雲取山
三峰神社から雲取山に登る奥秩父のクラシックルートを歩いて来ました。スタート地点の標高が1100mと高いので楽なコースかと思いきや、途中のアップダウンが大きくて、思いのほか大変でした。
桐生を未明の3時に車で発ち、秩父湖畔の路上で鹿4頭を驚かせ(こちらも驚いた)、つづら折れの道を三峰神社に上がる。大洞川の深い谷を隔てて、昨年秋に登った和名倉山が大きい(山行記録)。三峰神社の駐車場は夜間は無人で閉鎖されているが、WC奥の第2駐車場に裏手から入れるようになっていたので、こちらに車を置く。目指す雲取山は大洞川の奥にちょこんと見え、そこから飛竜山、和名倉山へと雄大な展望が開ける。一歩も登らずこの展望とは、ちょっと反則技だ(^^;)。
駐車場から三峰神社への道を戻り気味に少し辿り、奥宮参道入口という石標から雲取山へのコースに入る。しばらくは杉とササの中、山腹をトラバースする緩い登りだが、奥宮への道を分けるあたりから少し傾斜が強まり、ジグザクに登ると地蔵峠だ。
地蔵峠からわずかに登ると霧藻ヶ峰の三角点があり、和名倉山や三峰神社方面の眺めが良い。神社は遠くに霞んで、既に結構な距離を歩いて来たことがわかる。奥宮のある妙法ヶ岳のギザギザの稜線が印象的だ。帰りに余裕があれば寄ってみようかな(と、この時点では考えていた)。
三角点から少し進むと大きな露岩の崖上に秩父宮両殿下のレリーフがある。説明板によると、昭和8年夏に両殿下お揃いで(つまりご夫妻で)登山の折り、地元では燕岩と呼んでいたこの地に霧藻ヶ峰と命名されたとのこと。レリーフの隣には休憩所があり、戸締まりされていたがベンチもあり、展望も良い。ここでしばらく休憩。
霧藻ヶ峰から一旦大きく下り、鞍部のお清平へ。帰りはこれが登りになる訳で、ちょっといやだ。お清平から白岩山へはところどころ石灰岩の露岩のある急登だ。ひたすらシラビソなどの樹林の中で、展望は乏しい。急登を登りきると前白岩の肩という標識のあるところに出るが、ここから前白岩山(1776m)へさらに10分ほどの急登。ここから下ると(ここも帰りは結構な登りだ)ようやく白岩小屋。やれやれ、ここで一休み。
白岩小屋はなかなかレトロな小屋だ。小屋番のおじいさんが小屋から出て来て、この辺りの紅葉の見頃などの会話を交わす。小屋の裏手やちょっと手前の露岩からは、このコースでは貴重な展望が得られる。大洞川の深い谷を隔てて、和名倉山の大きな山容がよく見える。稜線は穏やかなスカイラインを描いているが、谷の大きさ、深さには圧倒される。
白岩小屋から急登20分ほどで、白岩山(1921m)に登り着く。樹林に囲まれて展望は全くない。ベンチがあり、今朝、雲取山荘を発った?登山者が数人休憩していた。ここから苔むした深い原生林をゆるゆる下ると、芋ノ木ドッケの標識のある鞍部に出る(芋ノ木ドッケは本当はこの先の1946mのピーク)。鞍部からピークを右側に巻いて山腹のトラバース道に入る。ところどころ、木の間から雲取山荘の赤い屋根と雲取山が見える。まだまだ距離があるなー。このトラバースも帰りは結構な登りだ。帰り道と体力配分がちょっと心配になってくる。
芋ノ木ドッケを経て長沢背稜への道(いつか歩いてみたい)を数カ所で分け、やがて山稜の左を緩く巻く道になると大ダワに到着。ここから雲取山荘へは右の男坂と左の巻き道の二手に分かれているので、迷わず巻き道を選択。登り25分ほどで、雲取山荘に到着した。この山荘には10年前に立ち寄って、ビールを飲んだことがある。そのときは板壁に煙が染み込んだ渋い山小屋だったが、6年前に新築されたそうで、まだピカピカ。非常に快適そうだ。玄関の奥に缶ビールがあることも、しっかり確認。
小屋から一段上がったところには田部重治氏のレリーフが、さらに登った所には鎌仙人こと富田治三郎氏のレリーフがあり、奥秩父の登山史を感じさせる。樹林帯をジグザグに登ると、急に樹林が切れて雲取山の頂上に到着した。
雲取山はこれで3回目。明るく開けた山頂の印象は以前のままだ。まずはうずら卵をつまみに、下から担ぎ上げたのでちとぬるい缶ビールを開ける。展望は飛竜山へ続く稜線が一望。和名倉山の方は夏らしい雲が湧き上がっていて隠れていた。頂上の少し先には避難小屋があり、中を覗いてみたら非常にきれい。WCもあるので、十分宿泊可能だ。
展望を楽しんだのち、雲取山荘に戻って、冷えた缶ビールを購入。山荘前の広場のベンチでラーメンを作りながら飲む。今日はたくさん歩いているので、ビールがまたうまい。しかし、帰り道が長いので、この場で宴会になりそうなのを抑えて出発。下りでは雲取山荘泊まりの登山者にぽつぽつ行き会う。シーズンを少しはずれているのか、好ましいことだが百名山にしては静かだ。
大ダワまで下ると、まず白岩山までが大きな登りだ。これを越えると前白岩山、そして霧藻ヶ峰と登りがあり、なかなかしんどい。ようやく、霧藻ヶ峰に登り着くと休憩所が開いていて、冷たい飲み物を売っていた。ゴールまであとわずかなので、ここはぐっとがまん。
あとは三峰神社まで、緩い下りである。さすがに妙法ヶ岳に登る余裕はなく、まっすぐ下山。最後に三峰神社に立ち寄る。杉の大木に囲まれた本殿にお参りし、今日の登山が無事終わったことに感謝。しかし、今日は良く歩いたー(往復21.4km)。帰途、大滝♨で一汗流して帰桐した。