磐梯山
お盆休みの最後の日、久しぶりにすっきりした青空の下での山登りを楽しんで来ました。
磐梯山の登頂ルートは標高差が少ない八方台からのものが一番人気のようであるが、それでは遠出の割にはちょっと登り甲斐が少ないので、かつてのメインルート?の猪苗代登山口から往復することにする。最初は猪苗代スキー場の中を登るので、暑さを避けて早朝から登りたい。また、帰路のことも考えると、午後には帰省のUターン渋滞が始まるので、なるべく早く帰途につきたい。
ということで、夜2時半頃に桐生を車で出発。東北道、磐越道を経て、5時過ぎに登山口に到着。スキー場入り口の駐車場に車を停めて外に出ると、さすが標高720mの高原。涼しいを通り越して寒いくらいだ。
スキー場のチケットセンターの小屋の前に登山届のポストがあるので、記入して投函。登山道と書かれた標識に導かれて、スキー場の作業道を歩く。スキー場の上には、磐梯山が尖った三角形のピークを見せている。
スキー場中腹のレストラン(もちろんシーズンオフで休業中)までは未舗装の車道を歩くが、その上はススキ原の中の踏み跡を適当に拾って歩く。上部の5本の松が目標だ。滑りやすい土の急斜面の登りと、段々高くなって来た陽に照らされて、汗が吹き出てくる。
5本松から再び標識に導かれて、スキー場最上部を目指す。辿り着いたところは尾根の上で、少し右に行った所が天の庭と呼ばれる地点だ。行く手には磐梯山、振り返ると登って来たスキー場と猪苗代の市街、そして猪苗代湖が一望だ。木陰があるので一休み。アキアカネが沢山飛んで、もうすっかり秋の雰囲気だ。
天の庭からは一転して松などの樹林の中の緩い尾根で、木陰があって暑さからは解放される。ところどころ林が切れた箇所からは、磐梯山がすっくと円錐形の山容を見せている。途中に赤埴山(あかはにやま)山頂への立派な道標があるが、指し示す方向は完全に藪の中。赤埴山からの展望は断念して、左山腹を巻く。巻き道の終点にも赤埴山への道標があるが、こちらも藪道だ。
再び緩い尾根上の道を歩く。行く手の左は磐梯山、右は山腹の雨裂の襞が印象的な櫛ヶ峰の半円形の山容が見える。巻き道終点から7分程で鏡が池に到着。左に池へ下れる箇所があり、水辺に立つことが出来る。ここから見る磐梯山は青空の下、緑と赤茶の岩壁のコントラストが鮮やかで、それが水面に映って絶景だ。
やっぱり天気が良いと景観も引き立つなぁ、と改めて感じる。このわずか先で右に赤埴林道への道(昭文社の地図に記載あり)を分ける。立派な道標もある。かなり利用されているようだ。
緩いアップダウンのある尾根を進むと、沼ノ平という標識のある小平地に到着。休憩に丁度良い木陰があり、そこから、湿原の向こうに磐梯山の崩壊した東斜面の眺めが素晴らしい。周辺は小さな丘の間に池や湿地が点在する気分の良い所だ。
湿原から流れ出す小沢 (僅かに硫黄臭がする)を何本か渡りながら、磐梯山と櫛ヶ峰の間の鞍部を目指す。途中、渋谷への道を右に分ける。ガレ場に草が生えた火山らしい斜面が広がり、少し離れた所だが、噴気と硫黄が見える斜面もある。
鞍部に到着すると、川上温泉への道が分岐する三合目の天狗岩だ。北側の爆裂火口を覗き込むと、崩壊した山腹が広がり、眼下に銅沼(あかぬま)の青緑色の湖面が見える。ここにかつてあった山体が、1888(明治21)年7月15日に水蒸気爆発で吹っ飛んだというのだから凄まじい。
磐梯山の山頂を目指してガレた道を登ると、意外に広い草原に出る。登山道の脇の塩ビのパイプから水がバンバン出ている。黄金清水だ。一口飲むととても冷たかった。火山なのに稜線に水があるのはちょっと不思議だ。
八方台からお花畑経由の道を合わせてひと登りで、2軒の小屋がある弘法清水。ここの水も冷たい。弘法小屋は閉まっていて、もう一軒の岡部小屋を管理人さんが開けようとしているところだった。下界から通いで営業しているのかな。ここまでは、数人のハイカーにしか会わなかったが、さすが百名山、人の数が増えてくる。
弘法清水からは尾根も痩せて、樹林の中の深く抉れた道を登る。最後の急登を登りきると、岩が散在した山頂に到着。あいにくガスが出ていたが、しばらくすると猪苗代湖や会津若松方面の展望が利いて来た。また、頂上の東は急な斜面となっていて、その下には歩いて来た沼ノ原の鮮やかな緑が広がっている。まずはビールを飲んで、この展望を楽しむ。
下山は往路を戻る。ハイカーと行き会う回数は増えたが、猪苗代登山口から登って来る数はあまり多くない。セミの声が盛んなスキー場を下って、12時前に登山口に戻る。駐車場に隣接して幸陽ノ杜という日帰り温泉があり(これは便利だね)、さくっと一汗流す。早めに東北道に乗って、思惑通りあまり渋滞に遭わずに帰桐した。