飯縄山〜霊仙寺山

天気:☀️時々☁️
メンバー:T
行程:中社ゲレンデ登山口 7:25 …西登山口 7:35 …萱ノ宮 8:05 …南峰(1909m) 9:35 …飯縄山(1917m) 9:50〜10:05 …霊仙寺山(1875m) 10:50〜11:45 …飯縄山 12:30〜12:45 …瑪瑙山(1748m) 13:40〜13:55 …中社ゲレンデ登山口 15:20
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

桐生を未明に車で出発。高速を長野ICで降り、長野市街から七曲りを上ってバードラインを走り、戸隠神社中社(ちゅうしゃ)に向かう。中社の前で右の狭い路地に入り、民宿街を抜けて、戸隠スキー場中社ゲレンデ下の登山者駐車場に車を置く。駐車場の入口には「飯縄山⬅︎駐車場⬆︎登山口(西登山道)」の案内看板がある。

広い駐車場には車が3台だけで、空いている。車の外に出ると、既に標高1200mの高地なので涼しい。今年の夏はとにかく暑くて、桐生ではこの一週間、最高気温が37〜39℃という危険なレベルの暑さが続いている。こういう所でひと夏を避暑で過ごせたらいいなあ。ゲレンデ脇の一段上がったところに「お化粧処」の看板が掲げられた綺麗なWCと「中社ゲレンデ登山口」の標識がある。

今日はここから西登山道を登って飯縄山に登頂し、霊仙寺(れいせんじ)山を往復した後、瑪瑙(めのう)山コースを下って周回する予定である。飯縄山には今回とほぼ同じルートで登ったことがあるが、大昔のことなので(後述のある出来事が強く記憶に残っている他は)、あまり覚えていない。

中社ゲレンデ入口(⬅︎駐車場⬆︎登山口)
中社ゲレンデ下の登山者駐車場

駐車場入口から西登山口へ林道を歩く。すぐ先には、下山後に日帰り入浴で立ち寄る予定の戸隠神告げ温泉、その先には森林の中にチビッ子忍者村というテーマパークがある。瑪瑙沢を渡ると飯縄山の西登山口で、付近の路側に駐車している車が4台程ある。

戸隠神告げ温泉
西登山口

木の根が張った短い急坂を登り、カラマツや雑木、笹に覆われたなだらかな尾根に上がって、幅広く一直線状の尾根道をゆるゆると登る。周囲の林の中では大勢のセミの鳴き声がする。作業道を横断し、程なく萱ノ宮に着く。朽ちた木の鳥居を潜ると簡素な社があり、中には石仏が祀られている。また、左に瑪瑙沢に下る山道が分岐する。

一直線状に緩く登る
萱ノ宮

萱ノ宮を過ぎると、徐々に傾斜が増す。標高が上って気温が下がり、気がつくとセミの鳴き声が消えている。周囲の樹林も低くなり、ところどころで陽が差し込む。木立ちの切れ間から西側の展望が開ける箇所があり、雲の合間にまだ雪を残す北アを遠望する。

傾斜が増す
細い山道を急登
荒倉山(左)と一夜山の間に北アを遠望
コオニユリ

樹林が切れ、笹原に覆われたなだらかな稜線の上に出る。笹の間にはいろいろな山野草の花が咲いている。展望が開け、行く手の雲間に飯縄山南峰の頂が見え隠れする。

笹原の道となり南峰に向かう
シモツケソウ

稜線の右斜面にはノリウツギが多く、白いアジサイのような花が点々と咲く。斜面の下方には南麓の飯綱高原が俯瞰でき、結構、高度感がある。残念ながら雲が多くて、遠くまでは見通せない。

南麓の飯縄高原を俯瞰
タカネアオヤギソウ

道の左脇の笹の中に小さな石地蔵を見て過ぎると、程なく南麓の一の鳥居からの南登山道と合流する。ここから南峰の頂上までは花が多く咲いていて、ちょっとしたお花畑になっている。ハイカーの数も多くなった。花の写真を撮りながらゆっくり登る。

