高妻山
スリルのある鎖場や草付スラブを見下ろす稜線歩き、乙妻山まで足を延せば山上に小さな池塘あり、と変化に富み、アップダウンが多くて歩きごたえもたっぷりの山行でした。
夜半、桐生を車で出発。アテネ五輪の実況をラジオで聞きながらドライブ。長野市街からバードラインを経て、真っ暗な中、登山口の戸隠牧場に到着。牧場入口にかなり広い駐車スペースがあり(さすが百名山)、すでに数十台の車がある。車の中で夜が明けるまで仮眠。寝袋が必要なほど涼しい。
他の車の登山者がごそごそ出発の準備をする物音で目を覚ますと、綺麗な朝焼け。いなりとパンでしっかり朝食をとって出発する。行く手に一不動から五地蔵にかけての険しい稜線を見ながら、牧場を突っ切っていく。牛の群れの横を通り、牧柵を越え、樹林の中を緩く登ると沢にでる。
ところどころ沢の中を歩きながら登ると、滑滝が現れる。ここは滝の右を鎖で越えると帯岩だ。岩壁に刻まれたステップと鎖をたよりに斜めにトラバースして、不動滝の落ち口に出る。高度感があって、ちょっと怖い所だ(特に下りのとき)。
不動滝を越えると、登山道の脇に氷清水の水場。冷たい水を2リットル補給する。ここから一不動へはササと樹林の中の登りですぐだ。一不動の避難小屋の中は綺麗にしていて快適に泊れそうだが、あくまで避難用で通常は宿泊をしないのが建前(トイレもないし)。小屋の前は開けたササの斜面で、山麓や飯綱山、黒姫山の眺めが良い。
一不動からは、右手に草付スラブ、左手に木の間に高妻山の鋭いピークを見て稜線を歩く。行手には五地蔵山の▲なピークと、その左へ高妻山に連なる鋸歯状の稜線が見える。五地蔵山の頂上は小広く、ちょっと休憩して、ナシを食べる。うまー。
五地蔵山からいったん下って、八薬師へ登り返し、灌木とササの尾根を辿る。九勢至(せいし)を過ぎると高妻山への最後の登りで、見晴らしの良いササ尾根を上がる。左手の裾花川の深い谷から吹き上がる風が涼しい。最後は急登で細長い頂稜の一角に出て、岩の積み重なる道を僅かで狭い頂上へ到着した。
頂上からの眺めは素晴らしい。北ア方面の主稜線は雲の中だが、栂池、八方、五竜のスキー場が見える。雨飾山〜焼山〜火打山も良く見えるが、妙高山は雲の中。山腹に岩壁を抱えた乙妻山は丸っこい頂を見せている。裾花川の深い渓谷、戸隠山の険しい稜線もすごい。例によってビールを飲み、ラーメンで昼食。
雲が徐々に多くなり天気が下り坂なのと、ここまでで十分に歩き甲斐があったので、さらに先の乙妻山に行くかどうかちょっと迷うが、行ってみることにした。結果からいうと、行って良かったー。
高妻山の山頂から乙妻山への稜線に踏み込むと、すぐに険しいキレットがあり、この先どうなることやらと思ったが、ここを越えるとササ、ダケカンバ、ハイマツの尾根道となる。道型ははっきりしているが、歩く人が格段に少ないので藪っぽいのは仕方ない。
乙妻山手前は開けた草原の中に十二大日の池塘があり、美しい風景だ。乙妻山山頂に着くと、火打山〜焼山の遮るもののない眺めが展開する。ここには全部で4人ほどが登って来ていた。
展望を堪能し、往路を戻る。戻りと言ってもアップダウンが多いので楽ではない。結構疲れて戸隠牧場に到着。天気がもって良かった良かった。戸隠中社から東に入った所にある神告げ♨に立ち寄って汗を流し(600円)、ついでにソバを食べて帰った。