越後白山
白山と言えば加賀の白山の名前がまず挙がるが、今回登ったのは新潟県の川内・下田山塊の前衛に位置する標高1012mの白山。この山域では数少ない一般登山道のある山で、ネットで調べると残雪や紅葉の時期を中心に地元の人によく登られているようだ。紅葉にはまだ早いが、9月の3連休PART2の2日目に登って来ました。
桐生を未明の3時過ぎに車で出発。赤城ICから関越道に入り、途中のPAで1時間ほど仮眠。北陸道・三条燕IC、加茂を経由して登山口の慈光寺を目指す。台風17号と秋雨前線の影響で上空の雲は厚いが、稲の刈り入れが進む平野の向こうに白山の丸い頂きが見えた。
蛭野というちょっと怖い地名の集落を通って山あいに入ると、慈光寺の杉並木の参道の入口に到着。ここには広い駐車場やWC、黄金の里会館という入母屋造りの売店がある。蒲鉄小型バスの「慈光寺」バス停もあるので、公共の交通機関によるアプローチも可能なようだ。
駐車場に車を置き、渓流に沿った杉並木の参道を10分程歩くと慈光寺。石段を登って立派な仏殿に立ち寄り、礼拝する。江戸時代には越後四ヶ道場の一つとして多いに賑わったとのことだが、今は静謐で、老杉古木に囲まれた大伽藍に往時を偲ぶのみだ。
渓流沿いにさらに奥に進むと、下山ルートに予定している田村線を左に分け(道標あり)、杉並木を抜けて草深い林道歩きとなる。しかし、この林道歩きは短く、10分程で一合目の道標に到着。右に曲がって山腹を一直線に登る急な山道に入る。今日は涼しい天候だが湿度が高く、ところどころにトラロープが設置された急登に汗を絞られる。ようやく稜線上に出た所が三合目で、ここで一休み。
三合目からは、ブナなどの林の中の緩い尾根登りがしばらく続く。木々の葉は少し色づき始めたかな、という感じ。ところどころから行く手の白山の急な山肌が見えるが、その上にあるはずの頂上はガスの中だ。五合目、六合目の標識を過ぎると傾斜が強まる。七合目で先行していた年配の女性二人組に追いつく。今日、出会った最初のハイカーだ。話をすると、男性の単独行が先に行っているとのこと。シーズン外れ?で天気がいまいちでも登っている人が結構いるものですね。
八合目からはガスの中。九合目からは傾斜が緩くなり、ガスの中を進むと二階建ての避難所の前に出た。ドアが開いていて、中を覗くと単独行氏が休憩中だった。小屋の内部は大変きれいだ。二階にも冬季用のドアがある。冬はどこまで雪が積もるのだろうか。
小屋の前を左に折れると、すぐに鯖池があり、その先の草地が二等三角点のある白山の頂上だ。雪の重みだろうか、道標の一部は折れ、石仏を祀った木製の祠も潰れそうに斜めに傾いている。草の上に腰を下ろして、まずはビール。そして、お湯を沸かしてラーメンを作る。
頂上からの川内山塊の眺めを期待してガスが切れるのをしばらく待ってみたが、全然晴れそうにないので、田村線経由で下山することにする。こちらのコースは急で、木の根、岩角、赤土、落ち葉がコンボになって非常に滑りやすく、とうとう一回尻餅をつく。こちらから登って来るハイカーにも数パーティ出会う。「天狗ノ腰掛け」というブナの大木のある七合目あたりから、ようやく傾斜が緩くなる。
五合目で左に折れ、枝尾根を下る。下り口に「水場」と書いた道標があり、右の谷へ下る道を指し示していたが、水は十分だし、ガイドブックによると、道が悪くヒルもいてお勧めできないとのことなので、通過する。しばらく急な下りが続くと、送電鉄塔に出る。ここで、ガスが切れて(というか雲の下に出て)今日唯一の下界の眺めが開け、山麓の黄金色に染まる平野が俯瞰できた。
送電鉄塔を過ぎると再び樹林の尾根となる。二合目の標識を通過し、ずっと尾根筋を下って行くと、途中の分岐を見落としたらしく、往路で通った田村線入口ではなく、慈光寺の境内に直接に出た。これはこれで無問題。あとは駐車場へ参道を戻るだけである。
帰途、村松町のさくらんど♨に入る。湯船に浸かって体が温まるのが心地よい。残暑も過ぎて、もうそういう季節になったんだなー、と実感して帰桐した。