石地蔵
一の鳥居からの南登山道と合流
ハクサンフウロ
カワラナデシコ
クガイソウ
ノリウツギ

お花畑の途中に飯綱大権現がある。鳥居の奥に石祠があり、烏天狗の小さな石像が鎮座する。

飯縄大権現
飯縄大権現から山麓を俯瞰
ギボウシ
ヤナギラン

ひと登りして南峰の頂上に着く。山頂は平坦で広く、九合目の標識や数点の石造物がある。頂上東側の一段下った所に飯縄神社奥宮があり、鳥居とモルタル造りの社が建つ。社の奥には神棚が設けられ、烏天狗の石像や大きな天狗面、白い瀬戸物の狐像(お稲荷様)が奉納されている。

南峰(九合目)頂上
飯縄神社奥宮

南峰から飯縄山の頂上までは、ダケカンバ林と笹原に覆われたなだらかな稜線で繋がる。南峰から1分程の所に携帯トイレブースが設置されている。

携帯トイレブース
平坦な稜線を辿る

ゆるゆると下って登り返すと、飯綱山の頂上に着く。山頂は笹原に囲まれた平地で、露岩が点在し、数組のハイカーが思い思いの岩に腰掛けて休憩している。平地の一角に展望盤、三角点標石、山名標柱がある。西方の戸隠山方面を除いて三方に展望が開けるが、今日はあいにく雲が多い。

飯縄山から南峰を振り返る
飯縄山頂上

小休止したのち、霊仙寺山に往復する。前回、飯縄山に登頂した際は、霊仙寺山への道は深い笹藪に覆われて、とてもじゃないが歩ける状況になかった。今回は有難いことに刈り払いされたばかりで、非常に快適に歩ける。行く手の少し低い所に霊仙寺山のなだらかな頂を望んで、刈り払い道を急降下する。帰りにはここを登ることを考えると、ちょっと憂鬱。

瑪瑙山分岐
刈り払いされたばかりの急坂を下る

やがて傾斜が緩み、ほぼ平坦で下り気味の稜線となる。深い樹林の中の苔むした転石が多い道となり、下草の緑が綺麗で趣はあるが、少々歩き難い。途中で数人のソロハイカーとすれ違う。

苔むした転石の山道を進む
下草の緑が美しい

最低鞍部から急坂を登ると、すぐに新し目の道標があり、霊仙寺登山口からの登山道を右から合わせる。霊仙寺山の頂上は、矮小な針葉樹林を抜け、笹原の尾根を緩く登って、直ぐの距離だ。

最低鞍部から急坂を登る
霊仙寺登山口からの登山道と合流
笹原が広がる尾根を登る
オミナエシ

頂上には、山積した岩の上に石碑らしい板状の岩と山名標識が建つ。周囲は刈り払いされて展望が開け、東山麓にゴルフ場やため池が点在する飯綱東高原やその先に長野市街が俯瞰できる。遠方はやはり雲が多くて見えない。他のハイカーはいなくて、静かな頂だ。今回、登りに来て良かった。露岩に腰掛け、缶ビールとカップ麺で昼食休憩とする。

霊仙寺山頂上
飯綱東高原と長野市街を俯瞰

昼食後、そろそろ腰を上げようとしたら、雨粒が落ちて来た。これは本降りになるかな、と思って、ザックからゴアの上下をひっぱり出して着ると、法則が発動して雨が止んだので、ゴアを脱ぐ😅

雲間に飯縄山を見たのち、霊仙寺登山口への山道を左に分け、短い急坂を下る。転石の多い道をだらだらと登り、飯縄山へ急坂を登り返す。思った程、きつくはないが、大汗をかいて瑪瑙山分岐に登り着き、一投足先の飯縄山頂上まで戻る。

雲間に飯縄山を望む
飯縄山へ刈り払い道を急登

水を飲んで一休みし、直ぐに下山にかかる。瑪瑙山コースに入って、樹林と笹原に覆われた尾根を下る。こちらの道が刈り払いされたのは少し前のようで、伸び始めた丈の低い笹が被さり気味だが、良く整備されている。

瑪瑙山コースに入る
笹深い尾根を急降下

傾斜が緩むと笹原越しに眺めが開けて、瑪瑙沢の谷間の下に戸隠神社中社辺りの集落を俯瞰する。あそこまで下るから、先はまだまだ長い。

戸隠神社中社方面を俯瞰
ちょっと登り返す

ダケカンバと笹原の尾根道を下り、ちょっと登り返して露岩のある小ピークに着くと、正面に丸みを帯びた台形型の山容の瑪瑙山が姿を現す。これはなかなか良い眺めだ。前回、こんな良い景色が見えていたら確実に覚えていると思うから、当時は多分、ガスに包まれて見えていない。

