武甲山〜大持山
仕事で忙しかったりスキーに行ったりで、一か月ぶりの山行。週末の天気は厳しい冬型で荒れるとの予報だったので、関東北部の山は避けて南部の山に登ってきました。
桐生から車で秩父を目指す。行く手の山並みの中に白い三角の山容がひときわ目立つ。秩父市街から見ると、それは頂上直下の階段状に削られた採掘地に雪が積もり、白と灰のストライプを描く武甲山であることがわかる。青空の中に巨大なTV画面があって、頂上部分だけ拡大されて走査線が見えているような妙な眺めだ。
しかし、横瀬付近から見上げる山容は鋭く切り立って迫力がある。生川沿いの道は日曜日も休みなく大型ダンプが行き交い、石灰プラント群の間を抜けて行く。
工場群が尽きると舗装も一部切れて荒れた感じの杉林の中の道。一ノ鳥居付近には10台ほどの駐車があり、出発準備中のパーティもいる。道の脇に車を置いて歩き始める。
今日は寒そうなのでフリースのアンダーウェアの上にオーバーパンツという服装にしたら、意外と良い天候で暑い! しかし、武甲山御嶽神社の表参道に入り、丁目毎の石標を見ながら杉林の中を標高を上げて行くうちに気温が下がり、ほど良い感じに。大杉の広場からは風も強く当たり出して寒くなる。雪道もずーっと続いているので軽アイゼンを着用する。
途中の分岐は直接頂上に至る右の道をとる。頂上には御嶽神社の立派な社殿の他、WC(冬期閉鎖中)やあずまやがあり、休憩に良いところだ。社殿の周りで風を避けて大勢のハイカーが昼食を摂っているところだった。
社殿の裏手が頂上の第一展望所。秩父盆地が一望の絶景だが、フェンスに囲まれて足下には巨大な採掘場が広がる。まるでビルの屋上に出たよう。人の生活のために自然に改変を加えることは必ずしも否定しないが、この光景を目の当たりにすると、やっぱりちょっとショックだ。
ともあれ、 秩父市街や御荷鉾山から赤久縄山への山並み、両神山などの素晴らしい展望を堪能した後、社殿に戻り昼食にする。ビールに薫玉。お湯を沸かして、もちスープを作る。
展望にも満足したし、腹も拵えたので、往路を下山して帰ろうかな〜という気分だったが、頂上から少し下った武甲の肩で小持山・大持山へ続く明るい稜線を見て、俄然歩きたくなる。所要時間を計算し、妻坂峠を経て遅くとも5時には一ノ鳥居に戻れるだろうということで、縦走路へ足を踏み出す。
始めは日当たりの良い防火帯の下りで雪がなく、一時、軽アイゼンをはずす。下りきったシラジクボの鞍部からは再び雪道となり、途中の急な斜面をアイゼンを効かせて小持山へ登る。山頂から振り返ると、武甲山のおむすび型の山容がよく見える。
小持山から大持山の間はところどころ露岩があり、アイゼンでは少し歩きにくい箇所もある。アップダウンも意外にあって、なかなかの歩きで。空も雲が多くなって暗くなり、時間の余裕もそんなにないので、人影のない縦走路を少々ピッチを上げて行く。
頑張って登りついた大持山の頂上は自然林に囲まれて落ち着いた雰囲気だ。木立の間から武甲山が見える。ここまで来れば時間的には安全圏で、一息つく。頂上から少し先の鳥首峠への分岐からは東京方面の展望が良い。
妻坂峠へは長く緩い尾根の下りが続く。堅い雪に靴が潜ることもなく、アイゼンが効いて至極快適、がしがし歩く。途中、マンサクの花も見た(高い梢に咲いていたので、アップで撮れなくて残念)。妻坂峠にはお地蔵さんが祀られ、暗くなり始めた空に武甲山が大きくスカイラインを描いている。
妻坂峠から下って工事中の林道を横切ると、一ノ鳥居はすぐ。他の車はもうすっかり帰った後だった。帰りは武甲♨に立ち寄る(700円)。冷えた体を温めて(ごくらく〜)帰途についた。