岳ノ山〜大鳥屋山

天気:
メンバー:K,M,T
行程:駐車場 9:30 …滝見の松 10:10 …岳ノ山(704m) 11:05〜11:30 …624m標高点 12:10〜12:45 …下山路分岐 12:55 …大鳥屋山(693m) 13:20 …下山路分岐 13:40 …駐車場 14:20
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

昨年末の奈良部山の山行で南南東尾根から周囲に広がる安蘇の山々を眺めたとき、あまり特徴のない山並みの中にあって、岳ノ山と大鳥屋山の顕著なピークが目を惹いた。大鳥屋山には一等三角点(点名:黒岩)が置かれ、栃木百名山にも選定されている。山容を直に眺めて改めて興味が湧き、KさんとMさんに同行頂いて登って来ました。

桐生を朝8時に車で発ち、太田桐生IC〜佐野田沼IC間は北関東道を走って、秋山川上流の五丈の滝入口に向かう。高速道のおかげで、1時間20分程で五丈の滝入口の駐車場に到着。外に出ると空気がキンと冷えていて寒い。フリースを着込んで出発する。今日はここを起点にして、岳ノ山と大鳥屋山を周回する最もポピュラーなコースを歩く予定だ。

すぐに林道のY字路があり、右の上前沢林道に入る。水の少ない渓流に沿って未舗装の林道を歩くと、10分程で終点となる。車でもなんとかここまでは入れ、駐車スペースも数台分ある。五丈の滝の案内図があり、それによると「高さが五丈(約15m)あることからこの名がついたが、実際には40mを越える」とのこと。これは見応えを期待出来る…かな?


五丈の滝入口の駐車場


上前沢林道終点

杉の植林の中の山道を歩くと、五丈の滝観瀑台という道標があり、谷に降りる道が分岐する。「観瀑台は倒木のため入れません」という掲示があったが、取り敢えず立ち寄ってみる。ジグザグに下って行くと、渓流を跨いでコンクリ製のテラスが設置されている。対岸の崖から大きな倒木が落ちて来ているが、テラスの上の倒木は撤去済だ。

観瀑台に上がると、上流には岩壁が峙ち、両岸は高い急斜面でなかなか険阻な渓谷だが、五丈の滝は奥にあって遠く、藪が邪魔をしてよく見えない。ちょっとがっかり。


五丈の滝観瀑台


五丈の滝(奥)
藪に隠れてよく見えない

分岐に戻って山腹を高巻く山道を進むと、滝見の松に着く。案内板によると、昭和62年3月に(観瀑台を)整備する前は、滝を見るのに一番の地点だったそうだ。断崖の上から深い谷を怖々覗き込むが、滝は見えない。また、所縁の松も枯れている。五丈の滝の全貌は幻に終わった(実はこの滝には10数年前にも訪れたが、そのときも良く見えなかった)。

気を取り直して山道を先に進み、小さな沢に沿って杉林の中を登る。岳ノ山に向かって直登する山道は、段々傾斜が増してかなりの急登となる。最後に山腹を右にトラバースすると、岳ノ山の山頂から東に落ちる尾根の上に出る。


滝見の松から
秋山川左岸の山々


谷を詰めて急峻な斜面を登る

尾根に出たとたん、反対側から寒風が吹き付けて来て、震え上がる。尾根を緩く登ると、平たい石を方形に組み上げた台座の上に石祠が祀られている。正面には御嶽山、側面には明治三年午三月吉日、巴講中と刻まれ、何故か古い算盤がお供えされてある。頂上はこのすぐ上で、不動明王像と石祠が祀られている。この石祠には、享保十三年(1728)の銘がある。樹林に囲まれているが、明るくて雰囲気の良い山頂だ。樹林の切れ間からは、尾出山や横根山、薙に白く雪が積もった男体山が眺められる。

頂上の一角で休憩していると、大鳥屋山の方から単独の男性のハイカーさんがやって来た。旗川側の蛭川から大鳥屋山に登ったとのこと。石灰採石場があり、ダンプの埃が酷かったらしい。話の後、頂上から北の尾根を下って行った。


岳ノ山頂上東の石祠


岳ノ山頂上の不動明王像


岳ノ山頂上


岳ノ山より男体山を遠望

風を除けて一休みした後、大鳥屋山に向かう。岳ノ山からの下り始めはなかなか急だ。途中、ロープが掛けられた岩尾根の下りがあるが、危険はない。アルピニストのMさんも、これは面白い、と言って、ルートでない岩を直登していたりする(^^;)。

ひとしきり下ると、あとは杉・檜の林に覆われた穏やかな尾根歩きだ。625m標高点を過ぎた辺りで、正午も回って腹も減ったことだし、日溜まりの平地にシートを広げて昼食とする。風が避けきれず、少々寒い。今日はさすがにビールはなし。Kさん差し入れのパンやゆで卵を頂きながらガスコンロでお湯を沸かすが、この天候ではガスは非力。お風呂の温度まで沸いたところで諦めて、温い味噌汁とカップスープを作る。そのうち、猛然と北西風が強まり、あまりの寒さに大至急でパッキングして歩き出す。


急な尾根を下る


大鳥屋山への尾根道

左に下山路を分けると、大鳥屋山への登りにかかる。急坂だが、体が温まってちょうどいい。傾斜が緩まると平坦な頂上の一角だ。整然と植林された杉林を進むと、天保十二年(1841)の銘がある石祠が祀られている。


大鳥屋山頂上直下の登り


大鳥屋山頂上の石祠

そのすぐ先には、昭和二十一年建立の御嶽大神の石碑と、崩れ落ちた石祠がある。落ちた屋根の破風にはやはり御嶽山の銘がある。岳ノ山、大鳥屋山とも御嶽信仰の対象であったことが分かる。一番奥に一等三角点の標石がある。一等ともなると標石も重厚な感じがして立派だが、樹林に囲まれているため、展望は残念ながら一等ではない。


大鳥屋山頂上の石碑


大鳥屋山頂上

大鳥屋山から下山路分岐まで戻り、下山路に入る。陰気な杉林の中を下るが、道はとても良い。山腹と尾根をうまく絡んで急な個所もなく、谷沿いの作業道に下り着く。あとは雨裂で荒れた下前沢林道を歩き、車を置いた駐車場に戻った。


下山路は杉林の中


駐車場に到着

帰りは下道を走り、地蔵の湯東葉館に日帰り入浴で立ち寄る(700円)。法事や新年会?で宴会場は大繁盛だが、お風呂の方はそんなに混んでいない。四つある湯船に順繰りに浸かってゆったり温まったのち、桐生に帰った。