瑪瑙山を望む
鞍部に向かって急降下

小ピークから、瑪瑙山を眺めつつ笹斜面をジグザグに急降下し、鞍部から笹原の切り開き道を急登する。陽射しが戻って来て、背中を炙られて暑い。振り返ると釣り尾根で繋がった飯縄山と南峰が高く眺められる。

瑪瑙山に向かって登る
飯縄山(左)と南峰を振り返る

登り着いた所は瑪瑙山の平坦な肩で、山頂は右へ分岐して30m位の所だ。山頂には文字が風化した古い山名標柱が建つ。正面には飯縄山が見えるはずだが、さっきまで晴れていたのに、もうガスに巻かれて、西登山道の尾根が一部見える程度。瑪瑙山の西斜面は戸隠スキー場越水ゲレンデで、頂上直下にリフト降り場があるのが見える。

瑪瑙山分岐
瑪瑙山頂上
戸隠スキー場のリフト降り場
アカモノの実

瑪瑙山から西尾根を下る。笹原と低木に覆われて開けた尾根を緩く下るとゲレンデに出て、あとはゲレンデの真ん中の踏み跡を下る。

前回は、この辺りで雷雲に遭遇し、近距離の稲妻と雷鳴に見舞われた。落雷の危険性が高いゲレンデの下りを避け、手前の樹林帯でゴアを着て待機し、雷雲の通過を待った。後続のハイカーもここで待機。近くの落雷に身が竦む。豪雨の中、ゴアの目止めから浸水し、雹まで降ってきて、寒さと恐怖で歯がガチガチ鳴る。1時間程でようやく雷雲をやり過ごし、無事下山した。登山中の雷雲の恐ろしさを実感した。あと、ゴアの目止めは大切。

そんな出来事があり、ここは思い出深い場所だ。当時、雨宿りした樹林はもっと鬱蒼としていたと記憶しているのだが、現在はスカスカで、とても待機できそうに思えない。年月の流れを感じる。

笹原と低木の尾根を緩く下る
戸隠スキー場のゲレンデを下る

このゲレンデはメノウコースで、スキー中級者向きの緩斜面だ。今の季節はトリアシショウマやヤナギランがあちこちに群れて咲き、葉が開いたワラビも茂っている。

トリアシショウマ
ヤナギラン

ゲレンデを怪無(けなし)山の鞍部まで下る。振り返ると瑪瑙山の頂上が既に遠い。良く見るとゲレンデの上の方にトレランのグループが居て、走って下って来ている。前回は鞍部からゲレンデを右に下って、奥社入口バス停からバスで帰った。今回は、鞍部から左の山道に入って下る。

瑪瑙山を振り返る
鞍部から左の山道に入る

樹林と笹原に覆われた山腹をジグザグに下る。途中、トレラングループに追い抜かれる。さすが、はえー。山道は瑪瑙沢左股のなだらかな谷間を下る。

樹林と笹原をジグザグに下る
瑪瑙沢左股の谷間を下る

途中、小さな沢を横切る所がある。流水で顔を洗って汗を拭うと、雪解け水のように冷たくて、シャキッとする。さらに右に渓流を見ながら下って、道標のある分岐に着く。左は萱ノ宮を経由して飯縄山への登山道。ここは右の中社ゲレンデへの道に進む。

小さな沢を横断
分岐に到着して右へ

この道は、導水路に沿って山腹をトラバースする。木漏れ日がコロコロと流れる水に反射して綺麗だ。やがて、中社ゲレンデに出る。導水路から分かれて、左手の道標の横からゲレンデ脇の山道に入る。入口から草藪が酷くてギョッとするが、入ってみれば足元の道型はしっかりしていて、問題ない。程なくゲレンデ下の登山者駐車場に下り着くと、車は私の1台だけとなっていた。

導水路に沿って山腹をトラバース
中社ゲレンデに出る
ゲレンデ脇の笹藪道を下る
中社ゲレンデ登山口に帰着

帰りは直ぐ近くの戸隠神告げ温泉に移動して日帰り入浴する(700円)。館内は昭和レトロ調の内装で落ち着ける雰囲気。客は多過ぎることはなく、少しぬるぬるするお湯にのんびり浸かる。下山後、直ぐに温泉に入れるのはポイント高い。汗を流してさっぱりしたのち、桐生への帰途についた。