながら登山道がない山で、ネット上の登頂記録を見ると、無雪期には密藪が猛烈な山らしい。藪漕ぎはできれば勘弁して貰いたい私としては、雪のある時期の登山を考えていたところ、この週末は天気も雪の状況も良さそう。計画を実行に移して登って来ました。

桐生を4時過ぎに車で発ち、日光湯元温泉に6時過ぎに到着。白根山の方向を仰ぐと、抜けるような青空に茜がかった雪の稜線が浮かぶ。今日は絶好の天気だ。ただし、冷え込みは厳しく、周辺の雪はカリカリである。ピッケルと軽アイゼンを携行し、スノーシューは必要なさそうなので置いて行くことにする。

金精道路を横切る地点でアイゼンをつける。刈込湖までは一か月前にスノーシューで歩いたコースだ。雪の量は前回とあまり変わらないか、少し減った程度。刈込湖に到着して湖面を見ると、中央に黒い部分があり、氷が薄くなって来ているようだ。もう、突っ切って渡れないだろう。

湯元温泉バスターミナルから
朝日に輝く前白根山、五色山を仰ぐ
刈込湖
遠くに山王帽子山、太郎山

ここから於呂倶羅山と2193m峰を結ぶ主稜線に上がるには、1971m峰西鞍部を目指して枝尾根を登るルートがよくとられている。地形図を見たり、双眼鏡で観察したりして、他にルートがないか検討してみたが、主稜線へ上がるにはどこも険しそうな登りだ。それならば、やはり最短距離の枝尾根ルートが一番良さそう。方角を確認して、いよいよ高薙山へ向かって足を踏み出す。

刈込湖から北西に谷を上がり、枝尾根の末端の少し手前で左岸の山腹に取り付く。出だしは崖のようになっていて、雪の急斜面をキックステップで上がる。その上は少し傾斜が緩くなるが、シラビソ(かな?コメツガかも)とダケカンバが疎らに生えた雪の斜面がずっと上まで続く。藪は完全に隠れていて、程よい固さの雪にステップを刻んでどこでも歩ける状態だが、上がるにつれて相当高度感が出て来る。これはプレッシャーなので、進路を左に振って枝尾根の上に出る。尾根上は木の密度が高く、いざというとき摑むものがある分、安心だ。数は少ないが赤いマーキングがあるので、歩いた人がいるようだ。

刈込湖から2193m峰(左奥)
中央のピークを目指して登る
取り付き付近のシラビソ林の斜面
写真では緩く見えるが、かなり急

それにしても急な尾根だ。途中、シラビソ林の切れたところがあり、振り返ると黒木に覆われた三岳の山塊の向こうに男体山が聳えているのが見える。ひたすら尾根を登って行くと、行く手に岩場が現れ、右手には樹林の間を通して、1971m峰西鞍部付近の稜線が同じくらいの高さに見える。ここから右に木が密な斜面をトラバースすると、鞍部から20mほど高い主稜線上に出た。

急な枝尾根を登り切ったので一休みしたのち、主稜線を2193m峰を目指して出発。すぐに岩場があり、右に回り込んで急斜面を強引に登って主稜線に戻る。振り返ると刈込湖が眼下に広がっている。あそこから、良く登って来たものだ。

枝尾根の途中で一休み
奥のピークは2207m峰
2193m峰への登りから刈込湖を振り返る
手前は三岳、奥は男体山

しばらく平坦な稜線が続く。行く手には高薙山への稜線が意外と高く長く連なっているのが望まれる。それに、2193m峰への登りもなかなかしょっぱそうだ。素晴らしい眺めだが、雪の急斜面の登りが結構堪えて来ていて、高薙山の立派な姿を拝んだのをしおに、ここで帰っちゃおうか、という弱気な考えが一瞬頭をよぎる。しかし、ここまで来たからにはやっぱり登らなきゃ。頂上まで、あと2時間程だろう。

2193m峰から高薙山(右)へ続く稜線
2193m峰へ向かって、稜線を辿る

平坦な主稜線から、再びシラビソ林の急な雪斜面の登りとなる。上がるにつれて湯元温泉付近や白根山が見えて来るが、立ち止まって足を休める回数も増えて来る。ようやく傾斜が緩くなると、2193m峰の北端に到着した。シラビソに囲まれて展望はないが、少し北に進むと高薙山までの緩やかな稜線が見渡せる。高薙山の山頂も一番奥にちょこんと三角のピークを覗かせている。もう大きな登りはなく、稜線上も雪に覆われて歩き易そうなので、元気百倍だ。

緩い上り下りで小さなピークを二つ越え、尾根上の浅い窪状の地形を通ると、高薙山への最後の登りだ。頂上直下はシラビソの幼木が帯状に密生していて、さすがに突破は大変そうだ。密藪を避けて北に回り込む。シャクナゲの上に積もった雪を踏み抜きまくって、最後の最後で藪に手子摺ったが、とうとう高薙山の山頂に辿り着いた。

2193m峰北端より高薙山(右奥)
高薙山へ最後のひと登り

山頂には4つ程の山名板がある。樹林に囲まれて展望はないが、少し南に行くと開けた平坦な場所があり、展望が素晴らしいので、こちらに移動して昼食をとることにする。

高薙山山頂
頂上南の開けた平地で昼食にする

それにしても、風もなく、3月初旬とは思えない陽気だ。山岳展望を楽しみながら飲む缶ビールはまた格別!東には於呂倶羅山、山王帽子山、太郎山、女峰山が折り重なるように連なり、その右には男体山の山容が大きい。南には湯ノ湖の湖面や湯元温泉の建物が見える。ということは、湯元温泉から高薙山も見えるということだ(未確認)。

その手前には、今日登って来た2193m峰への稜線が横たわっている。よく見ると、稜線の下はバンドのような地形になっており、地形図で見ても傾斜が緩い。帰りはあそこを通ると楽そうだ。

高薙山から太郎山、女峰山(奥)
高薙山から湯元温泉の方向を望む
中央右寄りに湯ノ湖の湖面が見える

2193m峰へは黒木に覆われた稜線が続き、その向こう奥には白根山のごつごつした山頂が見える。また、北西には真っ白な燧ヶ岳が遠望出来た。

高薙山から2193m峰への稜線
奥に白根山を望む
高薙山から燧ヶ岳を遠望

大展望に満足、お湯を沸かして餅スープを作って食べてお腹も満足。頂上でのんびり過ごした。さて、そろそろ帰りましょうか。頂上に赤テープがあり、そこから下ってみるとシラビソの幼木の密藪帯をくぐり抜けることができた。こうやって徐々に道型が出来るのかも知れませんね。

2193m峰からの下りは速い。稜線が平坦になるところから左斜面をトラバースすると、思った通り浅い窪状の地形になっていて、楽に1971m峰西鞍部に出た。うーむ、いいルートを見つけた(v^^)。

鞍部からは、真っすぐ刈込湖に降りてみようと少し下ってみたが、急峻で一部雪が固い所があり、断念する。やはり、往路を戻るのが安全だ。鞍部に登り返すとき、キックステップで酷使した両足のふくらはぎがつった。這々の態で鞍部まで戻って、ストレッチをする。さらに20m程主稜線を登って、往路のトレースを発見。あとは忠実にトレースを辿って下る。刈込湖まで下って、ようやく一安心した。

湯元まで残りの行程はスノーハイキング気分を楽しむ。そして、湯元でに入り、良〜く温まってふくらはぎの筋肉をほぐしたあと、帰途についた。