唐松岳

〜18日(日)
メンバー:S,S,T

八方尾根から唐松岳を往復。唐松岳頂上山荘に一泊して、のんびり登って来ました。

9月17日
天気:のち
行程:黒菱平 ==(リフト)== 八方池山荘 9:35 …八方池 10:45 …唐松岳頂上山荘 13:35(泊)

5時半頃、桐生を車で発ち、八方尾根山麓のホテルで前夜から宿泊していたS&Sをピックアップ。黒菱展望道路で八方尾根スキー場の黒菱平まで上がる。広い駐車場があり、既にたくさんの車があるが、まだまだ余裕だ。車を降りた途端に、ひりひりとするような強烈な日差しを感じる。今日は日焼けしそうだ。

黒菱平から夏期営業中の黒菱第3リフトとグラートクワッドリフトを乗り継いで、八方尾根スキー場最上部の八方池山荘に上がる。ここが今回の登山のスタート地点。既に標高は1850m。白馬三山の稜線には少し雲がかかっているが、鑓ヶ岳のすっくとした三角形のピークが良く見える。まずは正面にガレた斜面を見せている八方山に向かって、岩がごろごろした尾根道を登る。

八方山(1974m)に登り着くと、行く手にこれから辿る尾根が一望できる。尾根の上端には唐松岳が鋭い三角のピークをちょこんとのぞかせ、その右には不帰嶮のギザギザの稜線が連なる。ここからの標高差は約700mしかないのだが、それよりももっとありそうな、スケールを感じさせる展望だ。


黒菱展望道路を車で上がり黒菱平へ
正面の黒菱第3リフトに乗車


八方山ケルンから八方尾根と
唐松岳〜不帰嶮の稜線(中央奥)

八方山から第2ケルン、第3ケルンを経て、緩く広い尾根を登る。八方尾根と言えば冬山遭難の多いところで、特に逗子開成高校山岳部の遭難が記憶に残っている。このあたりでルートを失ったということだが、当時の状況はどんなだっただろうか。少し想像して見るが、無雪期のこの好天の下では実感をもつことは難しい。

リフト終点から1時間ほどで八方池に到着。深く切れ込む唐松沢を隔てて、ところどころに雪渓を残す不帰嶮や天狗ノ頭の凄まじい岩壁が間近に迫り、水面に写り込む景観は素晴らしい。ここまでは観光客も歩くトレッキングコースで、大勢の人が池の周囲の思い思いの場所に腰を下ろし、のんびりと景色を楽しんでいる。

八方池を過ぎると登山者のみとなり、人はぐっと少なくなる。ダケカンバの大木のある樹林帯を抜け、このコース一番の急登を登りきると、尾根の左側を巻く道となる。展望が良く、時間も丁度良いので、ここでパンを齧って昼食とする。

ここから、丸山とその下の扇雪渓のガレ(雪渓はまだ見えない)を仰ぎながら、草付きの斜面をトラバースして行く。花はあまりないが、アザミやトリカブトなどが咲いている。枯草が黄色に色づいて、秋の気配だ。

扇雪渓では、広大なガレの底に雪が僅かに残っていた。ここでもちょっと休憩。周囲の緑の中にナナカマドの真っ赤な実が鮮やかだ。


八方池から不帰嶮


扇雪渓手前の草付きのトラバース
中央奥のピークは丸山

扇雪渓から樹林帯をジグザグに登って再び稜線に出る。ハイマツ帯の高山的な景観の中、ケルンのある丸山に登る。残念ながらガスが広がって来て、視界は徐々に悪化。丸山頂上では2,3の人が大きな三脚に載せたカメラを白馬三山に向け、寝転がってガスが切れるのを待っていたが、あいにくそのチャンスは少なそうだ。

丸山から岩尾根の左斜面をトラバースするようになると、主稜線はあと少しだ。ガスの中に突然、建物の影が浮かび上がると、そこが唐松岳山頂山荘だった。小屋の前にはベンチがあり、縦走の途中だろうか、大勢の登山者が休憩しているところだった。稜線は強風でガスが吹き付けられ、ヤッケを着込んで寒そうに縮こまっている人が多い。主稜線の向こう側、立山連峰の展望もほとんどない。


頂上山荘の手前のトラバース道


唐松岳頂上山荘

1泊2食付きの宿泊の手続きを済ませ、指定された北館の寝場所に荷物を置く。天気がいまいちなので、唐松岳登頂は明日にして、早速南館の売店に移動。まずは、生ビール(850円)で乾杯。泡が凍る程、中身もグラスもキンキンに冷えていて、うまかった。これが今回の山行の主目的といっても過言ではない(^^;)。5時の夕食まで宴会。生ビール2杯とワイン1本を空ける。うまい夕食の後は就寝。小屋の容量近くまで宿泊者があったと思うが、多少余裕があり、快適な一晩を過ごした。

9月18日
天気:
行程:唐松岳頂上山荘 6:35 …唐松岳(2696m) 6:55〜7:10 …唐松岳頂上山荘 7:25〜7:50 …八方池 9:50 …八方池山荘 10:35 ==(リフト)== 黒菱平

翌朝、早立ちで縦走に向かう人の後で6時10分よりゆっくり朝食。それから、デジカメ、双眼鏡だけを持って唐松岳山頂に向かう。朝のうちは雲がかかっていたが、日が昇るにつれて視界が開ける。

20分程の登りで山頂に到着。まさに360度の展望だ。南には五竜岳のゴツゴツした山容が聳える。双眼鏡で覗くと、山頂には大勢の登山者。五竜岳山頂のちょっと右には鹿島槍の山頂が頭を覗かせている。こちらも大勢の登山者がいるようだ。五竜岳から右へ、遠くには槍ヶ岳が見え、水晶岳、薬師岳、立山と黒部源流の山々が連なる。そして一番見たかった剱岳も青空の中にくっきりと見える。北へは不帰嶮から天狗ノ頭、鑓ヶ岳の険しい稜線が一望だ。


頂上山荘付近より唐松岳


唐松岳山頂より五竜岳


唐松岳山頂より剱岳を遠望


唐松岳山頂より不帰嶮の稜線
奥は天狗ノ頭〜鑓ヶ岳

展望を堪能して、頂上山荘に戻り、荷物を整えて往路を下山。前方に頸城三山や高妻山を見ながら、ゆるゆる下る。急な箇所がほとんどないので、展望を楽しみながらの楽しい下りなのだが、日差しを遮る物があまりなく、標高が低くなるにつれてかなり暑く感じる。行き交う登山者の数は昨日よりも明らかに多い。

八方池まで来ると、登山者と観光客で混雑していた。八方池山荘に到着して、今回の山行も無事終了。リフトに乗って黒菱平まで戻る。駐車場はほとんど満杯になっていた。カフェテリア黒菱でソフトクリームを食べて涼み、山麓の白馬八方みみずくの湯(500円。リフト券を見せれば400円になったらしい)で汗を流して帰途についた。


八方尾根をゆるゆると下る
中央の小ピークは丸山


八方山から八方池山荘と山麓を俯瞰