高倉山
高倉山という名の山は多く、全国で50近くある。今回登ったのは新潟県南魚沼市にある標高1144mの高倉山で、八海山から阿寺山へ延びる枝尾根上の一ピーク。昭文社の地図に記載されている南山麓からのルート(中之峰新道)を登ってきました。
桐生を車で5時半頃出発。赤城山南麓のR353を関越道赤城ICに向かって走る。雲が低くたれこめて、ちょっと心配な天気。しかし、関越トンネルを抜けると雲は多いが青空ものぞく天気になる。
関越道を六日町ICで降りて三国川(さぐりがわ)ダム方面に向かう。周囲の山々は新緑に包まれているが、谷筋には雪が残り、金城山の頂上付近の稜線はまだ真っ白だ。小川入口で左折して三国川をわたり、上越芸術村という看板から斜め左に入って、急な坂道を上がる。
上がったところは林間にコテージが散在する別荘地風の場所だが、廃屋が多く、放置されている雰囲気。荒れたコンクリ舗装の急坂を奥まで詰めると、「高倉山、中之峰新道、昭和57年9月開設、五十沢小学校・PTA」と記された立派な石碑のある登山口に着く。コゴミなどの山菜を採っている地元の人が数名いた。
石碑の前の小さな駐車スペースは塞がっていたので、少し下ったところに車を置いて歩き始める。しかし、実は登山道のすぐ左に平行して車道があり、もうちょっと上まで車で行けたのでした。まぁ、距離は大して変わりませんが。登山道はすぐに車道に合流。車道はすぐに終点になって、10数台分の駐車スペースがある。ここが現在の登山口らしい。
車道終点から本格的な登山道となり、雪解けの冷たい水がバンバン流れる小沢をすぐに渡って一合目の標識を見ると、根曲がりの樹林の中の小尾根の急登になる。5分登ると二合目。なんかずいぶん近いなぁ。さらに6分で三合目、続いて8分で四合目の標識を見る。この調子で行くと頂上まで1時間だ(注:そうはいかなかった)。少し盛りは過ぎた感じだが、イワウチワの花が多い登りが続く。
四合目を過ぎると、岩の上に瘤のように固まった根から数本の幹を伸ばした「入道ぶな」に出会う。看板があり、大入道「おまえの頭はどこにある」この先楽しみいろいろ、と書いてある。先は楽しみだが、大入道の台詞は想像するとちょっと怖い。
八合目あたりから登山道にも残雪が現れるが、一部なので問題なく通過。だんだん眺めが利くようになり、山頂へ続く急な稜線が見え始める。周囲の山腹の残雪と新緑のブナ林がきれいだ。振り返ると、しゃくなげ湖や三国川流域の山々の眺めが良い。
九合目を過ぎるとさらに急な灌木帯の登りとなる。ちょうど見頃のシャクナゲがあった。大きな群落ではないが、かたまって一斉に咲いているので、なかなかきれいだ。
急登を登りきり、痩せた稜線上の小さなピークをいくつか越えると、高倉山の頂上だ。三等三角点とポールの他は、山名標識も何もない狭い山頂だが、360度の展望が素晴らしい。
まず、八海山は遮るものがなく、乱杭歯のようなギザギザの稜線が指呼の間だ。その右には阿寺山がゆったりと白い稜線を広げている。阿寺山の左と右にちょっと顔をのぞかせているのは、駒ヶ岳と中ノ岳のようだ。阿寺山から右へは、兎岳、丹後山と利根川源流域の山々が並び、巻機山へと連なっている。双眼鏡で見ると、八海山の千本檜小屋や丹後山山頂の避難小屋も確認できた。今日、登っている人がいたら最高の展望でしょうねー。
誰もいない山頂でビール片手に展望を独占。青空がどんどん広がり、陽もさしてきて暖かい。コッヘルでお湯を沸かして、例によってもちスープの昼食にする。
山頂で1時間あまりのんびりしたあと、往路を滑らないように気をつけて下った。休憩も入れて往復4時間のちっさな山だが、新緑、残雪、展望といろいろ楽しみが詰まっていて大満足。充実した山行を山麓の畔地♨(500円)に入って締めくくり、帰途についた。